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パレート分析とは | 問題の全体像を把握するためのデータ分析手法を解説

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パレート分析というデータ分析の手法をご存知ですか?問題の全体像を捉え、本当に解決すべき課題を見つけ出す際に非常に役立つ分析手法であり、問題解決力を高めるためには不可欠なツールです。

この記事では、パレート分析の基礎知識と、データをもとにした分析方法を解説します。

パレート分析とは、各要素の数値と累積割合から、問題の全体像を把握するデータ分析手法のこと

パレート分析とは、アンケート調査の回答などをもとに「各要素の個別の数値」を大きい順に並べた棒グラフと、「累積割合(最初からある部分までの数値をすべて足し合わせた数が全体に占める割合)」を示した折れ線グラフを比較し、大きな問題の中から特に注力すべき問題を見つけ出すデータ分析の手法です。

パレート分析には、下図のような「パレート図」と呼ばれるグラフを使用します。ここでは、定額制映画配信サービスの解約理由をまとめたグラフを例として示します。

青い棒グラフが各要素の個別数値で、オレンジ色の折れ線グラフが累積割合を示しています。この分析によって、特定の理由に偏りが生じていることが視覚的に分析できます。

パレート分析は別名「ABC分析」とも呼ばれます。パレート分析では、多い方から各要素を「A/B/C」の3つにグループ分けをして評価することもあるため、このように呼ばれています。

ABC分析について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

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2割の項目が問題全体の8割を占めているという「パレートの法則」

パレート分析の有効性は、「パレートの法則」という経験則によって裏付けられています。パレートの法則とは、「2割の構成要素が、問題の8割を占めている」というものです。

例えば、多くの小売店では陳列商品の2割が売上の8割を作り出していることが経験的に知られています。BtoBビジネスにおいても、一部の得意先がほとんどの売上の源泉となっていることが多くあります。

ビジネスにおいてパレートの法則が成り立ちやすいため、取り組むべき問題を導き出す際にパレート分析が大きな効果を発揮するのです。

パレート分析の実例

モデルデータを使用して、パレート分析に取り組んでみましょう。ここでは、NetflixやAmazonプライム・ビデオのような「定額制の映画配信サービス」を運営している企業を想定して、会員の解約理由に関するアンケートを収集・分析するケースを考えます。

注意点

Excelの操作方法に関しては、バージョン16.40に準拠しています。これ以外のバージョンのExcelでは操作方法が異なる場合がありますので、注意してください。

1. アンケートなどでデータを集める

まずはアンケートを通じて回答を集める必要があります。アンケートではできるだけ正確な回答を集めるために、設問をあまり多くしすぎないことや、不必要な情報を収集しないことが重要です。

また、選択式のアンケートを活用して回答率をアップさせることもできますが、顧客が不本意な回答をしないように、選択肢の個数や具体性に注意する必要があります。

詳しくは以下の記事をご覧ください。

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2. 項目を集計する

今回は、映画配信サービスの解約画面で、解約理由を6つの選択肢から選ぶアンケートを実施したとします。一定期間ののち、以下のような回答が集まりました(画像では10件ですが、実際には50件のデータが集まったとします)。

集まった回答の集計には、Excelのピボットテーブルが便利です。ピボットテーブルを使うには、まず集まった回答の範囲を選択して「挿入→ピボットテーブル」をクリックします。

ポップアップが出現するので、分析するデータの範囲が正しく入力されている事を確認し、ピボットテーブルの作成先を選択して「OK」をクリックします。

作成先が表示され、右側に「ピボットテーブルのフィールド」が表示されます。

フィールド名「回答」を「行」と「値」にドラッグ&ドロップすると、ピボットテーブルが作成できます。

ピボットテーブルが作成できたら、内容をコピーして、別のシートに貼り付けて体裁を整えます。グラフへの変換を意識して、系列名をわかりやすくしたり、回答内容を短くまとめたりするようにしましょう。

3. グラフを作成する

表をまとめ終わったら、実際にグラフを描画していきます。表の範囲を選択して「挿入>おすすめグラフ」から「パレート図」を選択します。

すると、下の図のようなグラフが作成できます。そのままだと見づらい場合もあるので、適宜フォントサイズや書式を調整してください。

4. 課題のボリュームゾーンを特定する

グラフが描画できたら、アプローチするべき課題を特定します。今回は分析の結果、以下のような事実が判明しました。

  • 解約理由の多さは「見る時間なし > 見たい映画なし > カスタマーサービスの問題 > 料金が高すぎる > 映画に興味なし > 使いにくい」という順番になっている。
  • 「見る時間なし」が解約理由の50%強を占めている。「見たい映画なし」「カスタマーサービスの問題」を含めると、上位3項目で80%を占める。

以上のことから、このサービスでは解約理由のほとんどを「見る時間がない」というものが占めており、いかにしてこの顧客層のニーズを満たし、解約率を下げられるかが課題であると考えられます。

解消のための施策としては、以下のようなものが考えられます。

  • 短編映画やドラマなど、時間がなくても見れる作品を充実させる。
  • 既存作品のショートバージョンを配信する。
  • チャプターごとに映像を早送りできる機能を追加する。
  • 途中までのストーリーの要約を追加する。

また、「見たい映画がない」「カスタマーサービスに問題がある」という意見も無視できません。どんなコンテンツを顧客は見たがっているのかをしっかりとリサーチしたり、カスタマーサービス担当者のやりとりに問題がないかを調査する必要があるでしょう。

パレート分析ではボリュームゾーン以外にも注目すべき

パレート分析は、「問題の8割を占める2割の要素に着目することで、課題の大部分を効率よく解決する」という目的に主眼を置いたデータ分析手法です。

しかしながら、実際には「2割の要素が問題に占めるウェイトを、残りの8割のウェイトが上回っている」というケースが多々あります。例えばECサイトなどでは、売上がほとんど発生しないニッチ商品の売上高の合計が、売れ筋商品の売上高を上回っていることが知られています。

このことは「ロングテール理論」と呼ばれています。今回の分析の事例では、仮に「上位の解約理由の合計よりも、その他の些末な解約理由の合計の方が多い」という結果が得られれば、「サービス全体の底上げを図ることが必要だ」という経営判断を下すべきでしょう。

必ずしもパレートの法則通りの結果が得られるわけではないことを念頭に置いて、客観的に数値を見る事が重要です。

まとめ

いかがでしたか?

パレート分析は課題解決の有力なツールになりますが、必ずしも想定通りの結果が得られるわけではありません。分析結果を注意して観察し、マーケティングや経営判断に活かしてください。

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