「見える化」という言葉をご存じでしょうか。
「見える化」は業務全体を効率的に行えるようにする取り組みです。「可視化」の類語として認識されることが多い言葉です。
この記事では、「見える化」と「可視化」の違いとともに、「見える化」の具体的なメリットや導入手順について解説します。
目次
「見える化」とは、見えなかったものを強制的に見える状態にすること
「見える化」とは企業の理念など、見えなかったものを強制的に見える状態にし、周知させることです。「見える化」が導入された有名な例は、トヨタ自動車株式会社の生産ラインです。「見える化」を採用したシステムは、「あんどん」と呼ばれるランプで、異常が発生したときに点灯するようになっています。点灯した光は無意識のうちに作業者たちの目に入るようになっており、すぐに問題に対応できるようになっています。
「可視化」との違い
「見える化」は「可視化」とよく似た言葉ですが、根本的には違う意味を持つ言葉です。「可視化」とは数字など見えなかったものを、グラフにまとめるなどして目で見えるようにすることを指します。また「可視化」されたものは見ようとしなければ目に入りません。
そのため、言葉や企業の理想像などを強制的に見せる仕組みを作り、周知させる「見える化」とは異なります。
「見える化」の方法の具体的なアイデア
「見える化」を行う上では、どのような方法で従業員に情報を周知させるのかが重要になります。まず、普段よく見る場所などに周知させたい情報を掲示するという方法があります。従業員が意図することなく情報を見るようになるので、企業理念などの把握に有効です。
また、業務のチェックシートを利用して業務を見える化する方法もあります。業務を行うごとにチェックすることで、業務の抜けがないかや、どの段階で問題が起こったのかを目で見て確認できるようになります。
「見える化」を導入する5つのメリット
「見える化」は生産現場で取り入れられたことをきっかけに注目されましたが、さまざまなビジネスの現場でそのメリットを発揮します。ここでは見える化を導入する5つのメリットについて解説します。
問題解決に迅速に取り組める
トヨタ自動車で実際に導入されているように、問題を「見える化」することで迅速に問題に対応できます。問題がすぐに見える状態であれば、問題の発生に気づきやすくなり事態の悪化を防げます。
企業の方針を従業員が認知しやすくなる
企業理念や会社の方針の「見える化」を行うことで、従業員が企業の方針を認知しやすくなります。また、それにより従業員の行動指針も明確になるため、企業全体を強固な組織にすることができます。
無駄なコストなどを省くことができる
顧客のニーズに関する情報などを「見える化」すると、自社の販売する商品やサービスの無駄な部分を発見できます。無駄な部分を解消することで、よりよい商品やサービスを提供でき、さらに余分にかかっていたコストや人員を削減できます。
業務が標準化され効率的になる
個々の進捗状況を共有し業務を「見える化」することで、業務方法を標準化できます。業務方法を標準化すれば、最も効率的に業務を行えるようになります。また、日々の業務だけでなく、社員教育なども最適な方法に標準化され、効率的な人材育成ができるようになります。
知識を組織全体に共有できる
知識の「見える化」を行うことで、個人の知識を組織全体に共有できます。1人分の知識であっても、組織全体に共有されれば多くの人が利用することができます。特に個人の経験や勘に基づき言語化しにくい暗黙知は、他者にとっては刺激的で新たな成果に繋がる可能性があるので、共有することに大きな意味があります。
「見える化」を導入するまでの手順
目的や目標を明確にし、現状を把握する
「見える化」を実践するためには、まず目的や目標を決め、現状を把握することが必要です。何を見えるようにするのかが明確でないままでは、「見える化」によって問題を解決することができません。そして、目的や目標を基に、現在どんな業務が行われていて、どのような成果が出ているのかといった状況を把握し、問題点を発見します。
設定した目的や目標から、戦略を立てる
明確になった目的や目標の達成や、それに至るまでの問題解決に必要なことを認識し、戦略を立てます。具体的には、「見える化」を実践して、従業員に周知させたいことを明確にします。
共有したい情報が目に入る仕組みを作る
最後に、共有したい情報が従業員の目に入る仕組みを作ります。見なくてはいけないものや共有したいことを無意識にでも確認できると、従業員は行動をすぐに始められます。
いかがでしたか。
「見える化」は製造業の生産ラインだけでなく、さまざまなビジネスに有効な取り組みです。「見える化」を行うことで、業務をより効率的に行えるようになります。
この記事を参考にして、「見える化」の意味や導入手順を押さえて、取り入れてみてはいかがでしょうか。
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