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MRRとは?ARRとの違いや種類、改善方法、活用場面を紹介します
「MRR」という言葉をご存知ですか?これは、SaaSビジネスを行う企業にとって、ビジネスの成長を測るために重要な指標です。
今回は、MRRの概要や種類、改善方法、活用される場面を紹介します。
目次
MRR(Monthly Recurring Revenue)とは、毎月継続して得られる利益のこと
「MRR」とは、SaaSのサブスクリプションビジネスにおいて毎月継続して得られる利益のことを指します。英語のMonthly Recurring Revenueの頭文字を取りMRRと言われ、日本語に訳すと「月次経常収益」「月間定期収益」とされます。継続的な収益を指すため、初期費用や追加費用などは含まれません。
MRRの値が高いほど事業が安定していると判断できます。ただし、会計上で公的に認められた指標ではないという点に注意しましょう。
ARR(Annual Recurring Revenue)との違い
MRRとよく似た言葉に「ARR」があります。月間の収益を指すMRRと異なり、ARRは年間で得られる収益を指し、主にBtoBにおいて年間契約している商品・サービスに対して用います。英語のAnnual Recurring Revenueの頭文字を取りARRと言われ、日本語に訳すと「年間経常収益」とされます。
「ARR」の詳細は、以下の記事をご参照ください。
MRRの算出方法
MRRは、以下の計算式で算出できます。
MRR = 月額利用料 × 顧客数・ユーザー数 |
【例】
月額利用料22,500円でユーザー数が50人の場合
22,500 × 50 =1,125,000
MRRは1,125,000円です。
また、契約プランが1ヶ月、3ヶ月、半年など異なる場合は、月額に換算した上で算出できます。
MRR =(プラン利用料 ÷ 契約月数) × 顧客数・ユーザー数 |
【例】
30,000円の6ヶ月プラン契約者が1,500人の場合
まず、月額利用料に換算します。
30,000 ÷ 6 = 5,000
5,000 × 1,500 =7,500,000
MRRは7,500,000円です。
MRRの種類と改善方法
MRRは算出するだけでなく、定期的に検証・分析し改善につなげる必要があります。MRRの種類とそれぞれの改善方法を紹介します。
New MRR
New MRRは、新規顧客から得られるMRRを指します。新規MRRとも言われ、サービス提供後間もない時期にはこの指標が注視されます。
New MRRを改善するには、新規顧客の増加を目指し、見込み顧客獲得やコンバージョン率を上げる施策に取り組むとよいでしょう。
Expansion MRR
Expansion MRRは、前月よりも取引額が増えた顧客から得られる収益分のMRRを指します。例えば1,000円から3,000円のプランに変更した顧客が10人いた場合、増額分2,000円 × 10人でExpansion MRRは20,000円となります。
Expansion MRRはプランのアップグレードなどによって生み出され、値が高いほど顧客ロイヤルティが高いとされます。Expansion MRRを改善するには、アップセルやクロスセルなどの施策に取り組み、顧客単価を上げることが重要です。
Downgrade MRR
Downgrade MRRは、前月よりも取引額が減少した顧客の損失分のMRRです。減少MRRと言われることもあります。契約プランのダウングレードによって発生するMRRで、Downgrade MRRが低いほどビジネスが健全に成長しているとされます。
Downgrade MRRを改善するには、サービスの質の向上やユーザーへのサポートにより継続して利用してもらえる環境を整えなければなりません。
Churn MRR
Churn MRRは、その月にサービスを解約した顧客数から損失したMRRを指します。解約MRRと呼ばれることもあります。Churn MRRが低いほど健全なビジネスと言えます。
Churn MRRの改善には、サービスの解約や退会数を減らすことが重要で、顧客の視点に立ったサービスの見直しなどが必要です。
MRRが活用される場面
投資家の判断指標
MRRは、投資家にとって投資の判断材料になる重要な指標です。投資家が重要視する成長性を測る際にMRRを用います。
投資の判断はビジネスがどのフェーズにいるのかによって異なります。スタートアップなど事業を始めたばかりの企業では、新規顧客の増加に着目したNew MRRが重視されます。その後、企業の成長に伴い顧客ロイヤルティの高さを示すExpansion MRRやChurn MRR、Downgrade MRRが重要視されるようになります。
SaaS Quick Ratioの分析
MRRは「SaaS Quick Ratio」の分析にも用いられます。SaaS Quick RatioとはSaaSビジネスの健全性や成長率を測るための指標で、MRRの増加と損失のバランスが把握できます。
SaaS Quick Ratioは以下の計算式で算出できます。
SaaS Quick Ratio = (New MRR+Expansion MRR)÷(Downgrade MRR+Churn MRR) |
SaaS Quick Ratioは、1未満だとビジネスが縮小しており将来性が低く、1以上4未満だと現状成長しているが時間の経過に伴い縮小する可能性が高いとされています。4以上だとビジネスが好調に推移していると言えます。
事業を始めたばかりの頃は、解約する顧客よりも新規獲得顧客の方が多いため、特になにもしなくても大抵の場合SaaS Quick Ratioは高止まりします。事業を始めて1年半程度過ぎたあたりから、新規契約数が減り解約数が増え始めるため、数値を注視し4以上を維持できるように工夫しなければなりません。
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