LTV(顧客生涯価値)という言葉をご存知でしょうか?1人の顧客が生涯のうちに、自社に対してどの程度の利益をもたらしたかを示した指標がLTVです。これを求めることで、集客のための投資に対するリターンを長期的に考えることが可能になります。
実は、LTVには決まった計算式はありません。最終的に前に述べた定義に当てはまれば良いことに加え、分からない数値があることもその要因の1つです。
そこで今回は、LTVを求める際に使える、代表的な計算方法をご紹介します。
目次
LTVとは、1人の顧客が生涯で自社にもたらす利益の合計
まず簡単に、LTVとは何かについて解説していきます。
前述の通り、LTVとは「1人の顧客が自社に対して、一生涯の内にもたらした利益」を示した指標です。本当なら顧客1人1人のLTVを求め、分析を行うことが理想ではありますが、データが膨大になってしまうため、自社の抱えている顧客の平均値を求めることが多いです。
LTVを求めることで、顧客との関係性を可視化することができるだけでなく、顧客獲得がもたらす長期的なリターンを試算することが出来るようになります。
LTVを考えない場合、顧客獲得のための施策のリターンを短期的にしか試算できません。そのため、広告などの投資が満足に行えないことが多くなります。しかし、LTVを考えることで、投資の結果得られた顧客が最終的にどの程度のリターンをもたらしてくれるのかを視野に入れることができ、より大規模な投資を行いやすくなります。
求められているLTVの精度を見極める
LTVにはさまざまな求め方があり、精度に応じた使い分けが可能です。
そのため、第一に「どの程度の精度でLTVを見る必要があるのか?」を考慮しましょう。ざっくりとした施策の検討を行う際には、スタンダードな方法を使用し、わかりやすく、コストのかからない導出を行うのが良いでしょう。
しかし、実際の稟議書作成の際や、お客様となる企業の決裁者クラスへのプレゼンテーションを行う場合には、出来る限り詳しくLTVを算出することが求められるでしょう。そうした際にはより厳密な導出が求められます。
LTVの計算方法
それでは、代表的なLTVの計算方法をいくつか紹介します。必要な精度に応じて、使い分けてみて下さい。
基本的な計算
基本的には、LTVは以下のような計算式で求められます。
LTV=顧客1人当たりの平均年間取引額×利益率×平均取引年数
また、顧客1人当たりの平均年間取引額は「1回の購買あたりの平均単価×年間の平均購買頻度」に分解できますから、以下のように書き換えることも出来ます。
LTV=顧客1人当たりの平均購買単価×購買頻度(/年)×利益率×平均取引年数
また、「×平均取引年数」の部分は、「÷顧客の離脱率」で考えることも出来ます。顧客の離脱率が年間平均で25%(=1/4)の場合、平均取引年数はその逆数の4年で近似できます。例えば、顧客が100人いるとして、年間1/4が離脱すると、4年ですべての顧客が取引を終える計算になります。
これをもとにすると、以下のような計算も可能です。
LTV=顧客1人当たりの平均年間取引額×利益率÷年平均顧客離脱率
OR
LTV=顧客1人当たりの平均購買単価×購買頻度(/年)×利益率÷年平均顧客離脱率
よりざっくりとした計算:年間の売上や利益から求める
顧客に関する情報が十分になく、上で使用したような指標がわからない場合は、ざっくりと年間の売上と顧客数、平均取引年数(or年平均離脱率)から求めることも出来ます。この場合、以下のような式で求められます。
LTV=年間平均利益額÷顧客数×平均取引年数
OR
LTV=年間平均利益額÷顧客数÷年平均顧客離脱率
前述の求め方のように購買頻度などを分析に加えられないため、少し精度は落ちますが、参考にするには十分でしょう。
より精密な計算:割引率を加味する
企業価値評価などのご経験のある方はご存知だと思いますが、将来の収益を評価する際には「割引率」とよばれる数値を加味する必要があります。
割引率とは、「将来得られる収益は、現在の価値に直すとどうなるのか?」を考えるための指標です。現在得られる100万円の価値と、将来得られる100万円の価値を比べると、インフレの影響などを受けて将来得られる100万円のほうが価値が低くなっています。割引率を2%とすると、その現在価値は100÷(1+0.02)≒98万円と評価できます。
例えば、インフレ率2%の環境下で、年平均の購買頻度が2回、購買単価が1万円、ライフサイクルが5年である場合を考えましょう。
この場合、ある顧客が年間でもたらす利益は平均で2万円です。今年の利益はそのまま2万円ですが、来年得られる2万円を現在の価値に直すと2÷(1+0.02)≒1万9600円として評価できます。また、再来年の収益はもう一度割り引いて2÷(1+0.02)^2≒1万9220円と評価できます。
このような計算を繰り返し、LTVを評価すると、以下の表のようになります。
一般的な形を式で表すと以下のように表されます。
ここで、kは年数、nは平均取引年数、pは1年あたりの顧客1人あたり平均収益、rは割引率です。
いかがでしたか?
割引率などを加味したLTVの計算はかなり煩雑になってしまいます。そのため、使い所と伝える相手のレベル感を考慮して、どういった計算の根拠をもたらすかを決めていきましょう!
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