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プライシングとは|マーケティングでの目的や方法について解説
マーケティングに携わる方なら、「プライシング」という言葉を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。適切なプライシングを行うことで、売上の増加や市場シェアの維持・拡大などが見込めます。
今回は、マーケティングにおけるプライシングの目的や方法について解説します。
目次
プライシングとは、製品やサービスの価格を設定すること
プライシングは、マーケティング活動において重要なマーケティングミックスというフレームワークの構成要素の一つで、製品やサービスの価格を設定することを指します。
顧客の需要と自社が求める利益に合ったプライシングを行うことで、顧客や売上の増加が見込めます。
マーケティングミックスについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
プライシングの主な目的
プライシングを行う目的には様々なものがあります。目的に応じて異なる戦略を立てることが大切です。
商品の価格の安定化
商品やサービスの価格を安定させることはプライシングの大きな目的の一つです。
商品の売れ行きが悪いからといって値下げを行うと、「品質を落としたのではないか」と顧客の信頼を失ってしまう可能性が出てきます。また、はじめに相場より安く価格を設定したため売れ行きがよくなり、その結果値上げをしたという場合にも、顧客から反感を買ってしまう恐れがあります。
しかし、自社にとって適切な価格を見極め、一定の価格で商品を提供できれば、顧客からの信頼の獲得につながります。
売上の増加
高すぎず安すぎない適切なプライシングを行うことで、売上や利益を増加するという目的もあります。
値段を安く設定しすぎてしまうと、販売数を増やせても利益を大きく出すことはできず、薄利多売の状態になってしまいます。また、価格を高く設定しすぎても、販売数は稼げずに売上は低くなることが想定されるでしょう。
しかし、顧客が妥当だと感じる適切なプライシングを行えば、販売数や利益を向上させることができます。
市場シェアの維持と拡大
市場シェアの維持と拡大を目的としてプライシングを行う場合もあります。
適切なプライシングを行うことで市場シェアの拡大が可能となり、売上の増加だけでなくブランドイメージの向上にもつながります。さらに、メーカーと流通業者との価格交渉などでも価格の決定権を強く持つことができます。
早めの投資回収
プライシングの方法によっては、早めに投資を回収するという目的もあります。
新製品を買いたい消費者をターゲットにして、高めの価格で販売するというプライシングを用いることで、販売初期に投資を回収することもできます。
プライシングの主な戦略
コストを重視した戦略
コストを重視したプライシング戦略では、生産にかかったコストに一定の利益を上乗せして価格を算出します。この方法は、コストや利益計算が簡単なだけでなく、商品が予定通り売れれば予測していた通りの利益が得られるというメリットがあります。
しかしこの戦略では、設定した価格が顧客の求める価値に見合っているかどうかや、競合他社との価格差が考慮されていないので、市場動向が反映されにくいというデメリットもあります。
需要を重視した戦略
需要を重視したプライシング戦略では、顧客からの需要によって商品の価格を決定します。この方法では、市場調査やアンケートなどから目標価格を設定し、目標価格から利益が出せるように原材料の調達や商品の開発を行います。
また、魚や肉といった生鮮食品を時間の経過による価値の低下に合わせて値下げを行うという戦略も、需要を重視したものの一つです。
競争優位性を得るための戦略
競争優位性を得るための戦略では、競合の商品の価格を基準にして、競合の商品と同程度か少し安い価格に設定します。
競合他社が先行して大きなシェアと価格決定権を持っている場合は、自社商品の価格を少し安く設定することで、競合他社の顧客を自社に引きつけるというメリットがあります。しかし、他の競合他社が自社より先に値下げした場合、自社も同程度の価格に値下げをしなければ他社に顧客を奪われてしまうというデメリットもあります。
この戦略を行う場合には、常に競合他社や市場の動向に注意して、状況に応じて価格を下げなければなりません。
顧客心理を利用した戦略
顧客心理を利用した戦略では、価格に対して顧客が抱く心理的な反応を元に価格を設定します。主に以下の4つの方法があります。
- 端数価格
198円や998円など、桁が大台に乗らないギリギリの価格のことをいいます。スーパーのようにリーズナブルな価格設定をする場でよく用いられ、顧客に割安な印象を与えることができます。 - 段階価格
品質や内容量に少しずつ差をつけて「松・竹・梅」のように、3種類程度の商品を展開し、段階的に設定する価格のことをいいます。これは、多くの顧客が中間の価格帯の商品を選ぶという心理に基づいています。 - 名声価格
高級ブランド品に設定される高い価格のことをいいます。高級ブランド品を持っているだけで、顧客自信のステータスになるため、あえて高い価格に設定されています。 - 慣習価格
顧客の間で浸透した価格のことをいいます。例えば、自動販売機の清涼飲料水の場合、多くが100円から150円程度の金額に設定されています。
需要と供給の変動に合わせた戦略(ダイナミックプライシング)
需要と供給に合わせて価格を変動させる戦略のことを「ダイナミックプライシング」といいます。主にホテルの宿泊料や航空券などのように、提供できる量に限りがある場合に多く用いられています。
ダイナミックプライシングについてより深く知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
市場シェアを一気に拡大させるための戦略(ペネトレーションプライシング)
コストを回収できるギリギリの価格に設定し、競合他社から顧客を奪って市場の中で自社のシェアを一気に拡大させる戦略のことを「ペネトレーションプライシング(市場浸透価格戦略)」といいます。
競合他社と品質が均衡している状況で販売数を拡大させたい場合に用いられます。
市場成長に合わせた戦略(スキミングプライシング)
目新しいもの好きや高価格でも購入してくれる人をターゲットに、商品を市場へ導入する際に高い価格設定を行う戦略のことを「スキミングプライシング」といいます。
導入時に高い利益を獲得することで、早めに初期投資を回収するという狙いがあります。
いかがでしたか?今回は、マーケティングにおけるプライシングの目的や方法について解説しました。プライシングには、商品価格の安定化や売上の増加など様々な目的があります。この記事を参考に、戦略に応じた価格設定を行えるようにしましょう。
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