「社外取締役の存在自体は知っているが、具体的にどのような役職かは分からない」という方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、社外取締役を登用するメリットやデメリットをはじめとした基礎知識を解説します。
目次
社外取締役とは、当該会社での業務経験がない取締役のこと
社外取締役とは、当該会社での業務経験がない取締役であり、多くの会社で設置されている役職です。社外取締役を選任する際には、会社法第2条15号に規定されている以下の要件などを満たす必要があります。
- 社外取締役になる時点で当該株式会社または子会社の取締役や従業員でなく、かつ10年間当該株式会社又はその子会社においてその経験がないこと
- 当該株式会社の親会社の取締役などでないこと
- 当該株式会社の親会社の子会社の取締役などでないこと
- 当該株式会社の取締役の配偶者または二親等内の親族でないこと
上場企業では、2名以上の社外取締役の選任が求められる
上場企業には、2名以上の独立社外取締役(※1)の選任を求めたコーポレートガバナンス・コードが適用されています。また、令和元年の会社法改正によって、上場企業への社外取締役の設置が法律上義務づけられるようになりました。この規定に違反して社外取締役を選任しない場合、取締役などが過料に処されるという罰則も規定されています。
(※1)独立社外取締役
社外取締役のうち、金融商品取引法に定められた独立性を満たして「一般株主と利益相反のおそれがない」者のこと。
社外取締役の任期は1年~2年で、更新可能とする場合が多い
社外取締役の任期は、法律によって定められていません。多くの社外取締役の任期は1年から2年に設定され、更新も可能です。ただし例外的に、監査等委員会設置会社においては、社外取締役が監査等委員取締役を務める場合の任期は2年と法定されています。
しかし、任期が法律で定められていないからといって、長すぎる任期の設定は避けるべきです。馴れ合いや多様性の低下などが生じ、社外取締役の本来の目的が果たせなくなる恐れがあります。
社外取締役を登用するメリット
コーポレート・ガバナンスの徹底に役立つ
コーポレート・ガバナンスとは「企業統治」のことを指し、会社が企業価値の向上に努め、株主の利益を最大限に実現できているかを管理監督する仕組みを意味します。
社外取締役は、派閥などの社内におけるしがらみや利害関係を有しない立場にいることから、より客観的な意見の提供が可能です。そのため、コーポレート・ガバナンスを徹底するにあたり、社外取締役は重要な役割を担います。
社外からの有益な知見を得ることができる
取締役をすべて社内出身の人材から選んだ場合、経験や知識の偏りが生じてしまう可能性があり、新規事業の立ち上げや新しいシステムの導入をスムーズに行えない場合があります。そこで経営の専門家や、別の企業で経験を積んでいる人材を社外取締役に登用することで、社員から昇格してきた取締役にはない知見やアイデアを期待できます。
社外に対してCSRへの取組みをアピールできる
会社を挙げて取り組んでいる社会問題があれば、それに関する有識者を社外取締役として登用することで、CSR(企業が担う社会的責任)への取り組みを社外にアピールすることができます。女性管理職が少ないといった問題や環境問題に関して、知見のある人材を社外取締役に登用するといった事例が例として挙げられます。
社外取締役を登用するデメリット
会社の事情に精通していない
社外取締役を登用することで、取締役会に意見の多様性が生まれるというメリットはありますが、その一方で当該会社の事情をよく知らない人材が取締役になることによるデメリットも存在します。
社外取締役が他分野に関する知識や経験が豊富であっても、当該会社の事情や業務に関する専門知識には欠けていることは大いに予想されます。取締役会における議論をその社外取締役の理解度に合わせる必要があり、内容が希薄化してしまう恐れがあります。
官公庁出身者の場合、天下りを疑われる可能性がある
官公庁出身者を社外取締役に登用する場合も注意が必要です。実際に自身の経験を活かして、社外取締役として活躍している元官僚の方が多くいるのも事実です。業績や行動を評価をするという適切なプロセスを踏まずに社外取締役に登用してしまうと、天下りを疑われ批判される恐れがあります。
いかがでしたか?社外取締役は、コーポレート・ガバナンスの強化やCSRへの取組みなどにおいて重要な役割を果たします。今回紹介したポイントを参考にして、社外取締役への理解を深めましょう。
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