ナラティブ・アプローチという言葉をご存知ですか?これは、対話を通して解決法を探るアプローチ方法です。この記事では、ナラティブ・アプローチで得られる効果やその実践方法を解説します。
目次
ナラティブ・アプローチとは、相手が語る物語を通して解決法を探る手法
ナラティブ・アプローチとは、相手が語る物語(ナラティブ narrative)を通して、抱えている内面的な問題の解決法を探るアプローチ手法を指します。
ナラティブ・アプローチは1990年代に臨床心理学で生まれ、現在では心理学・医学の臨床現場、社会学、キャリア・コンサルティング、司法の場など対人支援で幅広く用いられています。特に、物語を重視する心理療法は「ナラティブ・セラピー」と呼ばれます。
相手が語る物語には、相手の思い込みや脚色が含まれている場合が多く、必ずしも事実であるとは限りません。しかし、相手の捉え方そのものに着目するのが重要で、別の捉え方に更新することで相手の状態が改善されるのです。
ナラティブ・アプローチと従来の手法の違い
従来のアプローチ手法でも相手の話に耳を傾けていましたが、「相手の状況を客観的に理解する」ことを目的としていました。しかし、ナラティブ・アプローチでは、「相手の解釈や感情を理解する」ことを目的に相手の話を聞きます。
また、従来のアプローチ手法では、相談を受ける側が持論をぶつけてしまい、相談する側の意見が抑えこまれてしまう場合があります。一方、ナラティブ・アプローチでは、相談を受ける側はあえて相手の問題点を見ないようにすることで、持論を押し付けずにその人にとって最善の解決策を見つけやすくなります。
ナラティブ・アプローチで得られる効果
ビジネスにナラティブ・アプローチを取り入れることで、対話を重視するようになります。
組織内でコミュニケーションが不足すると、精神状態の不調や人間関係のねじれなど様々な問題が生じ、最悪の場合は離職につながってしまいます。それだけでなく、意見の相違を放置していると業務が停滞してしまい、業績にも悪影響を及ぼします。ナラティブ・アプローチを導入して相手が語る物語に耳を傾けることで、相手の事情や立場を理解でき、コミュニケーション不足による問題を回避できます。
また、価値観が多様化している現代では、どの解決策が最善なのかは問題を抱えている本人にしか分かりません。ナラティブ・アプローチでは相手にとって最も良い解決策を見つけることができ、従来のアプローチでは対処できなかった問題も解決できます。
ナラティブ・アプローチの実践方法
1. ドミナント・ストーリーを聞く
まずは、相手のドミナント・ストーリー(語り手の物語)に耳を傾けます。ドミナント・ストーリーには本人の思い込みや主観的な解釈が含まれている場合が多いですが、問題がどこにあるのか相手に語ってもらうことが重要です。
2. 抱えている問題を外在化する
問題を抱えている人が、その問題を自分自身と切り離せずに内在化していると、問題を自分の一部だと捉えてしまい自分自身を否定してしまいます。抱えている問題を言葉で表現してもらうことで、問題を外在化でき客観的に捉えられるようになります。
3. 反省的な質問をする
反省的な質問とは、抱えている問題にどのような人・出来事・経験が関わっているか、という質問です。反省的な質問を投げかけることで、抱えている問題に関する要素を分析します。こうして、抱えている問題に対する感情的な捉え方を取り除いて、解決できる状態にすることを目指します。
4. 例外的な結果を見つける
質問に相手が答えている中で出てくる、ドミナント・ストーリーとは異なる例外的な結果を見つけます。例えば、「職場で周囲から嫌われている」と悩んでいる人でも、好意的に接してくれる同僚もいることに気付けるはずです。
5. オルタナティブ・ストーリーを構築する
ドミナント・ストーリーとは異なる例外的な結果が見つかったら、質問を重ねていくことで例外的な結果をさらに掘り出します。こうして、ドミナント・ストーリーとは異なる捉え方であるオルタナティブ・ストーリーを作り上げることにより、相手の思考や状態を良い方向へと変化させられるのです。
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