みなさんの企業ホームページや営業資料には、導入事例は掲載されていますか?事例紹介は導入検討中の見込み客へ、導入を後押しする効果があります。
今回はBtoBにおける事例紹介の形式・構成などの書き方や、作成する上でのポイントを解説します。
目次
事例紹介を掲載することで、見込み客の導入を後押しできる
事例紹介とは、既存顧客の商品・サービス導入理由や効果、感想などを記事にまとめたものです。商品・サービス導入を迷っている見込み客に対して導入を後押しする効果があり、特に無形商材で多く用いられています。
導入事例は、導入の検討前期と検討後期にそれぞれ効果を発揮します。検討前期では、見込み客に対して「商品・サービスが課題を解決できるものである」という確信を与えられます。また、検討後期には稟議において、導入事例を決裁者への説得材料として使用してもらえるため、契約につながりやすくなります。
導入事例は主に企業ホームページに掲載されます。問い合わせや資料請求などのコンバージョン増加が見込めますが、導入事例のページはSEOには強くないため、サイト以外からの流入を図らなくてはなりません。FacebookなどのSNSへの広告配信を合わせて行うことで、閲覧者を増やせます。
事例紹介の形式
事例紹介には「Q&A形式」と「ルポルタージュ形式」の2つの形式がよく用いられます。
・Q&A形式
ホームページなど、Web上に掲載される事例紹介でよく用いられているのがQ&A形式です。インタビュアーの質問とインタビュイーの回答を会話文としてまとめているものが一般的です。
会話形式で展開されるため、導入のきっかけや成果などがストーリー仕立てで読みやすくなるほか、読者の共感を得られやすくなります。また、事例紹介の作成に慣れていなくてもまとめやすいというメリットもあります。一方で、会話文を書き起こす形式上、冗長になりやすいというデメリットもあります。
・ルポルタージュ形式
営業資料や企画書などでよく使われるのが、取材内容を制作者視点でまとめ直すルポルタージュ形式です。
ルポルタージュ形式は、地の文と会話文を組み合わせて作成されます。地の文にインタビュー内容を会話文として組み込むことでメリハリをつけられるため、要点を強調しやすいというメリットがあります。また、会話文だけでは理解が難しい、情報が弱い部分を地の文で補強することで、説得力のある事例紹介が作成できます。
ただし、地の文と会話文のバランスをうまく取らないと、強調すべき部分が地の文に埋もれてしまったり、会話文が多すぎて冗長になってしまったりするおそれがあります。そのため、事例作成に慣れていないと難しい形式といえます。
事例紹介の基本的な構成
事例紹介は、複数の事例を見たときにユーザーが比較しやすいよう、特別な理由がない限り同じような構成にすることをおすすめします。また、大まかなテンプレートを用意しておくことで、誰が作成を担当してもクオリティが維持しやすくなります。
事例紹介の基本的な構成は以下の通りです。
- タイトル
本文を読みたくなるような、わかりやすいタイトルをつけます。説得力が出るよう、導入による具体的な成果を盛り込むとよいでしょう。 - 掲載企業のプロフィール
導入事例で取り上げる企業のプロフィールを紹介します。会社名のほか、事業内容や企業規模、ビジネスの領域などを記載しましょう。 - 導入事例の概要
本文の内容を簡単にまとめた概要を作成しましょう。結論をあらかじめ示しておくことで、最後まで読んでもらいやすくなります。文章でまとめてもよいですが、「導入前の課題:〇〇 導入による効果:〇〇」のように箇条書きにするとわかりやすく示せます。 - 見出し/本文
見出しをわけるなど、要素ごとに整理して本文を作成します。導入の背景や決め手、感想、効果、今後の目標など、わかりやすい流れを意識した文章にしましょう。
導入事例を作成する上でのポイント
最適な掲載対象を選ぶ
導入事例を掲載する対象企業は、以下の3つの点に考慮して選定すると効果的です。
・見込み客との共通点
見込み客は導入の参考とするために、業種や業界、企業規模、地域、課題など、自社と共通点のある企業の導入事例を探しています。ターゲットとしている層と近い企業を選定しましょう。
・知名度
知名度の高い企業への導入事例は、企業や商品への信頼性向上につながります。ただし、大企業ばかり紹介すると、中〜小規模の企業に「自分たちは対象外だ」と捉えられてしまうおそれもあるため、注意が必要です。
・十分な成果
どんな企業の事例であっても、成果を示せていなければ説得力はありません。課題を十分に解決できた企業の導入事例を掲載しましょう。
ストーリーを意識する
ビジネス文書は結論を先に述べ、最後に提案を行う「結承転提」が基本とされています。しかし、事例紹介では結果だけでなくそこに至るまでの経緯も重視されるため、「起承転結」で文章を作成します。読み手を引きつけられるよう、起承転結に沿ったストーリーになるような構成にしましょう。
よく使われるストーリーには、「課題解決型」「競合優位型」「模範活用型」などがあります。
- 課題解決型
もっとも一般的な事例紹介は「課題解決型」です。企業の抱えていた課題が、商品・サービス導入後どのように解決したのかというストーリーを展開します。 - 競合優位型
自社が提供するサービスに競合他社が多く、差別化を狙いたい場合は「競合優位型」のストーリーが向いています。このストーリーでは、なぜこのサービスを選んだのかという点や、他社からの乗り換えに至った理由に焦点を当てます。 - 模範活用型
サービスをうまく活用している企業の導入事例は、「模範活用型」としてまとめるのがよいでしょう。活用イメージが持てず導入を躊躇している企業に対して有効なストーリーです。また、導入後うまく活用できていない企業に対しても、模範的な活用例を示すことで契約解除を回避できます。
それぞれの構成例を以下の表にまとめましたので、参考にしてみてください。
課題解決型 | 競合優位型 | 模範活用型 | |
起 | 企業・チームの課題 | 企業・チームの課題 | 企業・チームの課題 導入の決め手 |
承 | 導入の決め手 | 他社サービスなどに対する不満 課題が発生した背景 自社サービス認知のきっかけ |
商品・サービスの活用方法 |
転 | 導入後の変化 導入による成果 |
導入の決め手 導入に至るまでのストーリー 導入後の変化 |
導入後の変化 導入による成果 |
結 | 今後の展望について | 今後の展望について | 今後の展望について |
成果は数字でわかりやすく示す
導入事例では、成果は数字で示す方が説得力が増します。例えば、「導入前より生産力がアップ」よりも「導入後2ヶ月で生産性が5倍」の方が読み手に効果をイメージさせやすくなります。インタビューの時点で、成果を数値化できるようにしっかりとヒアリングするようにしましょう。
これらの情報は、本文のほかにタイトルや見出しにも盛り込むことで、見込み客に見てもらいやすくなります。
わかりやすい言葉を使用する
インタビューの中で出た専門用語や業界用語、独自の略語などは、誰が読んでもわかりやすいような言葉に書き換えるか、注釈を入れるようにしましょう。特に、音声インタビューをもとに事例紹介を作成する場合には注意が必要です。その場で聞いていたインタビュアーは話の流れから察せても、第三者は音声をそのまま起こしただけの文章では理解できないということがあります。
また、インタビュイーは回答を考えながら話しているので、指示語や抽象的な表現が多くなってしまう場合もあります。インタビューの臨場感は損なわないよう注意しながら、必要な部分は編集するようにしましょう。
そのほか、「昨年」のように後から読み返した場合に支障が出る表現は、いつ読んでもわかるような表現に修正する必要があります。
マイナス要素についても触れる
事例紹介作成に協力してくれた顧客は、インタビュー側の企業に対してよい印象を持ってくれている場合が多いでしょう。そのため、プラスになるエピソードを多く話してもらえるかもしれません。しかし、情報の信ぴょう性を高めるためには、マイナスの要素についても触れる必要があります。
この時、不満点やクレームについて記載するのではなく、つまづいたポイントとして記載することが大切です。「最初はうまくいかず、軌道にのるまで2ヶ月かかってしまった」など、その後の成功につながる書き方にすると効果的です。
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