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需要予測を経営に活用する | 「当たらない予測」を避けるには?
需要予測は担当者の経験や勘によって行う場合も多くあります。しかし現在では、過去のデータをもとに合理的な需要予測を行うことが一般的になっています。
今回は、基本的な需要予測のやり方と、実行するにあたっての注意点を解説します。
目次
需要予測とは、過去の販売データからある商品の需要量を予測すること
需要予測とは、過去の販売データを活用して、将来的な商品の需要量を予測するデータ分析手法のことです。多くの商品では、需要の変動に一定の周期やパターンが存在します。データを用いてパターンをモデル化し、将来の需要を予測します。
需要予測は、「収益の最大化」を目的として行います。需要が正確に把握できていないと、欠品を出してしまい売上が上がらなかったり、在庫過剰に陥って不要な在庫管理コストがかかったりします。
つまり、適切な需要予測を行うことで、機会損失を最小化すると同時に、コストを最小化することが可能になるのです。また、担当者の勘や経験に頼らず、客観的に見通しを立てられる点が大きなメリットです。
需要予測の基本的な手法
http://www2.kaiyodai.ac.jp/~kurokawa/lecture/lm/old2010/a/08-04-1.pdf
https://hitorimarketing.net/tools/forecasting_exponential-smoothing.html
移動平均法:直前の販売データから直近の需要量を予測する
移動平均法とは、直前の一定期間の販売量の平均値を算出して、直近の需要量の予測値とする需要予測の手法です。
例えば、過去6ヶ月の販売数のデータから、来月の需要を予測するとします。
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 |
51 | 50 | 60 | 55 | 49 | 80 | ? |
移動平均法では、8月の予測需要量は、1月〜6月の販売数の平均となります。以下のように計算し、需要予測を立てます。
7月の予測値 = (51 + 50 + 60 + 55 + 49 + 80) ÷ 6 = 57.5
また、7月の予測需要量を計算したい場合は、2月〜7月の実績値を使用して、同様の計算方法で行います。
移動平均法は非常にシンプルな計算で行える点が大きなメリットです。また、長期的なトレンドを元にした需要予測に役立ちます。
一方で、移動平均法はトレンドの変化に素早く対応することができません。例えば今回使用したデータでは、6月に大きく販売数が伸びています。これがもし一過性のものであれば問題ありませんが、仮に5月から6月の伸びが将来的にも続くとなると、移動平均法による予測は正確性を欠いてしまいます。
指数平滑法:過去の予測値をもとに新しい予測値を補正する
指数平滑法は、過去の予測値と実績値の差をもとに、新しい予測値を求める需要予測手法です。指数平滑法では、以下のような計算式で需要予測を行います。
来期の予測値 = (α×今季の実績値) + { (1 – α) × 今季の予測値 }
(ただし、0 < α ≦ 1、初期値は実績値 = 予測値とする)
この式でのαは、「実績値と予測値をどのように重み付けして評価するか」を意味しています。
αの設定方法に関しては様々な方法があります。最も簡単なのは以下のやり方です。
- 0.1刻みでαを仮に設定する
- それぞれのαについて、過去数ヶ月の予測値を出す。
- それぞれのαについて、過去数ヶ月の予測値と実績値の差を求める。
- αごとに、③で求めた差の絶対値の平均を求める。最も平均が小さいαを使用し、次月の需要を予測する。
例えば、移動平均法で解説した際と同様の需要予測を行うとします。実際のデータを用いて計算したものが以下の図です。
今回はα=0.4に設定した時が最も乖離が少ないので、この値をαとします。これをもとに、7月の需要を予測すると、以下のようになります
7月の需要予測 = 0.4 × 80 + (1 – 0.4) × 52.3696 = 63.438608
指数平滑法では、7月の需要はおよそ63.4個であると予測されました。移動平均法での予測結果(57.5個)よりも直近の傾向を重視した結果になっていることがわかります。
突発的な需要変動が起こると、需要予測は「当たらない」
需要変動には、記事で紹介した「移動平均法」「指数平滑法」の他にも様々な手法があります。例えば「夏によく売れる」といった季節性変動の情報を加味した需要予測法や、AIによる深層学習で需要を予測する方法などが存在します。
しかし、いずれの需要予測も過去のデータに基づいて行うことしかできません。実際の需要量は、突発的要因(政治・経済の混乱、災害、社会現象など)によって急に変化することもあり、場合によっては需要予測があてにならないこともあります。
需要予測を活用する際の注意点
データの欠損値・異常値を適切に処理する
データが完璧な状態で記録されていることは、ほぼ無いといっても過言ではありません。記録漏れや入力ミスによって、普通ならありえない値の入力や、データの欠落がある場合があります。
また、通常ではありえない要因で売上が変動した場合、そのデータをもとに需要予測を行うと、不正確な見立てになってしまう可能性もあります。
こうした不完全なデータに基づく需要予測を行わないために、まずは正確にデータを記録する仕組み(POSや顧客管理システムなど)を導入することが必要です。
しかし、完全にデータの欠損や異常値をなくすことはできません。そのため、おかしなデータは省いて予測を立てるなど、適切な処置が必要です。需要予測の手法によっては、高度なデータの処理が必要な場合もあるため、可能ならば専門人材に依頼するべきです。
需要予測はあくまで補助的なツールであることを意識する
需要予測は、経験・勘・努力といった不確定要素を弾いた客観的な手法です。一方で、需要予測は完璧ではありません。突発的変動は予測に反映できないため、社会情勢に対して敏感なアンテナを持ち、いざという時には豊富な経験を元に思い切った判断を下すことも必要です。
そういった意味では、需要予測において経験・知識がものを言う側面は否定できないといえます。そのため、過去の突発的需要変動をデータとして保存しておき、いつでも参照できるようにしておくなど、属人化した知識を共有できる体制を整えることで、可能な限り不確定要素を排除するよう努力しなければなりません。
いかがでしたか?
需要予測は完璧ではありませんが、一定の指針とすることはできます。この記事を参考に、より客観的な需要予測に取り組んでみてください。
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