ザ・モデルという考え方をご存知でしょうか。
インターネット決済が普及した現代において、より多くの顧客を取り込んで購入に導き、関係を継続させる方法として重視されています。
今回はザ・モデルを活用して売り上げ増加を狙う方法や要点を解説します。
目次
ザ・モデルとは、部門間の連携を通じて売上増加を目指す考え方
ザ・モデル(The Model)とは、CRMプラットフォームの提供を行なうSalesforce社が提唱した、営業活動の業績管理を通じて業績向上を目指すための考え方です。営業活動を4つの段階に分け、それぞれの業績を評価する指標(KPI)を連携させることで部門を超えて業績向上を目指します。
例えば、フィールドセールスが獲得できる受注件数はインサイドセールスが獲得した案件数に左右され、案件数はマーケティング部が獲得したリード数に影響されます。このように各部門の業績は次の段階を担当する部門に影響を与えるため、KPIに問題がある部門は数値の改善を図る必要があります。
インターネット上の決済件数の増加が背景にある
ザ・モデルの普及の理由には、インターネット上の決済件数の増加に伴うマーケティングの重要性の増加があげられます。
インターネット上には膨大な数の商品が存在するため、企業には効率良く見込み客を集める必要が出てきました。集客を効率的かつ効果的に行なうために、近年ではマーケティングの重要性が増しています。見込み客を購入まで導き、その後の関係を強化するための考え方として普及したのがザ・モデルです。
ザ・モデルではカスタマーサクセスが重視される
特にSaaSのような、継続購入を通じた売り上げ増加を狙う際は、顧客の満足度を高めることで解約率を下げ、顧客の生涯価値(LTV)を高くする必要があります。そのためには、十分なカスタマーサクセスを追求し、自社製品を通じた成功体験を提供することが重要です。そのため、従来のような「売って終わり」のようなビジネスモデルではなく、購入後にも顧客との良好な関係を継続するための考え方としてザ・モデルが用いられます。
マーケティングからカスタマーサクセスへの過程を分業し、それぞれの連携を図る
ザ・モデルにおける4段階には、それぞれ自分の部門がアプローチする前の段階である「母数」、目指す段階の「ゴール」、どれだけの割合をゴールに導くことができたかを示す「成功率」の3つの要素があります。前の段階のゴールは次の段階の母数になり、次の段階の母数を増やすには前の段階の成功率を上げる必要があります。
1. マーケティング:訪問者からリードへ
マーケティングでは、自社のサイトにアクセスしてきた「訪問者」を、自社の商品購入の有望客である「リード」に導きます。このような、個別の連絡先などを獲得できた訪問者数の割合を「獲得率」とし、この値が高ければ、次のインサイドセールスがアプローチできるリード数を増やすことができます。
2. インサイドセールス:リードから案件へ
インサイドセールスでは、マーケティングで獲得したリードに対してインターネット上でアプローチし、次のフィールドセールスへ「案件」として渡すためにリードを育成します。ここではリード数のうち案件数としてフィールドセールスに引き継げた割合を「案件化率」と言います。
3. フィールドセールス:案件から受注へ
フィールドセールスでは、インサイドセールスで獲得した案件に対してフィールドセールスを行なって「受注」を目指します。この割合を「受注率」と言います。インサイドセールスで育成した見込み客に対してさらなるアプローチを行なうことで、購入に導きます。
4. カスタマーサクセス:受注から契約更新へ
カスタマーサクセスでは受注件数に対して、継続的なサポートや関係の継続をすることで「契約更新」を狙います。この時の継続割合を「契約更新率」とし、この割合を高く保つことで安定した利益が得られます。
ザ・モデルを活用するメリット
プロセスの分業化を通して業務の改善が見込める
従来の企業では、マーケティングからカスタマーサクセスまでを同じ人間が担当することがありました。しかし、この体制では社員によって質が大きく異なることや、効率の悪さが問題となります。ザ・モデルのように各プロセスを行なう部門を分けることで、それぞれの部門のプロフェッショナルが担当できるようになり、より効率的かつ効果的に顧客を増やせます。
プロセス間の引き継ぎがわかりやすくなる
ザ・モデルでは、それぞれの部門が改善を目指す指標が次の部門につながっているため、部門間で業績の共有が簡単にできるようになります。各部門が目指すべき値が明らかになり、自分の部門の業績が次の部門に影響を与えるため、互いに情報共有やアドバイスが行なえます。このように各段階の状況を可視化することによって部門をまたいだ一連のプロセスがわかりやすくなり、情報共有の流れがスムーズになります。
人材の入れ替えに対応しやすくなる
各プロセスを分けることによって、それぞれの部門が目指すべき姿や行なう業務が明らかになるため、各部門の人材が入れ替わった場合にも、引き継ぎが簡単になります。1人の人間がマーケティングからカスタマーサクセスまでを担当している場合は、個人に依存している部分が大きいため、引き継ぎのタイミングで質が落ちてしまい、顧客を失う可能性があります。
ザ・モデルを取り入れることによってそれぞれの部門が担当する領域が明らかになり、ノウハウの蓄積もできるため、人材が変わってもスムーズに引き継げます。
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