経営戦略・事業戦略

イノベーションのジレンマとは?ジレンマに陥る原因と対策法を解説

イノベーションのジレンマという言葉を聞いたことはありますか?
大企業がこのジレンマに陥ってしまうと、新興企業に市場を奪われてしまうおそれがあります。

今回はイノベーションのジレンマについて、原因や対策を解説します。

イノベーションのジレンマとは、顧客のニーズに応えるために改良を進めた結果、破壊的イノベーションに遅れを取ってしまうこと

イノベーションのジレンマとは、アメリカの経営学者クレイトン・クリステンセンが提唱した考えで、大企業が顧客のニーズに応えるために製品の改良を進めた結果、新興企業のイノベーションに遅れを取ってしまうことを指します。

そもそも、イノベーションには「持続的イノベーション」と「破壊的イノベーション」の2種類が存在します。

  • 持続的イノベーション:一度顧客ニーズを獲得した製品の改良を目的とした技術(持続的技術)によるイノベーション
  • 破壊的イノベーション:市場を一新するような革新的な技術(破壊的技術)によるイノベーション

イノベーションのジレンマは、持続的イノベーションによる顧客ニーズへの対応を意識しすぎた結果、市場そのものを変化させるような破壊的イノベーションに対応できず、敗北するという現象であるといえます。

イノベーションのジレンマに陥るとどうなるか

イノベーションのジレンマに陥った企業は、ターンオーバーのリスクを負うことになります。ターンオーバーとは、競合他社や異業種の企業が提供する新しい価値により、競争優位性を失うことをいいます。

また、イノベーションのジレンマによって成長事業の売却を強いられるおそれもあります。破壊的イノベーションによって市場を奪われると、自社にとって重要な事業をも売却して資金調達しなければならない場合も出てきます。

このように、イノベーションのジレンマに陥ると、市場のシェア・優位性を失うことになり、最悪の場合事業からの撤退を余儀なくされてしまいます

イノベーションのジレンマの事例:カメラ業界

イノベーションのジレンマとして有名な事例は、カメラ業界において起きたものです。カメラ業界においては、2つのジレンマが発生しました。

一つ目は、フィルムカメラとデジタルカメラの間でのジレンマです。デジタルカメラが登場した当初は、フィルムカメラに比べて画質が著しく劣っていたため、脅威には感じられていませんでした。しかし、その後の技術の発達により画質や利便性が向上したデジタルカメラは、現代のカメラ業界の主流となり、フィルムカメラの市場は縮小しています。例えば、世界最大のフィルムメーカーだったA社は、デジタルカメラの台頭によって一時は経営破綻にまで追い込まれました。

二つ目は、スマートフォンの登場により発生したジレンマです。フィーチャーフォンが主流の時代は、内蔵カメラの性能は低く、高品質なデジタルカメラとは差別化されていました。しかし、高性能カメラを内蔵したスマートフォンの登場により、デジタルカメラ市場は縮小しています。デジタルカメラの出荷台数は2010年をピークに減少を続けており、2019年には前年比で22.7%減となりました。

このように、イノベーションのジレンマによって当初は予期していなかった新技術により市場を奪われ、旧来の技術は苦戦を強いられることになります。

イノベーションのジレンマに陥る原因

破壊的イノベーションへの関心の低さ

破壊的イノベーションは、技術が成熟しておらず、初期段階では性能が低いのが一般的です。そのため、持続的イノベーションで成功している大企業の多くは、未発達な破壊的イノベーションへの関心が低い傾向にあります。

また、実績のある大企業では、市場規模が小さく成功の保証もない破壊的技術に投資するという決断は困難です。顧客や投資家の声もあり、すでに自社の強みとなっている技術に重点的に投資することになるのが一般的です。

その結果、市場規模が小さい段階のうちに破壊的イノベーションに対応できず、成熟した破壊的技術によって市場を奪われることになるのです。

必要以上の製品改良

顧客のニーズに応えようとするあまり、必要以上に製品改良を行った結果、技術の進歩が市場の需要を上回ってしまうこともあります。それでも、自社の主力事業を推進する大企業は改良を止めることができず、次第に製品が市場から関心を集められなくなります。

そこに、性能が低くとも顧客の新たなニーズを満たせる破壊的イノベーションが登場すると、顧客の関心はそちらに引き付けられることになります

イノベーションのジレンマに陥らないために必要なこと

小規模なチャレンジを行う

イノベーションのジレンマに陥らないためには、小規模な市場・業界でのイノベーションに挑戦し、トライ&エラーを繰り返すことが重要です。大企業であれば、経済合理性の観点から市場規模の大きな事業に取り組むのが一般的ですが、すでに発達した市場でイノベーションに取り組むのは容易ではありません。

そこで、まずはリスクの小さい小規模な市場でイノベーションに挑戦し、変化に対応できる組織を目指すことが必要です

社会の全体像を意識する

自社が事業を展開している市場・業界だけでなく、社会全体に意識を向けることも必要です。自社の事業領域だけを意識して技術開発を進めていると、他の業界でのイノベーションから思わぬダメージを受けることがあります。カメラ業界がスマートフォンの登場によりシェアを奪われたのも、その一つの例です。

そこで、社会全体の流れに目を向け、顧客ニーズの変化や革新的な技術の登場を見逃さないようにしなければなりません

まとめ

いかがでしたか?

イノベーションのジレンマとは、大企業が顧客ニーズを意識した製品改良を進めた結果、破壊的イノベーションに遅れを取ってしまうことを指します。

この記事を参考に、ジレンマに陥る原因や対策法についても押さえておきましょう。

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