【基本】ARPUとは｜収益モデルごとの計算方法や向上させる方法を紹介

ARPU（アープ）とは何かご存知でしょうか。ARPUは、SaaSやスマートフォン用アプリなどの現状を評価する上で欠かせない指標です。
今回は、ARPUについての概要や、収益モデルごとの計算方法、ARPUを向上させる方法を紹介します。

ARPUとは、ユーザーひとり当たりの平均売上高のこと

ARPU（アープ）とは、SaaSやスマートフォン用アプリなどにおいて、ユーザーひとり当たりの平均売上高を指す指標です。「Average Revenue Per User」の略で、ARPUの大きさによってそのサービスの業績を評価します。ARPUの計算式は以下の通りです。

例えば、1カ月の合計売上高が100万円でユーザー数が2,000人の場合、ARPUは500となります。ARPUを計算する際の期間としては、週ごとや月ごと、四半期ごとなど目的に合った長さが用いられ、その期間内でサービスを利用したアクティブユーザーを、ユーザー数として用います。

ARPUは以前、通信事業における月額課金モデルの業績を評価する指標として使われていましたが、SaaSの普及、音楽配信サービスや動画配信サービスといったサブスクリプションサービス、課金アプリの流通により、幅広い課金モデルで使われるようになりました。同じ業種でもお金の徴収制度が様々あるため、例えば通信事業であれば、通話料を評価する「音声ARPU」とデータ通信料を「データARPU」に分けて考えるような、ARPUを細分化する場合もよくあります。

ARPUが注目されている背景

APRUは元々、日本で携帯電話を持っていない人が非常に少なくなり通信キャリアの市場が飽和してしまったことから、収益を向上させるには顧客ひとり当たりの売上を高めなければならないとして使われるようになった指標です。

現在では、SaaSなどの収益を増やすには登録者を増やすか、既存の登録者をより上位のサービスに促すかが主流で、一定数の顧客を獲得すると新たな登録者を増やすことが難しくなります。そのため、登録者数そのものではなく、既存登録者による売上変動を表す指標のARPUが注目されており、これを向上させる取り組みが必要と言えます。

ARPPUやARPAとの違い

ARPUと似た言葉にARPPUやARPAがあります。ARPPU（Average Revenue Per Paid User）とは、課金しているユーザーひとり当たりの平均売上高で、次の式で計算されます。

スマートフォン用アプリでは、アプリ内課金を採用していることが多く、この場合非課金ユーザーを計算に含めてしまう、つまりARPUを計算してしまうと、評価指標として適切な数値が得られません。そのため、課金システムがある場合は、ARPPUが通常用いられます。

ARPA（Average Revenue Per Account）とは、アカウントひとつ当たりの平均売上高で、次の式で計算されます。

携帯電話やSaaSでは、ユーザーひとりが複数のアカウントを持つ場合も多く、ARPUを計算するとアカウントを複数持つユーザーの影響で不当に大きな値が出てしまいます。このような場合は、ARPUの代わりにARPAを評価指標として用います。

収益モデルごとのARPUの計算方法

利用課金モデル

アプリの特定の機能を用いる際に課金が発生するような、利用課金モデルでのARPUは、課金ユーザー当たりの平均売上高であるARPPUと、ユーザー当たりの課金ユーザーの割合であるPUR（Paid User Rate）を用いて次の式で計算されます。

例えば、1カ月の合計売上高が100万円で課金ユーザー数が1,000人、非課金ユーザーが3,000人であった場合、ARPPUは1,000（1,000,000 ÷ 4,000）、PURは0.25（1,000 ÷ 4,000）であるため、ARPUは250となります。

広告表示モデル

無料アプリなどで採用され、広告が表示されれば収益が入る広告表示モデルでのARPUは、1,000回表示されるごとの広告単価であるCPM（Cost Per Mile）を用いて次の式で計算されます。

計算では広告表示1回に対する単価を計算するため、CPMを1,000で割っており、ARPUはユーザーひとり当たりから得た広告表示による収入を意味します。例えば、1ヶ月のひとり当たりの広告表示回数が100回、CPMが500円（1回の表示で0.5円）の場合、ARPUは200となります。

クリック・インストール型モデル

ユーザーが広告をクリックすることで収益が入るクリック・インストール型モデルでのARPUは、1クリック当たりに発生する売上のCPC（Cost Per Click）と、広告表示に対するクリック率CTR（Click Through Rate）から次の式で計算されます。

クリック・インストール型モデルのARPUは、広告表示1回当たりの売上高を示しており、1ヶ月当たりのCPCが50円、広告表示回数が100万回、クリック回数が1万回の場合、CTRは1%つまり0.01（10,000 ÷ 1,0000,000）なのでAPRUは0.5となります。

ARPUを向上させる方法

顧客ロイヤリティを向上させる

ARPUはユーザーひとり当たりの売上高であり、これを向上させるためには既存ユーザーに今より高価なサービスに登録してもらう（アップセルを狙う）ことが効果的です。アップセルを促すには、顧客ロイヤリティを高めてサービスへの信頼を獲得する必要があります。

顧客ロイヤリティを高めるために、高品質なサービスの提供に加え、日々顧客の声を聞き改善していくことを心がけましょう。

課金ユーザーへの待遇を改善する

ARPUでは特に、課金ユーザーの継続的な利用を促すほか、非課金ユーザーにも課金する価値があることを訴求する必要があります。そのためには、課金ユーザーへの待遇を改善し、課金ユーザーが不利益を被らないよう注意することが重要です。