「フレーミング効果」という言葉はご存知ですか?心理学で使用される用語の1つですが、ビジネスにおいても活用されています。
今回は、フレーミング効果の意味やビジネスにおける活用例を紹介します。
目次
フレーミング効果とは、物事の表現方法が相手の意思決定に影響するという現象のこと
フレーミング効果とは、論理的には同じ物事であっても、表現方法によっては相手の意思決定に影響するという現象のことです。英語では「framing effect」と言い、枠組みを意味する「frame」が語源です。どこを強調するかによって相手の受け取り方が変わります。1970年に行動経済学者のダニエル・カーネマン氏とエイモス・トベルスキー氏が提唱した「プロスペクト理論」の中でフレーミング効果が発表されました。
プロスペクト理論の詳細は、以下の記事をご参照ください。
フレーミング効果の事例
フレーミング効果の代表的な実験例にダニエル・カーネマン氏とエイモス・トベルスキー氏が発表した「アジアの疾病問題」の例があります。実験例の詳細は以下の通りです。
【概要】
「アジアで疾病により600人が死亡すると予想される」という前提の元に、結果は同じだが表現が異なる2つの対策のうちどちらを選択するのか2つのグループに質問する。
【実験内容・手順】
1. A・Bの2つのグループに分ける。
2. それぞれのグループに、2つの対策のうちどちらを選ぶのか尋ねる。
(Aグループへの質問)
対策1. 600人中200人が助かる対策、対策2. 1/3の確率で600人助かるが、2/3の確率で誰も助からない対策。
(Bグループへの質問)
対策1. 600人中400人が亡くなる対策、対策2. 1/3の確率で誰も死なないが、2/3の確率で600人が亡くなる対策。
【実験結果】
Aグループのうち72%が対策1を選択し、28%が対策2を選択した。
Bグループのうち22%が対策1を選択し、78%が対策2を選択した。
実験結果より、「ポジティブな内容に焦点が置かれているときには確実性を好み損失を避け、ネガティブな内容に焦点が置かれているときにはリスクを負ってでも利益を求める」傾向があるという人間の心理が可視化されました。利益と損失どちらを強調するのかによって、相手の行動が変わると言えます。
マーケティングにおけるフレーミング効果の活用例
推進商品・予防商品に利用する
フレーミング理論を用いてマーケティングを行うと、消費者へ心理的な影響が与えられます。売りたい商品やサービスにもよりますが、基本的にはポジティブな言い回しを使用するとよいでしょう。
具体的には、健康食品や美容用品など使用を推進する商品に対しては、ポジティブ要素であるメリットを強調するのが効果的だと言われています。例えば、「ご愛飲者の15%が効果を実感しませんでした。」よりも「ご愛飲者の85%が効果を実感しました。」と言う方が心理的な印象がよいでしょう。
また、防犯やダイエット関連などの予防商品に対しては、使用しないと損害や損失が出ることを強調するのがよいと言われています。例えば、高血圧に効果のある食品には、「血圧を下げるのに効果があります。」よりも「高血圧は大きな病気を引き起こす原因になります。」と、注意喚起する方が購入につながるでしょう。
割引よりポイント還元を利用する
商品を販売する際には、割引をするよりもポイントを還元する方がよいと言われています。買い物をする際、割引された金額で購入するよりも、割引なしで購入した後にポイントを還元される方が「ポイントを利用すれば次回以降に無料で買い物ができる」というお得感を感じます。
「無料」を強調する
人間は「無料」を強調されるとお得感を感じるということも、フレーミング効果の一つです。「無料」ということは、消費者にとって損失が無いため購入につながりやすいでしょう。
具体的には、「2着購入で1着無料」「本日の入会で入会金が無料」「3,000円以上の購入で送料無料」など、様々な場面で「無料」を用いた表現が活用されています。
選択肢を増やす
物事を相対的に判断するという人間の心理もフレーミング効果の1つです。商品の価格やラインナップなど、「おとり商品」を用意することが購買意欲の向上に効果的です。
具体的には、5,000円の日本酒の販売を強化したい場合、それとは別に3,000円、7,000円の「おとり商品」を用意します。そうすることで、相対的に判断され真ん中の価格の購入が増えます。
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