この記事は 2 分で読めます
保有効果とは?生じる原因やビジネスへの活用方法を紹介します
保有効果という言葉をご存知ですか。保有効果は、消費者の心理を利用したマーケティングを行う際に役立つ心理効果の1つです。
この記事では、保有効果の意味や生じる原因、ビジネスへの活用方法を紹介します。
目次
保有効果とは、所有しているものの価値を高く感じ、手放すことに抵抗を感じる心理傾向
保有効果とは、自身が所有しているものの価値を高く感じ、手放すことに強い抵抗を感じる心理傾向です。特に、思い出深いものや市場で取引されないものに対して、強く保有効果を感じる傾向があります。1970年代に経営学者のリチャード・H・セイラー氏によって提唱された効果で、「授かり効果」とも呼ばれます。
保有効果を示す「マグカップの実験」
保有効果を示した有名な実験に、行動経済学者のダニエル・カーネマン氏が実施した「マグカップの実験」があります。
被験者の学生を二つのグループに分け、一方のグループに大学のロゴの入ったマグカップを渡してグループAとし、マグカップを渡さないグループをグループBとしました。グループAには「いくらならマグカップを売るか?」という質問をし、グループBには「いくらならグループAに渡したマグカップを買うか?」と質問しました。その結果、実際のマグカップは6ドルであったのに対し、グループAは7.12ドル、グループBは2.87ドルと答えました。
この実験からマグカップを手に入れた人と手に入れていない人では、感じる価値に2倍以上の差があることが分かり、保有効果が示されています。
保有効果が生じる原因
自分が所有するものに愛着を抱くため
人は長く愛用しているものに対して特別な愛着を感じる傾向があります。このように、接触回数が多いものに愛着を抱くようになる効果を単純接触効果(ザイオンス効果)と呼び、保有効果が起きる原因の1つです。自身が気に入って使用しているものには多くの思い出があるため、仮に古くなって新品と交換できるとしてもなかなか手放すことができないものです。
単純接触効果について、詳しく解説した記事がありますので、あわせてご覧ください。
自分の価値観と他人の価値観は同じだと考えるため
人は自分と他人の考え方は同じだと無意識にとらえる傾向があり、これを偽の合意効果(フォールス・コンセンサス効果)と呼びます。愛着がある所有物には高い価値があると思い、さらに偽の合意効果により他人も同様の高い価値を見出すと考えます。
しかし、他人にとってはただの使い古されたものにすぎず価値は低くなります。このように自分と他人の捉える価値に差が生まれ、手放したくないと考えるため保有効果を引き起こします。
手に入るメリットよりも、失うデメリットの方が強く感じるため
人は手に入るメリットよりも失うデメリットを強く感じ、所持し続けたいと強く感じる傾向があります。これはプロスペクト理論における損失回避性によるものであり、手放すことに抵抗感を示すという保有効果につながります。
プロスペクト理論と損失回避性について、詳しく解説した記事がありますので、あわせてご覧ください。
保有効果のビジネスへの活用方法
無料のお試し期間を設ける
保有効果を活用するためには、顧客に一度商品・サービスを利用してもらう必要があります。まず、利用してもらうハードルを下げるために無料お試し期間を設けることが効果的です。1度利用してもらうことができれば、「お試し期間終了後も利用し続けたい」という保有効果が見込めるため、有料での継続的な利用が期待できます。
また、人は良いことをされると、お返しをしなくてはならないと考える傾向があり、これをレシプロシティ効果と呼びます。無料お試し期間を利用した顧客が、レシプロシティ効果によって有料で利用することも期待できます。
返品・返金保証を行う
商品を手に取ってもらう機会を得るという意味で、無料お試し期間と同じように返品・返金保証も効果的です。
期間限定での返品・返金保証によって商品を手に取るハードルを下げ、一度所有すると手放しにくく感じる保有効果を利用します。企業にとって返金や返品を可能にすることにリスクはありますが、保有効果によって結果的に利益につながると期待できます。
コピーライティングを利用する
実際に手に取ってもらわなくても、コピーライティングを活用し、所有しているかのような感覚を抱かせることで保有効果を利用できます。商品・サービスを実際に使用している想像ができるようなコピーライティングを作成しましょう。
コピーライティングの例には以下のようなものがあります。
持ち運べる!BtoBマーケティング用語単語帳
無料でダウンロードするために
以下のフォーム項目にご入力くださいませ。