NPS®(ネットプロモータースコア)という言葉をご存知ですか?これは、企業やブランドに対する顧客の忠誠度を評価する重要な指標です。
今回は、NPSの概要や計算方法、算出する際の注意点を紹介します。
※NPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズ(現NICE Systems,Inc)の登録商標です。
目次
NPS(ネットプロモータースコア)とは、企業やブランドに対する顧客ロイヤルティを測る指標のこと
NPS(Net Promoter Score、ネットプロモータースコア)とは、顧客ロイヤルティを測るための指標のことです。この指標は、顧客が特定のサービス・製品、ブランドをどれだけ支持し、それを他の人々に積極的に薦めるのかを評価するために使用されます。NPSを上げることは、顧客からの信頼や愛着心につながるため、熱狂的なファンを作るために役立ちます。
顧客満足度との違い
NPSと顧客満足度はしばしば混同されますが、これらには重要な違いがあります。顧客満足度は、顧客が特定のサービス・製品に対してどれだけ満足しているかを評価する指標です。
一方、NPSは、顧客の忠誠心とブランドへの愛情を評価し、顧客が他の人にどれだけ積極的に薦めるかを示します。つまり、NPSは単なる満足度以上の顧客の愛情と忠誠心を指していると捉えられます。
NPSで用いられる3つの分類
NPSを算出する際、顧客に対して「サービス(製品)を親しい友人や家族、知人などの他人に薦めたいですか?」といったアンケートが行われます。顧客は0から10までの11段階で評価し、高い数字を選ぶほど他の人に薦める可能性が高いことを示します。
NPSではアンケートの結果から、顧客を以下の3つに分類し評価します。
推奨者(プロモーター)
アンケートで9または10と回答した顧客は推奨者(プロモーター)に分類されます。推奨者は、サービス・製品に非常に満足しており、積極的に他の人に薦める可能性が高い顧客です。ブランドに強い忠誠心を持ち、ポジティブな口コミを広めることで企業に貢献します。
中立者(パッシブ)
アンケートで7または8と回答した顧客は中立者(パッシブ)に分類されます。中立者は、サービス・製品に対して特別な感情を持っておらず、満足はしていますがサービス・製品を他の人へ積極的に薦めるわけではありません。中立者は競合他社が自社より良いサービス・製品を出せば、そちらに移行する可能性があります。
批判者(デトラクター)
アンケートで0〜6と回答した顧客は批判者(デトラクター)に分類されます。批判者は、サービス・製品に対して不満を抱いており、他の人へ薦める可能性がかなり低い顧客です。また、ネガティブな口コミを広める可能性も高いと言えます。彼らの存在は企業にとって潜在的なリスクであり、改善策が必要です。
NPSの計算方法
NPSは以下の流れで算出します。
- サービス・製品を評価するためのアンケートを行う
0〜10で回答する11段階のアンケートを実施し、0が全く薦めたくない、10が強く薦めたいことを示す - 「推奨者」を分類する
9または10と回答した顧客を推奨者に分類する - 「批判者」を分類する
0〜6と回答した顧客を批判者に分類する - NPSのスコアを算出する
「推奨者」と「批判者」の割合を算出する。さらに、推奨者の割合から批判者の割合を引き、NPSを算出する
例えば、全体の回答者が400人で、推奨者が160人、批判者が100人の場合、それぞれの全体の回答者に対する割合が推奨者40%、批判者25%となります。推奨者の値40から批判者の25を引いた数字である15がNPSです。
NPSを算出する際の注意点
一定数以上のサンプルが必要になる
NPSをより正確に測定するためには、アンケート回答のサンプル数が一定以上必要です。統計学上サンプル数が400以上であれば集計結果の誤差は±5%、2,000以上であれば誤差は±2%だと言われています。
少ないサンプル数では詳細な分析や傾向の特定が難しいため、意思決定に支障をきたすおそれがあります。自社の予算や目的に合わせてサンプル数を集めるようにしましょう。
スコアがマイナスになる場合があることを考慮しておく
NPSのスコアは国によって異なり、海外では通常プラスになる傾向がありますが、日本ではマイナスになる傾向が強いと言われています。この違いは、日本の顧客がNPSのアンケートで中間の評価である5や6をよく選ぶことから生じています。NPSではこの中間の評価は「批判者」に分類されるため、批判者の割合が増え、スコアがマイナスに傾く傾向があります。業界によってもNPSの平均値が異なるため、自社の業界の平均値を把握した上でNPSを算出するようにしましょう。
NPSがマイナスになることに過度に反応する必要はありません。たとえスコアがマイナスであっても、企業の商品やサービスが必ずしも悪いとは限らないため、結果を受け入れて、企業の成長に役立てることが大切です。
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