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営業管理とは?今日からできる営業成果アップの手法を紹介
かつては「勘」や「気合い」、「接待」などに頼ってきた営業活動も、今やしっかりとした管理と分析、そしてそれに基づく営業プロセス改善によって成果を上げる時代になっています。そんな中で現在、営業において「営業管理」という概念がより重要性を増してきました。しかし言葉として知っていても、どうすれば実際に営業成果の向上につなげることが出来るのかご存じない方も多いのではないでしょうか?
今回は、営業管理では具体的に何を行えばいいのか、また、ExcelやSFAでの営業管理について紹介します。
目次
そもそも「営業管理」とは何を行うのか?
営業管理とは、営業部あるいは企業という、組織としての営業目標を達成するために、営業目標自体の設定や案件、営業プロセス、営業パーソン一人一人のモチベーションなどを管理することを指します。
営業管理によって、営業パーソンの勘や気合といった不確実なものに頼らず、営業組織全体を科学的に分析・改善することが可能になります。
営業管理を行うメリット
営業成果の向上
まずは営業の最大目標でもある、売上などの営業成果の向上です。従来の営業では、営業パーソン個人の技量や勘、センスなどに頼っていたため、「センスのない営業パーソンはどうしようもない」という状況が発生していました。
しかし、営業管理によって個々の営業成果を営業プロセスや案件ごとに「見える化」できるようになります。その結果、「営業プロセスのどの段階に問題を抱えているのか?」「どのような顧客に対して営業パーソンは問題を抱えているのか?」といった疑問に対する答えを導くことができ、各営業パーソンごとのフォローアップが可能になります。
よって、営業管理を行うことで、あらゆる営業プロセスの問題点の解消や、顧客の取捨選択が容易になり、結果として営業成果の向上に繋がります。
営業業務の効率化
営業管理を行うことで、営業活動全体の効率化が可能になります。
営業管理を行う際、営業に関する必要な情報を適切に定義し、共有するプラットフォームを作りさえすれば、今まで確認に莫大な時間をかけていた情報が確実にまとまった状態を作り出すことができます。
これによって、無駄なミーティングや「この案件担当の営業パーソンがいなくて情報の確認が取れない」といった状況を回避し、時間の無駄を省いた効率的な営業業務が可能になります。
営業管理の対象4項目とポイント
上で述べたように、営業管理を行うことで、営業成果の向上と業務の効率化が達成できます。しかし、適切なやり方を取らなければ、せっかくの営業管理施策も十分な効果を上げないまま終わってしまいます。
では、具体的にどんな項目を、どのように管理すればいいのでしょうか?
1. 目標管理
まず最初に、営業部全体で目標を定義し、それらを営業パーソンごとに分担していく必要があります。これを行うのが目標管理です。
ここでのポイントは以下の3点です。
- 週次、日次レベルで細かく目標を設定すること
- 各営業パーソンが達成すべき目標を、根拠のある数値で導き出すこと
- 無理ではないが従来以上の努力が必要な営業目標を提示すること
企業から営業部に対する目標の提示は、基本的には年単位で行われることが多いでしょう。まずはそれを月単位に分解していきます。例えば営業を行う商材によっては、季節ごとに売り上げの異なるものもあるでしょう。営業対象の商材や顧客群の特性を考慮し、各月にどの程度の売上を営業目標とすればいいのかを設定します。
更に納入期間などを考慮しつつ週・日単位に営業目標を分解し、それを各営業パーソンに割り振ります。各営業パーソンに割り振る際には、組織としての営業目標と個人の実績を考慮の上、無謀ではないが達成のために多少の背伸びが必要な営業目標を提示して、営業パーソン個人のモチベーション向上と成長を促していきましょう。
2. 案件管理
顧客が現在どのような状態にあって、どのような属性を有しているのかを管理し、営業プロセスの成果と問題点の分析を可能にするのが案件管理です。
一般的には、顧客情報(企業概要、担当者氏名、連絡先)や受注確度、提案する商材、単価、商談の履歴などを管理することが多くあります。
これらの情報を適切に管理することで、進行しない案件に見切りをつけ、確度の高い案件に集中していくといった優先度に基づく判断が可能になります。
3. 行動管理
各々の営業パーソンが、どのような顧客に対してどのような営業活動を行なっているのかを管理するのが行動管理です。
ここでのポイントは以下の2点です。
- 営業活動の優先度に従ってアプローチできているか確認する
- 架電数、訪問数、成約数などの目標を設定し、達成度を管理する
受注確度が低い案件にばかり営業をかけており、確実に受注できるはずの案件を失注してしまうなどの事態を避けるために、行動管理は有効です。
また、架電数など営業プロセスごとの定量目標を設定・管理することで「そもそも架電数が達成されていない」「架電数は達成されているが訪問営業数が未達」「訪問営業数は達成しているが成約数は未達」などの情報から、各営業パーソンが営業プロセスごとにどのような問題を抱えているのかを分析し、アドバイスを与えることが出来ます。
4. モチベーション管理
営業パーソンの成果はモチベーションに大きく依存します。モチベーション低下の原因は「営業成果が上がらない」「職場の人間関係」「取引先との関係」など様々です。それらを的確に把握し、その他の営業管理事項などと組み合わせながら適切な施策やアドバイスにつなげることで、営業パーソンのモチベーションを維持するのがモチベーション管理です。
モチベーションを管理するポイントは以下の2点です。
- フォロー方法は管理事項や面談の内容などから適切に判断すること
- フォロー後の営業パーソンのモチベーションの動向を注視すること
せっかく営業データを管理しているのですから、根拠のある仮説に基づくフォローを行いましょう。その後、施策が効果を上げていなければ、更に分析を加え改善していきます。
営業管理はExcelでどこまでできる?
このように、営業管理は管理すべき項目が多く、また相互の関連も存在します。
複雑な処理になるため、専用の営業管理ツールが必要になると思われがちですが、ある程度までならExcelでの営業管理も可能です。一方で、Excelでの営業管理に向かない組織があることも確かです。
Excelでの営業管理が失敗する要因
Excelの機能に対して営業組織の規模が大きい・組織形態が複雑
まず第一にExcelの機能の限界があります。
Excelはほとんどの企業で日常的に使用されており、営業パーソンであればほぼすべての方が使用できるツールといっても過言ではありません。そのため、導入しても使用に抵抗感は発生しにくいでしょう。また、営業管理で導入する際の金銭的なコストも抑えることもできます。
しかし一方でExcelには様々な制約があります。主な制約として、以下のような例が考えられます。
- 一度に同じシートを複数のユーザーで編集することができない
- データ間の関連性を持たせにくい
- 分析を加える際にレイアウトが煩雑になりやすい・分析自体がやりづらい
- データが増えると、シート内データの完全性の担保が難しくなったり、シートが重くなったりして扱いづらい
営業組織の規模が小さく、扱う営業データもそこまで多くない企業なら、Excelを使用しても機能上の制約をあまり受けず、営業の全容をくまなく管理することが出来るでしょう。一方、営業組織の規模が大きく、扱う営業データが膨大な企業では、データの量や構造、共有の面でExcelの限界に直面してしまい、うまく管理できないことが多くあります。
すべて自社で完結させようとしている
次に、営業管理に関する知識がない状態から自力で管理を行うことの限界が挙げられます。
Excelで営業管理をやりたいと考えている方の多くは、今まで体系的な営業管理に力を入れていなかったのではないでしょうか。つまり多くの場合、営業管理を効率的に回すためのノウハウが自社に蓄積されていないのです。
そうした状態で、まっさらなExcelシートに向き合ったとしても、うまく営業管理シートを作成できないのは当然のことです。結果、意味のあるツールが作成できず、営業管理に失敗してしまいます。
一方、営業管理のためのExcelテンプレートがWeb上で配布されており、これを使用すれば何をどう管理するのかが明確になりやすく、初めてでも効果的な営業管理が可能になります。
以下のサイトで無料のテンプレートが配布されています。こうしたシートをうまく活用して、効果的な営業管理を目指しましょう。
- HubSpot「営業案件及び営業進捗管理エクセルテンプレート」
https://offers.hubspot.jp/excel-crm-template?hsCtaTracking=ae21ef6b-7732-458b-82d8-bbdc1a82c578%7C7e41c0a3-f5d5-4103-b4e7-fd97a0f78efd#_ebcv=3kxCAMrX.liskul2so.1 - 書式の王様「顧客管理表・顧客管理シート・顧客管理カードのフォーマット一覧」
https://www.bizocean.jp/doc/category/36/ - エクセルカードHARI
http://www.timsoft.co.jp/stadium/kokyaku/
Excelでの営業管理に限界を感じたらSFA(営業支援システム)の導入を
Excelでの営業管理は簡単・手軽にできる一方で、導入に向かないケースも存在します。営業管理用テンプレートを使用することである程度の条件はクリアできますが、そもそもの営業組織の形態がExcelに適合しなければ、導入してもあまり意味がありません。
そこで活躍するのが、SFA(営業支援ツール)です。
SFAとは、営業管理に必要な4つの項目を管理するための機能に加え、データ整理機能や営業管理専用分析ツールなどが備えられているシステムのことです。有名なものに、SalesforceのSales Cloudやナレッジスイートなどがあります。
かつては導入のためにサーバーの構築等を行う必要があり、なかなか導入できませんでしたが、現在では多くの営業管理サービスがクラウドで提供されており、導入のためのコストが比較的低く抑えられるようになっています。
SFAを導入するメリット
同時編集やマルチデバイス対応で、共有がしやすい
Excelでは複数ユーザーで同時に編集することができず、また、営業パーソンが出先で確認しづらかったり、リアルタイムに変更を反映できなかったりしていました。
一方、SFAの多くは同時編集に対応しています。また、スマートフォンやタブレットなどでも簡単に情報を管理・確認でき、出先で営業パーソンが変更した情報をリアルタイムに把握することが出来ます。
営業管理用の分析機能が付随しており、改善内容が見えやすい
Excelでは分析を自力で行う必要があり、また分析の幅にも限界があります。そのため、実際に行なっている分析に意味があるのか、それから得られる知見は正しいのかといった点で不安が残ってしまいます。
一方、SFAには営業の管理・改善に必要な分析の機能が一通り揃っています。必要な分析を自動で行なってくれるものもあり、分析内容で悩む必要はありません。当然、グラフでの可視化もできるので、一部リテラシーの高くない社員がいても、わかりやすく説明が出来ます。
デザインが営業管理に特化しており、データの完全性が維持しやすい・視認性が高い
Excelは非常に拡張性の高い、汎用的なツールですが、一方でデザイン次第では「いったい何が書いてあるのか分からない…」といった状況が発生してしまいます。また、レイアウトが崩れやすく、データの構造がおかしくなってしまうリスクもあります。
一方、SFAは営業管理に特化したデザインがとられており、Excelのようなレイアウト崩れの心配はありません。また、営業データも確実に構造化できるようになっています。
4つの基準をもとに導入判断をする
このように、SFAにはExcelでの営業管理の限界を乗り越えるための機能が一通り揃っています。一方で、どうしても使用料がかかり、Excelよりは必要とされる情報リテラシーが高度であるなどのデメリットも存在します。
そこで、以下の4項目を参考に、SFAの導入を検討してみてください。
以上4項目に当てはまるのであれば、実際にSFA導入の費用対効果を検討してみてはいかがでしょうか?
いかがでしたか?
Excelでもある程度までは営業管理ができることはご理解いただけたかと思います。特に小規模な組織であればExcelの方が適切な選択かもしれません。
しかし一方でSFAを導入した方が良いケースもありますので、自社の営業チームがSFAに適合できるかをしっかり検討した方が良いでしょう。
効果的な営業管理で、しっかりと営業成果をあげられる組織づくりを目指しましょう。
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