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【マーケティングに必須】市場分析とは?フレームワークも併せて紹介
市場分析はビジネス戦略を立てる上で欠かせない工程です。この分析を通じて、企業は市場の傾向を把握し、ビジネスチャンスを見出すことができます。
今回は、市場分析の概要や役立つフレームワーク、注意点を解説します。
目次
市場分析とは、市場の動向や競合状況などを知るための分析手法
市場分析とは市場の動向、顧客のニーズ、競合状況など、ビジネス環境のさまざまな側面を評価し理解する分析手法のことです。
分析を行うことで、製品・サービスの市場でのポジショニングを最適化し、リスクを最小限に抑えつつ、市場の機会を最大限に活用する戦略を策定できます。
市場分析の手法
市場分析をする方法は「定性分析」と「定量分析」があり、2つを適切に組み合わせることでより深い洞察を得られます。定性分析は数値化できないデータを分析し、定量分析は数値データを基に行う分析手法です。
グループインタビューなどの定性分析により顧客のリアルな意見や感情を把握し、アンケート調査などの定量分析で数値感を計る、といった風に組み合わせることができます。これらの手法により分析することで、市場の全体像を捉え、効果的なビジネス戦略を立案することが可能になります。
市場分析に有効なフレームワーク
効率よく市場分析を行うために、フレームワークを活用しましょう。以下では、市場分析で用いられる主要なフレームワークを6つ解説します。
PEST分析
PEST分析は、政治(Political)、経済(Economic)、社会(Social)、技術(Technological)の頭文字を取ったもので、企業の外部環境を分析するために用います。PEST分析では、企業が直面する環境要因を幅広く調査し分析します。
4つの要因の詳細は以下の通りです。
- 政治的要因(Political)
政策、法律や条例、税制など、政治的な変化のうち企業活動に影響を及ぼすものを指します。 - 経済的要因(Economic)
経済成長、金利、為替レート、インフレ・デフレ率などの経済動向の変化のうち自社に影響するものが該当します。 - 社会的要因(Social)
人口統計、教育水準、文化的側面、健康意識の変化など、消費者の行動やニーズに影響を与える社会的トレンドを分析します。 - 技術的要因(Technological)
技術革新、研究開発活動、オートメーションの進展など、製品開発や市場競争力に直接関連する技術的進歩を捉えます。
「PEST分析」の詳細は、以下の記事をご参照ください。
SWOT分析
SWOT分析とは、自社の内部環境と外部環境のプラス要因とマイナス要因をそれぞれ書き出し、自社の強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)を評価する分析方法です。
各要素の詳細は以下の通りです。
- 強み(Strengths)
自社が競合に比べて優位である、差別化できている点を指します。 - 弱み(Weaknesses)
競合にあって自社にはない、あるいは苦手なポイントを洗い出します。 - 機会(Opportunities)
自社にとってチャンスとなり得る市場や業界の変化のことです。 - 脅威(Threats)
競争の激化や技術の陳腐化など、企業の目標達成を妨げる外部要因を指します。
プラス要因 | マイナス要因 | |
内部環境 | 強み(Strengths) | 弱み(Weaknesses) |
外部環境 | 機会(Opportunities) | 脅威(Threats) |
SWOT分析は主に戦略を練るために用いられる方法です。自社を取り巻く外部環境を正確に把握し、自社の強みや弱みを理解することで、より確度の高い戦略を立案することが可能になります。
「SWOT分析」の詳細は、以下の記事をご参照ください。
3C分析
3C分析は、自社(Company)、顧客(Customer)、競合(Competitor)の3つの要素を分析するフレームワークです。市場内での自社の位置づけと、顧客ニーズや競合他社との関係を明確にし、競争優位を確立するための戦略を導き出します。
3つの要素の詳細は以下の通りです。
- 自社(Company)
自社のリソース、能力、強み、弱みを評価します。財務状況、技術力、ブランド価値、人的リソースなど、内部の要素を総合的に分析します。 - 顧客(Customer)
顧客の現在のニーズと将来的なトレンドを把握します。顧客が何を価値と感じているのか、どのような解決策を求めているのかを理解することが重要です。 - 競合(Competitor)
競合他社の戦略、強み、弱み、市場シェア、価値提案を把握します。市場内で直接競合している企業だけでなく、代替品や新規参入企業も含めた広い視野で分析します。
「3C分析」の詳細は、以下の記事をご参照ください。
5フォース分析(5F分析)
5フォース(5F)分析は、業界の競争環境を理解するためのフレームワークで、マイケル・E・ポーターによって提唱されました。この分析では、業界内で事業を行う上での収益性に影響を与える5つの主要な力を考慮します。
5つの要素の詳細は以下の通りです。
- 既存の競合他社
業界内の既存企業間での競争の度合いです。競争が激化する要因には、業界内の企業数、成長速度、固定費の高さ、製品の差別化の困難さなどがあります。 - 買い手の交渉力
買い手(顧客)が価格や購入条件について交渉する力です。買い手の購入量、製品への依存度、代替品の有無などが、買い手の交渉力を決定します。買い手の交渉力が強い場合、価格引き下げやサービスの向上を迫られることがあり、企業の収益性に影響を与えます。 - 売り手の交渉力
売り手(供給業者)が価格や供給条件について交渉する力です。代替の供給源の不在、製品の独自性などが、供給業者の交渉力を高めます。供給業者の交渉力が強い場合、原材料コストの上昇や供給の制限を受けることがあり、企業のコスト構造と収益性に影響をおよぼします。 - 代替品の脅威
顧客が既存の製品・サービスの代わりに選ぶことができる製品・サービスの存在です。効果的な代替品が存在する場合、顧客はそれに切り替えることがあり、既存製品の市場での地位が弱まるおそれがあります。 - 新規参入の脅威
新しい競合が業界に参入する可能性のことです。新規参入者が増えると、市場のシェア争いが激化し、既存企業の収益性が圧迫される可能性があります。
「5フォース(5F)分析」の詳細は、以下の記事をご参照ください。
STP分析
STP分析は、セグメンテーション(Segmentation)、ターゲティング(Targeting)、ポジショニング(Positioning)の3つの視点から市場を分析するフレームワークです。市場を明確にセグメント化し、優位なターゲット市場を選定、製品やサービスをその市場に適合させることで、市場での独自の位置を確立します。
3つの各ステップの詳細は以下の通りです。
- セグメンテーション(Segmentation)
市場内の異なる顧客群を同じ特性やニーズを持つグループに分けることです。人口統計学的(年齢、性別、収入など)、地理的(地域、気候など)、心理的(ライフスタイル、価値観など)、行動的(購買行動、利用頻度など)の基準でセグメント化を行います。 - ターゲティング(Targeting)
セグメント化された市場の中から、企業がサービスを提供するのに最適なターゲット市場を選定することです。各セグメントの市場規模、成長性、競争状況、企業の目標と資源などを評価し、最も魅力的なセグメントを選びます。 - ポジショニング(Positioning)
選定されたターゲット市場内で、製品やサービスを顧客に対してどのように認識させ地位を確立するかを決定することです。
「STP分析」の詳細は、以下の記事をご参照ください。
PPM分析
PPM分析(Product Portfolio Management Analysis)は、企業が製品・サービスのポートフォリオを戦略的かつ効果的に管理するための手法です。この分析手法は、企業が製品やサービスの開発、マーケティング、リソース配分などの戦略的決定を行う際に役立ちます。
PPM分析では、製品の市場成長率を縦軸、相対的な市場シェアを横軸に置き、「スター」「金のなる木」「問題児」「犬」という4つのカテゴリに分類します。
4つのカテゴリの詳細は以下の通りです。
- スター
高い市場成長率と市場シェアを持つ製品やサービスです。市場成長率が高いため競争が激しく、積極的に投資を続け、シェアを守ることが重要です。 - 金のなる木
低い市場成長率にもかかわらず高い市場シェアを持つ製品・サービスです。安定的な収益を生み出します。 - 問題児
市場成長率は高いものの低い市場シェアを持つ製品・サービスです。市場の競争は激しいものの、シェアさえ高められれば将来的にスターになる可能性があるため、積極的な投資を行うとよいでしょう。 - 負け犬
市場成長率もシェアも低い製品・サービスです。通常は利益を生み出さないため、速やかに撤退・縮小し、別の資源に投資することが必要となってきます。
市場分析を行う際の注意点
表面的なデータに頼りすぎない
表面的なデータに頼りすぎると、市場の実際の状況やトレンドを見落とすおそれがあります。より精度の高い分析結果を得るためには、ひとつの分析手法にとらわれず、複数のフレームワークで分析・評価したり、調査会社など外部に依頼して客観的な意見を取り入れることが重要です。
さらに、定量的なデータだけでなく、定性的な情報も取り入れることも重要です。顧客の意見やフィードバック、市場の最新情報なども取り入れ、実際の市場感を掴めるようにしましょう。
現状維持バイアスに陥らないようにする
現状維持バイアスに陥ってしまうと、過去の成功や既存の製品に固執し、新しい市場や機会を見逃すおそれがあります。定期的に市場分析を見直し、市場の変化に敏感に対応しましょう。また、外部コンサルタントや顧客フィードバックを活用し、内部の偏見にとらわれないようにすることも大切です。
競合分析を過小評価しない
競合分析を過小評価すると、市場での自社の立ち位置や競合との差別化ポイントを見落とすおそれがあります。企業は、競合の戦略や製品、市場シェアなどを調べ、自社の強みや改善のポイントを見出しましょう。また、競合の動向を常に監視し、迅速に対応することも重要です。
顧客の声を重要視する
市場分析では、顧客のニーズや要望を正確に把握することが重要です。顧客からのフィードバックを積極的に収集し、製品・サービスの改善に活かすことが求められます。さらに、SNSに挙がっている顧客の声をリアルタイムですくい上げ、迅速に対応することも大切です。
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監修 | |
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Baseconnect株式会社 マーケティングチーム マネージャー 河村 和紀(かわむら かずき)大手人材紹介会社に新卒入社。その後、Webメディア「ferret」を運営する株式会社ベーシックに入社。営業、営業企画、イベントマーケを経て、マーケティングマネージャーに就任。 2022年、Baseconnect株式会社に参画。イベントを中心とした、ユーザーとのコミュニケーション領域を管轄する。主な寄稿実績『マーケター1年目の教科書』、『MarkeZine(マーケジン) vol.66』 |