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トヨタ式に学ぶ業務改善の手法|参考事例や提案のポイントも解説

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人材不足や働き方改革が進む現在では、業務の改善や効率化が多くの企業にとって喫緊の課題となっています。しかし業務改善の方法を考えようにも、取っ掛かりもない中では何も思いつかない、という方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、業務改善のイメージや提案のポイントなどを理解するきっかけとして、世界的に有名な業務改善手法であるトヨタ式カイゼンを紹介します。

トヨタ式カイゼンとは、現状をより良くするための業務改善手法のこと

トヨタ式カイゼンとは、自動車産業で有名なトヨタが採用している業務改善手法のことです。この手法は現在の業務を見直し、なるべく価値の高い活動のみを行うこと、つまり効率化を目指します。発祥元がトヨタなので主に製造業向けの改善手法ですが、その考え方を応用することは、他の業種にとっても有益になります。

改善とカイゼンの違い

トヨタ式カイゼンはカタカナで表記しますが、それは改善という言葉とは少し異なるニュアンスを強調しているからです。改善には悪いところを良くする、つまりマイナスからプラスへという意味がありますが、カイゼンの場合、特に問題ないと思われる現状からさらに効率化するという、ゼロからプラスへの方向性を強調します。

海外にて、トヨタの強い競争力の源を探る中でこの手法が注目されましたが、そのニュアンスは改善の英訳であるImprovementでは表せないとされ、日本語のままKAIZENと呼ばれました。この表記と意味合いの区別が逆輸入されて、トヨタでもこの手法を「カイゼン」とカタカナで表記するようになりました。

3Mと5S

カイゼンの一環としてよく行われる活動として、3M活動と5S活動があります。

3M活動はムリ・ムラ・ムダを排除する活動のことです。ムリとは能力以上の活動を指し、従業員の負担となるものです。ムラとは仕事の品質が一定でない状態を指し、業務内の何らかの要素が一定でないことに起因します。ムダとは付加価値を生まない作業であり、慣れた作業ほど増えるとされています。この3Mは業務効率を低下させるものであり、意識して排除する必要があります。

5S活動は整理・整頓・清掃・清潔・躾を行う活動のことです。やはり製造業向けの改善手法なので、これは業務に数多くの道具を使うことを念頭に置いています。つまり業務に使う道具がどこにあるか分かりやすいように整理・整頓し、その周りを清掃することで、清潔な状態を常に保つように躾を行うということです。

カイゼンの手順

1. 現状を把握する

カイゼンは問題の対処ではなく、さらなる効率化を目指す試みであるため、最初に業務の現状について詳細に把握する必要があります。カイゼンに取り組むチーム内で、取り組むべき課題を共有し、明確化しましょう。

業務の全体像を図式化してみたり、日ごろ不便やムダを感じていることを書き上げてみたりすると、課題を見つけやすくなります。

2. アイデアを提案し、吟味する

問題を見つけたら、次はどうやってそれを効率化するかのアイデアを出し、吟味します。チーム全員でアイデアを出し合ったら、その中から企業にとって費用対効果が高いものを選びましょう。

3. 決定したアイデアを実施する

アイデアがまとまったら、次にカイゼンを実施します。このとき、後の評価のために、カイゼンを実施する前と後それぞれの作業に対する時間やコストなどを数値で残しておきましょう。

4. 結果を評価し、修正を行う

一定期間後に、実行前後の記録を見比べ、今回のカイゼン結果を評価します。あまり効果が見られなかった場合、あるいはより良い効果を得たい場合は、別のアイデアを試したり、別の課題に取り組んだりするなど方向性を修正します。

【課題別】カイゼンの事例紹介

トラブルの対処が遅れる

「何かトラブルが発生したことは分かるが、どこで起きたか分からず、結果としていつも対処が遅れる」といった課題の原因は、作業工程が複雑で、現在の状況がすぐに分かり辛いことにあります。

そのため、業務フローを作成し、タブレットやホワイトボードなどで現在の作業進捗を常に確認できるようにすれば、トラブルの発生源を素早く突き止めることが可能になります。

定型業務が負担になっている

「書類作成や経理などの事務作業、メール送信やWeb更新などの定型業務が多く、本業が疎かになり始めている」といった課題の原因は、社員が行う定型業務の数の多さが考えられます。

まず不必要な定型業務を削減することから始めますが、必要な業務であったとしても、システム化による簡略化・自動化や外注などができないかを考えてみましょう。手段によっては相応のコストがかかりますが、本業に集中できることによる利益や社員の負担と見比べて、最も良い選択肢を選びましょう。

道具の取り出しに手間取る

「道具の取り出しにいちいち時間がかかり、積もり積もって大きなロスとなる」といった課題の原因は整頓の足りなさが考えられます。

このとき整理を心掛けるだけでなく、より分かりやすい並べ方を採用すると、さらなる効率化を目指すことができます。例えば今まで棚に入っていた道具類を、ボードに一つずつ吊るしておくようにすれば、一目で場所が分かり、すぐに取り出しやすくなります。このように、ムダを排除するばかりでなく、新たな何かを導入することで逆に効率が良くなる場合もあります。

製品数を確認する作業に時間がかかる

「生産管理のためには製品数を確認しなければならないが、明らかにこの作業に時間がとられている」といった課題の原因は、確認を手作業でやっていることにあります。

数を数える代わりに、電子秤を導入して重さを量ることで確認を済ませれば、作業時間を短縮できます。このように、同じ目的を達成するための別の方法を探ってみると、効率の良い方法が見つかるかもしれません。

カイゼン提案のポイント

視覚的に分かりやすくする

カイゼンの目標に対して複数の選択肢が取れるときには、視覚的に分かりやすいものを選びましょう。人間の判断能力は視覚に重点を置いて発達しているので、目で見て判断できた方が、他の五感よりもミスは起こりづらくなります。

例えば、エアコンの切り忘れをしないという目標ならば、チェック体制を整えるよりも、エアコンの口に紙テープを付けた方が簡単で確実です。紙テープが風にはためいているかどうかさえ見れば、エアコンがついているかどうかが分かるため、リモコンを毎回確認するよりも早く、忘れづらくなります

作業の順序を変える

作業に大きな変更を加えずとも、ただ順序を入れ替えるだけでカイゼンができる場合があります。掃き掃除は上から下に向かってやった方が二度手間にならないのと同じように、作業全体を俯瞰して、なるべく余分な作業が出ないように順序を組み直すと、それだけでムダが減ったり、問題が解決することがあります。

例えば、容器に内容物を入れる過程で、しばしば衝撃によって破損してしまうという問題に対して、内容物に容器をはめるやり方に変更すれば、破損を防ぐことができます。

コストパフォーマンスの高い方法を選ぶ

カイゼンは問題を解決するというよりも、効率化を目指す試みなので、なるべくコストパフォーマンスが高く、ムリとムダが最も少なくなる地点を目指しましょう。各人の負担を増やしてしまえばムリが、コストがその業務の価値を超えればムダが発生します。企業の持つ資材の状況に応じて、ちょうど双方が少なくなる方法を探りましょう。

例えば、重い部品を箱に入れる業務がキツイという問題があります。社員各自が鍛えるというのはムリであり、箱に一つずつ梱包材を入れて部品を落とすのはムダです。そこで、斜めに落とせるような型をいくつか作り、部品を斜めに落とせば楽で安価に、そしてもちろん部品を壊さずに問題を解決することができます。

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