顧客と企業の間には様々な関係性があります。「売ってしまえばもう終わり」のようなインスタントな関係性もあれば、顧客にリピーターになってもらい、何度も自社製品を購入してもらうといった関係性もあるでしょう。
一般に、長期的に付き合っていける顧客は多いほうが良いとされています。そこで、自社がどの程度そうした関係を築けているかを見る指標に「LTV(Life Time Value、顧客生涯価値)」というものがあるのをご存じでしょうか?
LTVを見ることで、1人の顧客が生涯で平均的にどのくらいの利益を自社にもたらしているかを知ることが出来ます。今回は、そんなLTVについて、基本的な考え方や計算・分析のやり方を解説していきます。
目次
LTVとは、顧客が生涯で自社にもたらす売上や利益のこと
LTVとは、自社の抱える顧客が、生涯にどれだけ自社に利益をもたらしているかを示した指標です。これが大きければ大きいほど、顧客一人あたりの消費額が大きいといえます。
LTVの大小には様々な要因が考えられます。例えば、取引期間が短くても、その間に多数の取引を行っている、あるいは非常に高額の取引を行っている場合、LTVは高くなります。
一方、どれだけ長期のリレーションを築いても、実際の購買頻度や単価が伸び悩めばLTVは低くなります。
LTVを知るメリット
LTVを求める事には、様々なメリットが存在します。
顧客との関係性を可視化し、次の施策を考えることができる
LTVを算出することによって、自社と顧客がどの程度密な関係性を構築しているかを知ることができます。顧客との関係性が短期的だったり、高い単価や購買頻度が実現出ていない場合、LTVが非常に低くなります。
こうした際に、LTVを決定する指標(購買単価、購買頻度、取引期間など)を見ていくことで、LTVを伸ばすためにはどの指標を改善すればいいのかを知ることができます。これにより、次に取るべき施策を決定しやすくなります。
例えば、単価が低い場合、購買履歴からニーズを推定し、よりグレードの高い製品を提案するといった戦略が考えられます。これにより、顧客関係をより強固にし、LTVを向上させることができます。
顧客獲得のための投資に対するリターンが精密に計算できる
LTVは長期のデータをもとに収益性を判断することのできる指標です。顧客獲得のための投資に対する収益を考える際には、投資額に対してどの程度の収益が得られるのかを計算してその可否を判断しますが、LTVを用いない場合は短期での収益性しか判断できず、適切な投資を行えない可能性があります。
一方で、LTVを使えば、投資の結果獲得した顧客が将来的に生む収益を計算に含めることが出来るようになります。結果、長期的な視座に立った投資を行うことができるようになります。
LTVの計算方法
LTVの計算には、一般的には以下のような式が使用されます。理想的には各顧客ごとのLTVを算出することがベターですが、情報が膨大になるため、平均的なLTVを考えることが多いです。
LTV=顧客1人当たりの平均年間取引額×利益率×平均取引年数
取引額の観点から求めるとこのようになります。また、平均的な購買回数や単価が分かっている場合、以下のような求め方も可能です。
LTV=顧客1人当たりの平均購買単価×購買頻度(/年)×利益率×平均取引年数
また、全体の売上や利益といった視点から以下のように求めることも可能です。
LTV=年間売上高×利益率÷顧客数×平均取引年数
このように、LTVの求め方は様々にあり、今回ご紹介したもの以外にも何通りも考えられます。結果として顧客1人あたりの生涯収益が求められればいいので、分析したい項目に応じて計算式を組み立てていきましょう。
LTVの分析方法
LTVを求めてみると、予想通りかそれ以上の成果が出ていることもあれば、思ったより低い!ということもあるでしょう。いずれにせよ、LTVがどうしてその数値になったのか、改善するにはどうすれば良いのかを分析する必要があります。
各変数に改善の余地はないか?
LTVが低くなる(⇔高くなる)理由には以下のようなものがあります。
- 取引年数が短い(⇔長い)
- 購買頻度が低い(⇔高い)
- 購買単価が高い(⇔低い)
- 利益率が低い、費用がかかりすぎている(⇔利益率が高い、費用が低い)
LTV改善のためには、こうした計算式の各要素の改善余地を精査し、施策を打つ必要があります。顧客とのコミュニケーションの改善や製造オペレーションの改善などを通じて、包括的にLTVの向上を達成していきましょう。
RFM分析で顧客を分類する
顧客のロイヤリティ(自社への忠実さ)が高い顧客が多ければ、当然LTVは高くなります。そうした顧客がどの程度存在するのか、ロイヤリティの低い顧客はなぜそうなっているのかを分析する方法にRFM分析という手法があります。
RFM分析とは、顧客のロイヤリティをRecency(最終購買日)、Frequency(購買頻度)、Monetary(購買単価)の3要素で決定し、顧客をランク付けする分析手法です。
以下のような表を使って、顧客ロイヤリティの改善余地はどこにあるのか、そもそも放置するべき顧客=R、F、Mすべてが低い顧客はどの程度いるのかといった事を考えることで、LTVの向上に繋げることができます。
いかがでしたか?
LTVという視点を導入することで、顧客や事業のあり方を多面的に捉えることが出来るようになります。正しい考え方を学び、施策や戦略に活かしていきましょう!
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