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マーケットシェア(市場占有率)とは?意味や種類を簡単解説!
商品を考案するときや事業方針を決めるときに重要となってくるのが、市場の把握です。
自社が市場でどのような立ち位置なのかを知るためには、マーケットシェア(市場占有率)が役立ちます。
今回は、マーケットシェアについて、種類や目標値、活用法などをご紹介します。
目次
マーケットシェア(市場占有率)は、自社商品の売上が市場でどのくらいの割合を占めているかを示す指標
マーケットシェアは、自社が所属する業界や市場において、自社の商品やサービスがどの程度のシェア(割合)を占めているかを表す数値です。この割合は、総売上高、販売数量、利用者数など、さまざまな基準で算出されます。
マーケットシェアを把握することは、自社の競争力や市場での立ち位置、全体的な業績を評価する上で欠かせません。
マーケットシェア(市場占有率)の種類と計算方法
マーケットシェアを理解し、活用するためには、その種類と計算式を把握する必要があります。主な種類は2つで、それぞれ計算方法が異なります。
絶対的市場シェア率
絶対的市場シェア率とは、自社の商品・サービスの売上が市場全体でどの程度を占めるかの割合です。市場内での自社の規模や影響力の指標となるもので、「全体市場のシェア」と「対象市場のシェア」の2つの分類があります。
- 全体市場のシェア
全体市場のシェアは、自社の商品・サービスが、市場全体において占める売上の割合を示します。これにより、市場全体での自社の位置を把握することができます。
- 対象市場のシェア
対象市場のシェアは、条件を限定した市場内における自社の商品・サービスの売上割合を示します。例えば、顧客の年齢や販売地域などで絞り込みます。これにより、特定のターゲット市場での競争力を分析することが可能です。
絶対的市場シェア率(%)=自社商品の売上÷市場(対象市場)全体の売上×100
例:市場の総売上が100万円で、企業Aの売上が15万円の場合、企業Aの絶対的市場シェア率は、15万円÷100万円×100=15%となります。
相対的市場シェア率
相対的市場シェア率は、自社の市場シェアを主要な競合他社と比較したときの割合です。自社の市場での位置づけや競争力を相対的に評価するときに役立ちます。
相対的市場シェア率(%)=自社の絶対的市場シェア率÷主要競合他社の絶対的市場シェア率×100
例:企業Aの絶対的市場シェア率が15%、最大手企業Bのシェア率が30%の場合、企業Aの相対的市場シェア率は、15%÷30%×100=50%となります。
マーケットシェア(市場占有率)の目標値
市場での自社の位置づけを明確にして目標を決めるためには、市場シェアの目標値を設定することが重要です。目標値は業界の標準や競合状況、市場の成長予測などから決めることができます。
クープマンの6段階の目標値が特に有名で、市場での自社の立ち位置を判断する際の指標となります。
1. 独占的市場シェア(73.9%以上)
独占的市場シェアは、シェア率が73.9%を超えている状態を指し、市場における支配的な地位を示します。市場の大部分を占めているため、短期間で競争相手に追随されることはほぼありません。
独占優位の状態であり、業界の基準となりやすく、幅広く知られている企業といえるでしょう。上位2社でこの数値を上回ると「二大寡占」、上位3社で上回ると「三大寡占」と呼ばれます。
2. 相対的安定市場シェア(41.7%以上)
「40%目標」と称され、企業が戦略を立てる際の目安とされることが多いのが、相対的安定市場シェアです。安定した地位にあり、3社以上で競っている場合に41.7%以上のシェアを持っていると、市場における強固な地位を確立しているといえます。
市場動向に大きな影響を与えることができる位置で、新規参入の企業にとっては高いハードルとなります。
3. 市場影響シェア(26.1%以上)
シェア率が26.1%以上の状態を指し、市場において影響力を持ち始めるのが、市場影響シェアです。市場を牽引する企業かどうかの境界線ともいわれ、この程度のシェアがあれば、業界に大きな影響力を持ちます。
市場のトレンドを形成する力を持ち、戦略的な動きによって業界に変化をもたらすことができますが、一方で、競合他社に逆転される可能性もある位置付けです。
4. 並列的競争シェア(19.3%以上)
並列的競争シェアは、シェア率が19.3%以上ある状態です。複数企業が拮抗した競争状態にある場合が多く、この水準を上回ると競争に一歩リードした状態となります。業界内で注目される存在であり、今後、競争をリードする可能性があるといえます。
戦略的なやマーケティング努力により、シェアのさらなる拡大を目指すことが重要な位置です。
5. 市場認知シェア(10.9%以上)
市場認知シェアは、シェア率が10.9%以上の状態を指します。消費者や競合他社から存在が認知されるラインですが、市場への影響力はまだまだ小さいです。
競合他社との差別化を図り、顧客基盤を拡大するための重要な段階といえます。
6. 市場存在シェア(6.8%以上)
シェア率が6.8%以上の状態を指す市場存在シェアは、市場での競争が許される最低値で、これを下回ると撤退を検討する必要があります。新規参入の企業の場合は、最初に目指すべき目標値といえるでしょう。
戦略的な取り組みを通じてシェアの拡大を目指す必要がある状態です。
マーケットシェア(市場占有率)を高めるメリット
認知度と信頼性の向上が期待できる
マーケットシェアが高い企業は、消費者にも良く知られ、信頼されています。認知度が高い状態を保つことができれば、新規顧客の獲得にも有利といえるでしょう。さらに、既存顧客へのロイヤリティを高めることにもつながります。
また、認知度や信頼性が高い状態は、投資家にとっても安心材料となります。安定した収益性は、資金調達の機会を増やすことにもつながりやすくなります。
市場への強い影響力が持てる
マーケットシェアが高い企業ほど、市場への強い影響力を持っているといえます。そのため、商品やサービスの価格設定においても大きな柔軟性を持ち、優位に立つことができます。
また、市場における強い地位を確立していれば、トレンドにも影響を及ぼすことができます。自社に有利なトレンドを形成することも可能といえるでしょう。
マーケットシェア(市場占有率)の活用法
競合との差を分析し、戦略的な計画を立てる
マーケットシェアは、戦略的な意思決定を行う際に多方面で利用できます。まずは競合他社と比較して自社の競争力を分析しましょう。
市場での自社の立ち位置を把握しておくと、事業の成長戦略を立てる際や新たな目標を決める際に役立ちます。競合に対する自社の強み・弱みを明らかにすることで、差別化を図る際にも重要な指標となるでしょう。
マーケティング活動を最適化する
市場シェアの拡大を狙ったマーケティングの後には、市場シェアのトレンドを分析をして効果測定を行いましょう。特に、新しい商品の投入やプロモーションキャンペーンの成功度合いを測る際に有効です。
また、市場全体におけるシェアは低くても、対象市場ではシェアが高いというケースもあります。マーケットシェアの分析結果を参考に、どのようなマーケティングが効果的かを考えると良いでしょう。
新規市場へ進出する際の判断基準にする
新規市場への進出を検討する際にも、マーケットシェアは役立ちます。現在の市場内のシェア率の状況から、進出先の市場での成功の可能性やリスクを考えましょう。
マーケットシェアの内訳として、一つの企業が強い場合と複数の企業がシェアを持っている場合では、新規参入した後の戦略も変わってきます。市場の成熟度や競争の激しさなどを把握し、的確な進出計画を立案しましょう。
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監修 | |
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Baseconnect株式会社 マーケティングチーム マネージャー 河村 和紀(かわむら かずき)大手人材紹介会社に新卒入社。その後、Webメディア「ferret」を運営する株式会社ベーシックに入社。営業、営業企画、イベントマーケを経て、マーケティングマネージャーに就任。 2022年、Baseconnect株式会社に参画。イベントを中心とした、ユーザーとのコミュニケーション領域を管轄する。主な寄稿実績『マーケター1年目の教科書』、『MarkeZine(マーケジン) vol.66』 |