リンクジュースという言葉をご存知ですか?これはSEO対策にとって重要な仕組みとして知られている言葉です。一方で、現在ではもう通用しないという話もあります。
本記事ではリンクジュースの内容や活用法を説明すると同時に、その有効性についても解説します。
目次
リンクジュースとは、リンクしたサイトへの検索エンジンの評価が被リンク側の評価にも影響する仕組みのこと
リンクジュースとは、まるでジュースをコップから別のコップへと注ぐように、リンクを受けたサイトの評価にリンクを渡したサイトの評価が影響する仕組みのことを指します。かつては単純に被リンクが多いほどサイトの評価が上がる仕組みでしたが、現在では相手側のサイトがスパムや悪質なサイトという評価を受けていると、逆にこちらの評価が下がるような仕組みになっています。
ただしリンクジュースはユーザーがGoogleが検索順位を決める仕組みから推測し、勝手に命名したものに過ぎません。そのため、この仕組みの詳細な内容や、そもそも存在するかどうかについてハッキリとした答えは出せないことに注意してください。
リンクジュースは、検索順位を決めるための指標であるPageRankに影響する
リンクジュースはGoogleがサイトの検索順位を決めるための指標の1つであるPageRankに関係しています。PageRankはGoogleから実在が明かされている仕組みであり、PageRankが高いほど検索順位が上がります。かつてはツールバーでサイトのPageRankを確認できましたが、現在ではユーザーが確認することはできず、詳しい計算式も不明です。
PageRankは、被引用数が多いものほど良い論文であるとするアカデミアの評価軸を採用し、被リンクによってその評価を増減していると言われています。これがリンクジュースに関わっています。
リンクジュースの有効性がGoogleから否定されていることについて
リンクジュースが有効であるならば、その仕組みを上手く活用すれば自サイトの検索順位を上げることにつながり、SEO対策になります。しかし、リンクジュースはもはや時代遅れであり、現代ではSEO対策として通用しないという言い方がされることがあります。
こうした話の大元は、リンクジュースの有効性をGoogleの社員自らが否定したことに由来しています。しかし、その否定をそのまま受け取るべきではないかもしれません。ここではその否定の経緯から、本当に現在リンクジュースに有効性がないのかを検討します。
リンクジュースの有効性を否定するGoogleのWebアナリストによるツイート
リンクジュースの有効性を疑問視するきっかけとなったのは、GoogleのWebアナリストであるジョン・ミューラー氏によるTwitter(現X)での2020年の投稿です。以下がその内容です。
I’d forget everything you read about “link juice.” It’s very likely all obsolete, wrong, and/or misleading. Instead, build a website that works well for your users.
【和訳】「リンクジュース」について読んだことは全て忘れた方がいい。全てが時代遅れで間違っていて、さらに誤解を招く可能性が非常に高い。それよりも、あなたのユーザーにとって好ましいように機能するWebサイトを作ってほしい。
このツイートを読むと、リンクジュースによるSEO対策の有効性が、Googleから否定されたように受け取れます。しかし問題は、ミューラー氏の言う「リンクジュースについて読んだこと」がどのような内容を指しているかです。
それを推測するカギはミューラー氏の語り口にあります。実は、「リンクばかりに集中せず、良いサイトを作ることに専念しなさい」という言い方をGoogleがするのは、今回が初めてではないのです。
リンク工作にペナルティを課したペンギンアップデート
2012年から2016年にかけて、Googleは検索エンジンのアルゴリズムアップデートであるペンギンアップデートを行いました。当時は被リンクの数によってサイトの評価が決まっており、リンクの売買や自作自演による相互リンクなどが横行していました。こうしたリンク構築で検索順位を上げたサイトは低品質なことが多いため、ペンギンアップデートによって検索順位を下げるように改訂されました。
このアップデートの目的は、リンク工作をしたサイトではなく、ユーザーによって使いやすくて有益なサイトを検索上位に上げ、ユーザーの満足度を高めることでした。現在でもGoogleは、「興味深く有益なサイトにする」ことが何よりのSEO対策と考えられると表明しています。
参照「Google検索セントラル」:https://developers.google.com/search/docs/fundamentals/seo-starter-guide?hl=ja#make-your-site-interesting
先のミューラー氏のツイートも、こうした趣旨の発言であると思われます。つまりミューラー氏が否定した「リンクジュースについて読んだこと」が指すのは、主にサイトの出来ではなくリンク操作によって検索順位を上げようとする戦略のことであると推測できるのです。
サイトの信頼度に応じた被リンクの影響は残っている
では結局、リンクジュースについては「忘れた方が良い」のでしょうか?ここまでの推測によれば、忘れた方が良いものもあるが、全てではないだろうと思われます。
ペンギンアップデート以前の、リンクを結ぶことのみに注力した戦略は忘れた方が良いでしょう。現在では、スパムであろうが自作自演であろうがリンクを繋ぎさえすれば評価が上がるわけではなく、むしろ悪質なサイトからの被リンクやリンク工作は評価を下げることになります。
これは逆に言えば、被リンクによる評価への影響は消えていないということです。Googleが信頼できると判断したサイトからの被リンクは評価を上げ、Googleが信頼できないと判断したサイトからの被リンクは評価を下げます。アップデート以前よりもサイト自体の品質の重要性は増しましたが、リンクのつなぎ方が検索順位に関わらないとは言い切れません。
リンクジュースを増やし、PageRankを上げるためのSEO対策
ユーザーに役立つサイトを作り、被リンクを獲得する
リンクに関わらずSEO対策の大前提として、ユーザーにとって有益なサイトを作ることが最も重要です。具体的には、専門性が高くオリジナリティのあるサイト、もしくは情報は他と同じでもより見やすく使いやすいサイトを作ることが何よりのSEO対策です。
このようなサイト自体の有用さに基づいて他サイトから被リンクを受けられれば、サイトの評価と検索順位が上がります。
アンカーテキストに対策キーワードを入れる
アンカーテキストとは、リンクが設定された文字列のことを指します。このアンカーテキスト内に検索されやすいキーワードが入っていると、PageRankが上がるとされています。
ただし、この仕組みを悪用してリンク先のページ内容とは関係ない文字列を埋め込むスパムが横行した結果、アップデートによりこうしたスパムがペナルティ対象とされました。そのため、現在ではこの方法がPageRankを上げるかどうか厳密には分からないことは注意してください。
PageRankを特に上げたいリンクは、クリックされやすそうな位置に置く
リンクジュースの仕組みは自サイト内のリンクにも反映されており、活用することでどのページの検索順位を上げやすくするかに影響を与えられます。
Googleはページ内にあるリンク全てを均等に評価するわけではなく、クリックされそうなリンクに高い評価を与えます。ページ上部のメニューに置かれたリンクは特に評価されやすく、逆に利用規約やプライバシーポリシーなど下部の端にあるリンクは評価されづらいと言われています。そのため、PageRankを上げたいページのリンクはクリックされやすい場所に置くことが重要です。
ただしもちろん、必要以上のリンクをメニューに置くなど、実態を伴わない操作はスパム扱いされる危険があります。
自サイト内でのリンクを整理する
これは検索順位を上げるための直接的な要因とは言えませんが、サイトへの適切な評価が下されるには、サイト内のリンクが整理されていることが重要です。
サイトのメインの内容、サブの内容がそれぞれどのページにあるのかをリンクの構築でも分かりやすくしておくと、サイトへの評価が適切に下されやすくなるとされています。リンクジュースを活用しようと必要以上にリンクを増やすことは構造の複雑化を招き、逆効果です。
識別タグを活用する
広告やコメントスパムへのリンクなど、評価と紐づけられるべきではないページへのリンクに対しては、「sponsored」や「nofollow」などのタグ付けを行うと検索エンジン側に識別させることができます。特に広告リンクに対してはタグ付けが必須とされています。詳しくは下記のGoogleの説明を参照してください。
参照「Google検索セントラル」:https://developers.google.com/search/blog/2019/09/evolving-nofollow-new-ways-to-identify?hl=ja
ただし、これらのタグはあくまで評価を紐づけたくないというこちらの意思を伝達するのみであり、そう認識した上で検索エンジン側は全てを確認します。そのため、付ける必要のないところにタグを付けて評価を操作することはできません。
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