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監査法人とは|業務内容や会計事務所との違いについても解説
監査法人、という法人についてご存知ですか?
言葉は聞いたことがあっても、具体的にどのような業務を行っているのかは知らない、という方もいるのではないでしょうか。
今回は監査法人について、その業務内容や会計事務所との違いを解説します。
目次
監査法人とは、企業の会計監査を行うことが法律上認められている法人のこと
監査法人とは、企業の会計監査を行うことが公認会計士法上認められている法人のことです。設立には、公認会計士が5人以上必要になります。
監査自体は公認会計士1人だけでも可能ですが、規模の大きな企業に対する監査では複数の公認会計士が必要になります。そのような大規模な監査を効率的に行うために設立された法人が監査法人です。
監査とは、法律などに照らして問題がないか確認すること
監査とは、ある物事が法律上に照らして問題がないかを確認することを指します。その中でも、公認会計士が行う監査は会計監査と呼ばれており、決算書が会計基準に基づき適正に作成されているか否かについて監査を行います。
専門的な知識を持つ監査法人などが企業の決算書を監査することによって、企業の財務に関する信用度が高まり、出資を受けることが容易になります。
会計事務所との違い
監査法人は、企業や団体などの決算書の内容のみを対象に監査業務を行います。コンサルティング業務を行うこともありますが、基本的に企業の財務や会計そのものに触れることはありません。
一方、会計事務所は顧客の税務申告や専門的な経理処理などを代行することが主な業務です。節税対策をはじめとする税務に関する業務や、月次・年次の会計処理といった会計業務を担うほか、会計に関するコンサルティングを行うこともあります。
監査法人の業務内容
監査業務
監査法人の主な業務は、決算書への監査を行い、監査報告書の提出と監査意見の表明を行うことです。監査のためには、決算書以外にも各種契約書や請求書・領収書などの確認、売上や利益の分析や経営陣とのディスカッションなどを行う必要があります。
監査業務は、基本的には次のような流れで実施されます。
【例:3月決算企業の場合】
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期末監査以前にも適宜、期中取引や内部統制の検証などを行うほか、7月・10月・1月に四半期レビューを行うこともあります。
監査以外の業務
監査法人は、企業によっては財務・会計に関するコンサルティング業務を行うものも多く存在します。監査法人が単独で行う場合もあれば、該当分野のコンサルティング専門企業と連携して業務にあたることもあります。
監査法人が対応していることの多い業務には、次のようなものがあります。
- 株式公開支援業務
- M&Aアドバイザリー業務
- 金融機関に対するビジネスプロセス改革
- リスク管理態勢の構築
- IFRS導入支援
- コンフォートレター作成業務
- 地方自治体に対する包括外部監査
日本における4大監査法人
世界では、次の4つの監査法人が「4大監査法人」と称されています。
- Ernst & Young(アーンスト・アンド・ヤング)
- Deloitte Touche Tohmatsu(デロイト・トウシュ・トーマツ)
- KPMG(ケー・ピー・エム・ジー)
- PricewaterhouseCoopers(プライスウォーターハウスクーパーズ)
また日本国内においても、次の4つの監査法人が「4大監査法人」と呼ばれています。
新日本有限責任監査法人
平成20年7月1日に無限責任監査法人から有限責任監査法人に移行し、日本で最初の有限責任監査法人となりました。不動産や建築業・製造業の顧客を中心に監査を行っており、Ernst & Youngと連携しています。
有限責任監査法人トーマツ
監査業務以外にも、財務や株式の公開など、幅広い分野でコンサルティング業務を請け負っています。Deloitte Touche Tohmatsuと連携している、日本最大級の監査法人です。
PwCあらた有限責任監査法人
4大監査法人の中では有限責任監査法人に移行したのが最後で、平成28年7月1日に移行を果たしています。PricewaterhouseCoopersと連携しています。
有限責任あずさ監査法人
東名阪などの大都市に事務所を持ち、国内の多くの大企業をクライアントとしている監査法人です。KPMGと連携しています。
有限責任監査法人とは?
有限責任監査法人とは、社員が監査法人に対して負う連帯責任の範囲が限定されている監査法人を指します。監査法人における「社員」とは、入所後に経験を積み、出資して経営者側となった者のことであり、一般企業における役員クラスに該当します。
有限責任監査法人では、個々の監査証明業務について担当者を定め(指定有限責任社員)、担当者のみが無限連帯責任を負い、他の社員は監査法人への出資額の限度で有限責任を負うという形態がとられています。
従来、日本の監査法人は無限責任形態をとっており、全ての社員が監査業務について全責任を負うこととされていました。しかし、社員1人が他の社員全ての業務を監視し、責任を負うのは現実的ではないこと、海外では有限責任形態が一般的であったことから、平成19年に有限責任監査法人制度が創設されました。
いかがでしたか?
監査法人は、企業の決算書のチェックを行うという重要な役割を担っています。
この記事を参考に、監査法人や監査業務についての理解を深めましょう。
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