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マーケティング3.0を解説|必要な要素や1.0~2.0との違いも
マーケティングを学んでいると、フィリップ・コトラーのマーケティング理論を目にする機会が多いのではないでしょうか。フィリップ・コトラーは時代の移り変わりとともに、マーケティング1.0~4.0の理論を提唱しています。
今回は、その中でもマーケティング3.0に注目して、必要な要素や成功事例を解説します。
目次
マーケティング3.0は価値への共感を重視したマーケティング理論
マーケティング3.0とは、経済学者のフィリップ・コトラーが提唱したマーケティング理論です。「どのような社会を創りたいか」「世界をより良い場所にする」など、消費者の価値観への共感を重視しています。マーケティング1.0~2.0を踏まえて、1990年代よりインターネットやSNSが普及したことによって生まれました。
例えば、地球温暖化などの社会課題や問題に敏感な消費者が多くなると、社会の価値観は大きく変化します。そのような社会で受け入れられるサービスや商品は、地球温暖化を助長してしまうものではなく、こうした問題の解決に一役買うものでしょう。このように、企業のミッションや商品の価値に共感してもらえるようにマーケティングを行うことが、マーケティング3.0に当たると言えます。
マーケティング1.0~2.0との違い
1990年代に生まれたマーケティング3.0の背景には、マーケティング1.0~2.0があります。主な違いは以下の通りです。
マーケティング | 1.0 | 2.0 | 3.0 |
対象 | 商品中心 | 消費者中心 | 価値中心 |
目的 | 商品を販売すること | 消費者を満足させること | ・企業と消費者で価値観を共有すること ・世界をより良い場所にすること |
マーケティング・コンセプト | 商品開発 | 企業と商品のポジショニング | 企業のミッション、責任、価値 |
マーケティング1.0~2.0の時代は、企業が消費者を満足させる商品を販売していれば、売上が伸びました。しかし、商品の種類などが増えて差別化が難しくなり売上が停滞すると、消費者と価値観を共有し合うことで「企業や商品が存在する意味・価値」が求められるようになってきたのです。また、インターネットやSNSの普及により、マーケティング3.0の基礎となる価値共有を消費者同士が行いやすくなったとも言えます。
マーケティング3.0には「3i」と「ソーシャルメディア」が必要
3i
マーケティング3.0には「ブランド・アイデンティティ」「ブランド・イメージ」「ブランド・インテグリティ」の3つのiから構成される3iモデルが欠かせません。これらは「ポジショニング」「ブランド」「差別化」の3要素をバランスよく取り入れることが必要です。
- ブランド・アイデンティティ
消費者から見て企業がどのような位置づけにあるかを指します。「ポジショニング」と「ブランド」という2つの要素で構成されています。 - ブランド・イメージ
消費者に良い印象を与え、ブランドの価値をアピールするものを指します。「ブランド」と「差別化」から構成されています。 - ブランド・インテグリティ
ブランドに対する誠実さを意味し、「差別化」と「ポジショニング」から構成されています。
ソーシャルメディア
マーケティング3.0にはソーシャルメディアの活用が必要です。フィリップ・コトラーは、ソーシャルメディアを2つの概念で解説しています。
- 表現型ソーシャルメディア
TwitterやInstagram、Youtubeなどのメディアを指します。表現型ソーシャルメディアによって消費者が意見や経験を発信し、他の消費者に影響を与えるようになりました。その結果、口コミを活用したマーケティング手法などが生まれました。 - 協働型ソーシャルメディア
Wikipediaや食べログなどのプラットフォームを活用して、消費者が自由に編集を行うメディアを指します。協働型ソーシャルメディアによって、企業は消費者の声・価値観を基に商品やサービスの価値を創造するようになりました。このような概念は「共創」とも呼ばれています。
マーケティング3.0の事例【Apple】
マーケティング3.0の主な事例の1つにAppleがあります。
多くの企業は消費者のニーズを追い、「消費者が望んでいるもの」を中心に製品を開発しています。すると、「価格」や「機能」で市場競争を行うことになります。
一方でAppleは「私たちはこういうものがあると便利」「生活をどのように変えられるのか」という価値を提供するために製品を開発しています。その結果、Appleの製品は統一されたデザインや誰にでも使いやすいインターフェイスなどを実現し、消費者が得られる「価値」が評価されるようになり売上を伸ばしました。
マーケティングは3.0から4.0へ
これまでマーケティング3.0について解説してきましたが、現在ではマーケティング4.0の概念も広がっています。
コトラーは、企業や商品の価値をマーケティング3.0で消費者に届けることに加えて、自己実現欲求を満たすものを中心とした方法を「マーケティング4.0」として提唱しています。マーケティング4.0では、社員一人ひとりが何を実現したいのか、消費者は何を実現したいのかを共有し、企業のビジョンを作り上げます。それらを実現できれば、社員も社会も良くできるという考え方です。
マーケティング4.0については、以下の記事でも詳しく解説しています。参考にしてみてください。
いかがでしたか?
マーケティング3.0は、商品や企業の価値を消費者に共感してもらうために行うマーケティングの概念を指します。商品を販売するだけの1.0~2.0とは違い、3iの考え方やインターネットを活用して行う点も特徴です。
現在はマーケティング4.0まで進んでいますが、この記事を参考にマーケティング3.0について理解しておきましょう。
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