マーケティング戦略

ポジショニングマップを使って「自社らしさ」で戦う方法とは

マーケティングの基本中の基本である「STP分析」。市場をいくつかの属性で分割し(セグメンテーション)、標的となる顧客を定め(ターゲティング)、市場での立場を設定する(ポジショニング)ことでマーケティング戦略の大枠を決定する考え方です(詳しくはこちら:STP分析とは?顧客とより良く関わるための考え方を徹底解説)。

ターゲティングまでは過去の購買データや自社商品の特性からある程度ヒントを得ることが可能です。しかし、ポジショニングの段階になると、ポジションの最適な決定要因を考え出さなければならないため難易度が上がります

また、顧客の立場に寄り過ぎると自社の強みが全く活きなかったり、あるいは自社の強みにこだわりすぎて顧客に全く訴求できなかったりといったことも往々にして起こります。

今回は、そういった事態を回避し、「自社らしさ」で市場を勝ち抜くためのポジショニングの方法を、「ポジショニングマップ」というツールを使って考えていきます。

ポジショニングマップとは、顧客から見た自社や競合の立場を可視化したもの

ポジショニングマップとは、下のような座標の各軸にポジションの決定要因をおき、競合や自社がどのようなポジションに現在いるのか自社はどのようなポジションを狙いに行くべきなのかを考えるものです。

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このような図の上でポジショニングを可視化することで、直観的でわかりやすい思考と説明が可能になります。また、自社のコアとなる価値と市場のニーズのマッチングを明確に示すことが出来るため、軸のぶれないマーケティング戦略の立案が可能になります

ポジショニングマップの作り方

では実際に、ポジショニングを図の上で可視化するためのポジショニングマップをどうやって作っていくのかを解説します。

今回は具体例として、「オフィスのインテリアデザインを行う会社」のポジショニングマップを考えていきます。ターゲット顧客は「ベンチャー企業で、オフィスメンバーは数十名、年齢層は若く女性が比較的多い」といった属性を設定します。

1. 軸を決める

まずは、ポジショニングの決定要因を考える必要があります。上の図でいえば、タテ・ヨコそれぞれの軸にどのような要素を当てはめるか考える段階です。

座標が2次元であることからわかるように、基本的にポジショニングマップ上では軸は2つに絞ります。ターゲットとなる市場でどのような価値が求められているのか?自社の強みは何か?といった点から最適な2軸を設定していきましょう。

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今回はターゲットの属性から「デザイン性:落ち着いたデザインが得意か、ポップなデザインが得意か」「価格:高価格か、リーズナブルか」といった軸を設定しました。軸が設定できたら上のように書き込んでおきましょう。

2. 競合をプロットする

軸を決定できたら、競合となる企業を座標上にプロットしていきましょう。座標の形をしていますが、あくまで相対的な評価に過ぎないので、原点の上/右か下/左かなどはあまり気にしなくても大丈夫です

今回はこのような結果になりました。やはり価格とデザインの落ち着きはある程度相関しそうです。

3. 自社のポジションを決定する

競合がプロットできたら、自社の目指すべきポジションを考えていきましょう。上で掲載した画像をもう一度再掲します。

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「高価格でポップ」「リーズナブルで落ち着いている」といったポジショニングに空きがありますので、そこが狙い目でしょう。確かに価格とデザインの落ち着きには現状相関がありますが、因果関係ではありません。

「高価格でポップ」なポジショニングは、ファッションで言えばFENDIなどの若者向けハイブランドによく見られ、「リーズナブルで落ち着いている」ポジショニングはZARAなどの製品に多く見られます。

素材やサプライチェーンの工夫次第でこのようなポジショニングも可能になりそうです。いろいろな側面から考えつつ、適切なポジショニングを探していきましょう。

「自社らしさ」で戦えるポジショニングマップを作る際のポイント

それでは、ポジショニングマップを作成する際に気をつけるべきポイントを解説していきます。以下のポイントを参考に、ニーズと自社の強みのバランスをうまく取っていきましょう。

軸は顧客ニーズにマッチしているか?

まずは軸を、顧客の求める価値に応じて設定する必要があります。上の例では、ターゲットの属性から「価格」「デザイン」の2軸を推測しましたが、実際に顧客に対するアンケートなどを通じてニーズを精査することも出来ます。

こうした顧客のニーズにマッチした軸をKBF(Key Buying Factor:購買決定要因)といいます。法人顧客においてはKBFは経済的な合理性であることが多いですが、BtoBでもBtoC的なKBF(デザイン、ブランドなど)が設定されることもあります。

その軸で自社の強みは活きるか?

多くの場合、KBFは2つではありません。数多くのKBFがあり、その中から2つを選ぶことになります。

その際には、「できるだけ自社の強みを活かせるもの」を選びましょう。いくら重要度の高いKBFであっても、自社が戦えないフィールドでは負け戦になってしまいます。

もし、どんなKBFを探しても自社の強みが活かせない!という状況になったら、ターゲティングからの根本的な見直しが必要になってくるでしょう。自社の強みが活きるフィールドで戦うのが肝要です。

そのポジションは実現可能か?

下のポジショニングマップをご覧ください。

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これは「価格」と「品質」でポジショニングを行ったものです。競合の並びを見ると、この2つの軸には正の相関があるようです。

また、実際に両者にはある程度の因果関係があるケースがほとんどです(品質を上げることで価格も上がる)。このような因果関係を抜けた「低価格、高品質」などのポジショニングは実現が非常に困難であり、利益構造を過度に犠牲にするようであればあまり積極的に取るべきではないでしょう

(ただし、実現が困難なポジショニングはそれだけ強力な差別化であるといえます。「低価格、高品質」なポジショニングを行った企業の例としては、ニトリ(インテリア)、HUAWEI(電子機器)、CASIO(時計)などがあり、市場で特異な地位を築いています。)

まとめ

いかがでしたか?

自社の強みを活かすには、ニーズと自社の強みがマッチするような市場で戦うことが必要です。ポジショニングマップはそれを考えるにあたって大きなヒントになってくれます。

今回お伝えしたことを参考に、自社ならではのポジショニングを考えてみてくださいね。