Webサイトなどを開発する際に必ず耳にする「ユーザビリティ」と「アクセシビリティ」ですが、その2つにどのような違いがあるかご存知ですか。
この記事ではユーザビリティとアクセシビリティの構成要素や相違点、それぞれを高めるポイントを紹介します。
目次
ユーザビリティとは、ユーザーが感じるWebサイトなどの使いやすさを表す
Webサイトにおけるユーザビリティとは、特定のユーザーがWebサイトやアプリを自身の目的達成のために使用する際に感じる使いやすさや満足感の度合いを指します。
ユーザビリティの構成要素
ユーザビリティを構成する要素は、Webサイトのユーザビリティ研究の第一人者であるヤコブ・ニールセン博士によって提唱された定義では、「学習しやすさ:Learnability」「効率性:Efficiency」「記憶しやすさ:Memorability」「エラー:Errors」「主観的満足度:Satisfaction」の5つとされています。
- 学習しやすさ(Learnability)
初めてそのWebサイトを訪問したユーザーがどれだけ簡単に学習できるか、すなわちそのサイトを苦労なく使いこなせるかどうかを表します。 - 効率性(Efficiency)
そのWebサイトを学習したユーザーがどの程度効率的に利用できるかを表します。 - 記憶しやすさ(Memorability)
1度Webサイトを利用したユーザーが、期間を空けて再度訪問した際に、そのサイトの操作を容易に思い出せるかどうかを表します。 - エラー(Errors)
ユーザーがWebサイト上で間違い(エラー)をどれだけ起こしにくいか、また、エラーを起こしてもどれだけ簡単に回復できるかどうかを表します。 - 主観的満足度(Satisfaction)
そのWebサイトに対してユーザーが満足感を感じ、何度も同じサイトを利用しているかを表します。
アクセシビリティとは、全てのユーザーが情報にアクセスできるかの度合いを示す
アクセシビリティとは、全てのユーザーが情報にアクセスできるかの度合いを示すものです。老若男女、障害を持つ持たないといった心身特性や能力に関係なく、ユーザー全員が同様に情報にアクセスできるか、Webサイトの使用を通じて目標を達成できるかということです。
アクセシビリティの構成要素
『WCAG 2.0』によるアクセシビリティの構成要素は、「知覚可能:Perceivable」「操作可能:Operable」「理解可能:Understandable」「堅牢:Robust」の4つとされています。
- 知覚可能(Perceivable)
情報やユーザーインターフェースの構成要素は、ユーザーが知覚できる方法で表示される必要があります。 - 操作可能(Operable)
ユーザーインターフェースの構成要素とナビゲーションは、操作可能でなければいけません。 - 理解可能(Understandable)
情報やユーザーインターフェースの操作方法は、理解可能なものである必要があります。 - 堅牢(Robust)
Webサイトのコンテンツは、支援技術を含む幅広い種類のユーザーエージェント(OSやブラウザなど)が確実に解釈できるような堅牢なものでなければなりません。
出典:Web Content Accessibility Guidelines (WCAG) 2.0 (https://www.w3.org/TR/WCAG20/)
ユーザビリティとアクセシビリティの相違点
ユーザビリティは「特定のユーザー」が自身の目的達成のためにWebサイトや利用している際に感じる「使いやすさ」を表すものに対し、アクセシビリティは「全てのユーザー」のインターネット上の情報への「アクセスのしやすさ」を表すという違いがあります。
使いやすさや満足度に関して述べるユーザビリティはユーザーが情報にアクセスできていることを前提としたものであり、そもそも情報にアクセスできなければ使いやすさや満足度といったものは発生しません。
ユーザビリティを実現する上では情報へアクセスできるという前提、すなわちアクセシビリティが土台となっているのです。
ユーザビリティを高めるポイント
- ターゲットとなるユーザーを明確にする
ユーザビリティは特定のユーザーが自身の目的達成の際に使用するWebサイトの使用感などを表すため、ユーザー層やユーザーの目的が異なればユーザビリティも異なります。Webサイトを開発する際には、「どのようなユーザー」が「どのような状況・目的」で利用しているのかを想定することが大切です。 - 慣れるまでにかかる学習コストを低くする
ユーザビリティの構成要素の1つである「学習しやすさ」にも関連する、すぐに使いこなせることや操作が簡単で使いやすいといった、操作に慣れるまでの学習コストを低くすることは、ユーザビリティを高める上で重要な役割を果たします。 - 動作速度を速くする
Webサイトを軽くすることによる動作速度の向上は、サイトの回線落ちや遷移時間の長さに起因する不快感が減少するため、ユーザビリティが向上します。
アクセシビリティを高めるポイント
- マシンリーダブルにする
マシンリーダブルとは英語で「Machine Readable」と書き、機械がWebサイトに記載された情報を読める状態であることを示し、サイトに読み上げソフトを使用できるため誰でも情報にアクセス可能になります。また、検索エンジンなどのクローラーがサイトのHTMLを解釈して記載されたコンテンツを理解しやすくなるため、SEO対策になりアクセスしやすくなります。 - コントラストを最適化する
背景と文字の色のコントラストには読みやすいとされる値があり、WCAG2.0やJAS基準ではフォントサイズが12ptの場合では7:1、18ptの場合は4.5:1と定められています。フォントサイズやコントラストを調節できる設定を入れ、情報を得やすくしましょう。 - 音声読み上げなど視覚以外からの情報源を挿入する
Webサイトを利用するユーザーの中には目の不自由な方もいます。画像や動画を挿入する際には、内容を説明する音声ファイルや代替テキストを挿入し、あらゆるユーザーが同じ情報を入手できるようにすることが大切です。
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