「良いWebコンテンツとは」「良い商品コピーとは」のような議論は山のようにされていますが、こうした議論に従ったところで、結果の出るコンテンツはなかなか作れません。
結局の所、ターゲットにする層に応じて「刺さるコンテンツ」の条件は変わってくるため、一般論は参考程度にしかならないのです。しかし、ターゲット層とマーケターの認識を完全に一致させることは現実問題として不可能です。
そのような際には、「こうした方が、もっと顧客に刺さるのでは?」という仮説を、実証を通じて確かめていく必要があります。これを可能にするのが「ABテスト」という手法です。
今回は、ABテストについて、そのメリットと基本的なやり方を解説していきます。
目次
ABテストとは、複数のコンテンツに対する顧客の反応の違いを計測すること
ABテストとは、あるコンテンツ(コンテンツA)とその一部を変更したコンテンツ(コンテンツB)を用意し、ユーザーに対してランダムに表示することでその反応の違い(クリック率、直帰率など)を計測するコンテンツ改善の手法です。
ABテストを行うことで、マーケターの主観を排し、客観的に施策の有効性を確かめられます。
「ABテスト」という名前なので、比較するコンテンツは2つだけなのかと思われがちですが、それ以上用意しても構いません。その際は、分析が多少複雑になるので注意しましょう。
ABテストを行うメリット
ABテストは、Webサイトなどのコンテンツ、および広告を改善する際に高い威力を発揮します。では、具体的なメリットを見ていきましょう。
Webサイトの離脱率やコンバージョンなどの改善
「自社サイト立ち上げたのはいいけど、全然クリックしてもらえない…。」
「見てはもらえるけど、肝心の契約が伸びない…。」
こうした問題に対しても、ABテストを通じてアプローチすることができます。自社サイトを通じ顧客を獲得するには、おおよそ「コンテンツを見てもらって、そこで関心をもってもらい、十分な時間の閲覧や回遊を経て、会員登録や契約にいたる」というプロセスを踏むかと思います。
たとえば、アクセス解析の結果、閲覧時間が異常に短い場合、「単純に見づらいのでは?」「内容が的外れなのでは?」「関心を引くレイアウトになっていないのでは?」といった仮説が考えられます。この仮説をABテストを通じて実証し、改善へと繋げることができます。
Web広告のクリック率やコンバージョンなどの改善
Web広告はWebサイトと比べると、「クリックされるか?」という部分に主眼を置かれがちです。広告を出稿したは良いけど、全然クリックされない…といった場合には、広告コピー自体をABテストにかけ、改善を行うことが可能です。
広告コピーは非常に短い文章ながら、「コピーライター」という専門の職業があるように非常に重要性の高いものになっています。改善の難易度も高いので、テストを活用して効率よく改善を目指しましょう。
また、広告のLP(ランディングページ、広告をクリックして最初に表示されるページ)や広告メールに関しても、Webサイトと同様に改善を行うことができます。
ABテストを行う手順
それでは、ABテストを具体的にどういった手順で行うのか、順を追って見ていきましょう。
1. 現状の問題を認識する
まず、現状のコンテンツや広告において、どういった点が問題なのかを認識しましょう。Googleアナリティクスなどのアクセス解析サービスを活用して、どういった数値が低いのかを調べることが有効です。
クリック率や直帰率、滞在時間など、どこが問題なのかを知ることで、改善のための仮説立てが可能になります。
2. 仮説を立てる
問題が特定できたら、なぜその数値が低いのか仮説立てを行います。例えば、滞在時間が異様に短い場合、「期待していたコンテンツと内容が違った」「見づらいレイアウトになっている」「内容がぱっと分からない」などの仮説が立てられます。
こうした仮説をもとに、どのような改善を加えれば改善ができるのかを考えていきましょう。
3. テスト用のコンテンツを用意
仮説立てができたら、それを解消するためのコンテンツ改善策を用意し、実際に形にしてみましょう。この際には、あとで要因を分析しやすくするために、1箇所のみ変更したものを用意することがコツです。
いくつかのコンテンツ案ができたら、実際に公開して、テストを行いましょう。
4. テスト・検証
実際のテストの段階では、Googleオプティマイズなどのサービスを活用し、データ収集や分析をワンストップで効率よく行いましょう。実際にどの程度の違いが出たのか?それはなぜなのか?といった部分を細かく考えて、PDCAサイクルを回していきましょう。
ABテストの注意点
ABテストはコンテンツ改善の王道とも言える方法ですが、効果をしっかりと発揮するためにはいくつか注意すべきポイントが存在します。
変えるポイントは1か所
効率よくテストを進めたい場合、1回のテストでいくつもの改善箇所を試してみたくなるものですが、必ず1回のテストあたり1箇所の改善にとどめましょう。Webサイトであればヘッダーだけ、バナーだけ…のような形です。
複数箇所を変えてしまうと、「何が原因で数値に違いが出たのか?」が曖昧になってしまい、最終的にどういった改善を加えればいいのかわからなくなってしまいますので注意しましょう。
必ず仮説ベースで進める
むやみやたらに改善をテストしたところで、成功の確度は高まりません。「なぜ、その数値が低くなっているのか?」「どの部分を、どのように変えればその数値は改善するのか?なぜ、そう言えるのか?」など、原因について十分に吟味し仮説を立て、費用対効果の高いテストを実現しましょう。
対象のユーザーや日時に偏りが生じないようにする
テストのサンプルとなるユーザーはインターネット上に大量に存在します。しかし、それでもやはり意図しない偏りが存在してしまう可能性もあります。表示はあくまでもランダムに行い、ユーザー属性に依存しないようなテストを行うようにしましょう。
また、テストの期間にも十分に注意を払いましょう。平日だけ、休日だけといった偏りが存在してしまうと、結果の精度が下がってしまうかもしれません。また、コンテンツによっては特定の日時にアクセスが大きく変動するものもあるので、それによる偏りにも注意しましょう。
いかがでしたか?
ABテストはいいコンテンツ作りには不可欠なテスト手法です。正しい実行の方法を学んで、効率よくコンテンツの質を向上させれるようにしていきましょう。
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