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コトラーの「マーケティング4.0」とは?1.0〜3.0からの変化も解説

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「マーケティング4.0」という言葉を聞いたことはありますか?
これは経営学者コトラーが提唱した理論で、他にもマーケティング1.0〜3.0までの理論が存在します。

今回はマーケティング4.0について、1.0〜4.0までの変化もあわせて解説します。

マーケティング4.0とは、コトラーによる「顧客の自己実現」に着目したマーケティング理論

マーケティング4.0とは、アメリカの経営学者フィリップ・コトラーが提唱した、「顧客の自己実現」に着目したマーケティング理論です。2016年の著書「マーケティング4.0」で紹介されたもので、主に2010年代以降のマーケティングを分析しています。

マーケティング4.0は、心理学者アブラハム・マズローによる欲求5段階説に基づいています。これは、人間の欲求を「生理的欲求」「安全欲求」「社会的欲求」「承認欲求」「自己実現欲求」の5段階に分けるものです。
この中でコトラーは、自己実現欲求、すなわち「理想的な自分」になりたいという欲求が現代マーケティングのカギであると考えました。この意味で、マーケティング4.0は顧客体験を重視したマーケティングであるといえます。

マズローの欲求5段階説については、次の記事も参考にしてみてください。

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マーケティング1.0以降の流れ

コトラーは、マーケティング4.0以前にもいくつかのマーケティング理論を提唱してきました。それぞれ、社会的な情勢や消費者の動向が反映されています。

【マーケティング1.0】
1900年代〜1960年代
産業革命を機に大量生産・大量消費の時代に突入したことによる「製品中心」のマーケティング

【マーケティング2.0】
1970年代〜1980年代
オイルショックによる経済活動の停滞を背景とした、消費者を満足させるための「消費者志向」マーケティング

【マーケティング3.0】
1990年代〜2000年代
インターネットやソーシャルメディアが発達して消費者が主体的に情報収集できるようになったことを背景とした、企業理念や社会問題の解決といった価値をメッセージとして届ける「価値主導」のマーケティング

マーケティング4.0以前のマーケティング理論については、次の記事も参考にしてみてください。

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マーケティング4.0では、伝統的なマーケティングとデジタルマーケティングの融合が必要

マーケティング4.0の時代(2010年代〜)は、インターネット技術がそれまで以上に発展し、ビジネスモデルへの影響力も大きくなった時代です。コトラーはこのような背景から、伝統的なマーケティングにデジタルマーケティングを融合させることが重要であると説いています。

ここでの伝統的なマーケティングとは新聞やテレビCMなどのマス広告によるものであり、多くの消費者に同時にアプローチして認知を得ることのできる手法です。これに対し、SNSによる宣伝やコンテンツマーケティングといったデジタルマーケティングは、単に認知を得るにとどまらず、個別の消費者に合ったアプローチで興味や好奇心を醸成するのにも適しています。

すなわち、商品・サービスの認知度を高めるために伝統的なマーケティングを、個別のアプローチで消費者の購買行動を促すためにデジタルマーケティングを行なというように、2種類のマーケティングを組み合わせることが現代においては有効であるといえます。

マーケティング4.0で重要な「5A」フレームワーク

マーケティング4.0の中で重要な意味を持っているフレームワークに、「5A」と呼ばれるものがあります。これは、消費者が商品・サービスを購入するまでの道筋を示した「カスタマージャーニー」のひとつです。

マーケティング4.0が登場する以前は、カスタマージャーニーを示すフレームワークとしては「4A」が主流でした。これは、消費者の行動をAwareness(認知)→Attitude(態度)→Act(購買)→Act again(再購買)に分解したもので、消費者が商品・サービスをリピートすることを最終段階に位置付けています。

これに対し、「5A」では、消費者が他の消費者に商品・サービスを勧めることを最終段階としています。インターネットやSNSの浸透に伴い、消費者が情報を発信できるようになった時代であることが反映されています。
「5A」では、消費者の行動は次のように分解されています。

  1. Aware(認識):商品・サービスの存在を知る
  2. Appeal(印象):商品・サービスが記憶に残る
  3. Ask(調査):商品・サービスについて調べる
  4. Act(購買):商品・サービスを実際に購入する
  5. Advocate(推奨):商品・サービスを気に入り、他の消費者に勧める

マーケティング4.0を実現している企業の例:レッドブル

清涼飲料水メーカーのレッドブルは、マーケティング4.0を実現しているとされる企業の一例です。

レッドブルでは、マーケティング活動の一環としてエクストリーム・スポーツや音楽に関するイベントの開催・協賛を行なっています。商品自体を強くアピールすることはありませんが、イベントを通じて消費者を楽しませることに成功しました。その結果、新しいことに挑戦したい若者たちを中心にブランドイメージの向上を果たし、人気ブランドとなっています。

まとめ

いかがでしたか?

マーケティング4.0とは、顧客の自己実現に着目した、コトラーによるマーケティング理論です。

この記事を参考に、マーケティング4.0の概要・フレームワークや事例、1.0以降の変化について押さえておきましょう。

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