【基本解説】エリアマーケティングとは｜目的や分析手法、手順を紹介

効果的なエリアマーケティングを行いたいけれど、どのようにすればよいか分からず悩んでいませんか？
今回は、エリアマーケティングの概要や目的、分析手法や手順を解説します。

エリアマーケティングとは、地域の特性に応じたマーケティング活動を行うこと

エリアマーケティングとは、全国で同一の販売戦略を取らず、地域（エリア）の特性に応じたマーケティング活動を行うことです。各地域の生活様式や土地柄、交通インフラなどの特徴を考慮してマーケティング活動を行い、顧客満足度向上を目指します。

エリアマーケティングのメリット

商圏内の現状が把握できる

自社のターゲット層と商圏の人口構成がマッチしていると、利益が最大化させられます。エリアマーケティングを行う中で、顧客になり得る人口構成などの商圏状況を詳細に把握できるため、新規出店の際などに役立てられます。

また、競合店がエリア内のどの位置に出店していて、どのような施策を講じているのかを分析することも現状把握につながります。

売上予測・需要予測が立てられる

エリアマーケティングに伴って売上予測・需要予測を行うことで、利益を最大化できます。具体的な売上予測・需要予測の手法には、以下のものがあります。

• ハフモデル（Huff Model）
  「消費者はできるだけ近くにある大きな店舗に魅力を感じ、買い物に行く」という仮定のもと来店確率を予測する方法です。このとき、エリア内の人口や競合店の位置関係などを把握したり、直線距離だけでなく道路距離を用いたりなど、複数項目で分析することで売上予測の精度が上がります。
• 重回帰分析
  既存店舗の売り場面積や従業員数、商品数、駅からの距離、駐車可能台数など、複数の要素から売上に影響するものを予測する方法です。

効果的な販売戦略・広告戦略を立案できる

エリアマーケティングを行うことで、利益の最大化に有効な販売戦略・広告戦略を立案できます。商圏状況の把握や売上・需要の予測ができても、エリア内の顧客に合ったアプローチをしなければ売上にはつなげられません。

顧客の年齢層が低ければSNSなどを使った販促が有効です。一方で、中高年が多いエリアでは従来のチラシ広告を利用するなど、商圏内の顧客の特徴に合わせた販売戦略・広告戦略が立案できます。

エリアマーケティングの分析手法

代表的なエリアマーケティングの分析手法には、以下のものがあります。

• 商圏分析
  国勢調査や統計指標などのデータをもとに、出店候補地の地域特性や市場ボリュームなどを把握する分析手法です。データをグラフや地図にまとめることで、俯瞰的に地域の特性を把握できます。
• 出店分析
  複数の出店候補地に対して商圏分析を行うことで、候補地同士を比較する分析手法です。具体的には、物件情報や家賃交渉、競合調査などを行います。
• 売上予測・需要予測
  出店候補地にどの程度の需要があり、どれくらいの売上が獲得できるのかを分析します。
• 販売促進分析
  客数獲得や店舗の活性化、売上拡大を目的として、優先的に販促物を配布するエリアを選定するための分析手法です。
• 顧客分析
  顧客データをもとに、エリア内の優良顧客の抽出を行う分析手法です。

エリアマーケティングの手順

1. 商圏分析を行い、地域特性を把握する

エリアマーケティングを行う際には、まず商圏分析を行い地域特性を把握します。具体的には、エリア内の人口統計や分布、人口動態、世代・年代構成、学生・若年者・高齢者数、昼夜人口差などの情報をもとに俯瞰的に情報を把握しましょう。

また、現在の状況だけでなく人口構成や住民のニーズの変化、地域特性なども読み取り、将来的な人口増減などの予測も合わせて把握しておきます。

2. 強化エリアを設定する

次に、エリア内での需要と競合他社の状況などを踏まえた上で、施策の効果が見込めそうな地域を強化エリアに設定します。強化エリアを設定する際には、商圏分析だけでなく商圏が重なる競合他社についても分析を行い、状況を確認しましょう。競合を分析する際には、店舗数や売り場面積、立地、営業時間など複数の視点で分析します。

3. 施策を実行しPDCAサイクルを回す

強化エリアを選定できれば、実際に施策を実行しPDCAサイクルを回します。このとき、施策によってどのような効果があったのか、エリア内の購買行動がどのように変化したのかなどを確認しましょう。また、顧客へアンケートを実施し、その内容をもとに次の施策を立案・実行するという方法もあります。