トキ消費という消費行動について聞いたことはありますか?時代の移り変わりとともに人々の消費行動は変わり、今日ではトキ消費に注目が集まっています。
今回は、消費スタイルの変遷やビジネスに活かす方法を解説します。
目次
トキ消費とは、その時間でしかできない体験に価値を見出す消費行動のこと
トキ消費とは博報堂生活総合研究所が2017年に提唱した概念で、その時間でしかできない体験に価値を見出す消費行動のことです。トキ消費には以下の三つの特徴があります。
- 非再現性
時間や場所が限定されており、二度と同じ体験ができないこと - 参加性
主体的な参加者として同じ感動や盛り上がりを体験すること - 貢献性
盛り上がりに貢献していると実感できること
消費行動の変遷
1. モノ消費
モノ消費とは、製品やサービスのもつ機能的価値を重視する消費行動のことです。これは第二次世界大戦から高度経済成長期にかけて現れ、初めは必要最低限のモノを手に入れるためだったのが、人並みの暮らしを手に入れるため・良い暮らしをするためと、モノを満たすことで生活の質を向上させようとしました。
モノ消費の例として、三種の神器が挙げられます。三種の神器とは、高度成長期の電気洗濯機、電気冷蔵庫、白黒テレビの三つの家電を示す言葉で、当時は家庭になくてはならないものとして重宝されました。
2. コト消費
バブル崩壊によってモノへの欲求が薄れ、商品やサービスを購入することによって得られる体験や経験を重視する、コト消費という消費行動が広まりました。川上徹也氏の著書『「コト消費」の嘘』(角川新書)では、コト消費は、純粋体験型・イベント型・アトラクション型・時間滞在型・コミュニティ型・ライフスタイル型・買い物ワクワク型の7つに分類されています。
コト消費の例には、遊園地などのレジャー施設やデパートなどの商業施設で行なわれるイベント、映画館などが挙げられます。
3. トキ消費
コト消費が現れしばらく経った2010年代には、単なる体験ではなくそのときにしかできない体験に価値を見出すトキ消費が生まれました。2010年台にSNSが普及したことで、ユーザーがSNS上に個人的な体験の感想を発信するようになったため、あらゆる体験に既視感が生まれました。これにより、再現性のある体験への興味が薄れ、既視感のない特別な体験に価値を見出すようになりました。
トキ消費の例には、4年に一度のオリンピックや、ファンが好きなアイドルに投票する総選挙型キャンペーンが挙げられます。
Z世代に注目されている消費行動
イミ消費
イミ消費とは、ホットペッパーグルメ外食総研エヴァンジェリストの竹田クニ氏が提唱した、ある商品を消費することにより生まれる社会貢献的側面を重視する消費行動のことです。「環境保全」「地域貢献」「フェアネス(正義)」「歴史・文化伝承」「健康維持」などのキーワードがあり、自分がどのようにありたいかを指標として経済行動を行ないます。
イミ消費の例として、災害があった地域の食材を使った飲食店の利用や、環境にやさしい素材を使った商品の購入などが挙げられます。
エモ消費
エモ消費とは、コラムニストの荒川和久氏が提唱した概念で、精神的な満足度を重視する消費行動のことです。エモはエモーショナルを意味する言葉で、感情が動かされた状態を表します。一点ものや不便なもの、作り込まれていないものにも価値を見出します。
エモ消費の例として、着古し方で全く別物になる一点ものの古着や、フィルムが必要で現像にも時間がかかるが味がある写真を撮れるフィルムカメラなどが挙げられます。
トキ消費を把握してビジネスに活かす
ユニバーサル・スタジオ・ジャパンやトヨタなども、トキ消費を活かした取り組みを行なっています。ユニバーサル・スタジオ・ジャパンは、「セサミストリート・スノー・パーティー」や「ミニオン・スノー・ファイト」などの様々な期間限定の来場者参加型イベントを行なっています。また、トヨタの高級車ブランドであるレクサスは、フルモデルチェンジを行なった新生LSを体験するために、来場者が自然をドライブしたりバーベキューをしたりする「LEXUS LS “INSTINCT” by DINING OUT」というイベントを行いました。
このように、新たなビジネスチャンスを掴むために、コト消費やモノ消費に変わる新たな消費行動であるトキ消費の把握が重要です。
持ち運べる!BtoBマーケティング用語単語帳
無料でダウンロードするために
以下のフォーム項目にご入力くださいませ。