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ROIを分析するには?「利益以外」も見ることで課題が見つかる

「投資に対して、どの程度儲かったのか?」を示す指標にROI(Return of Investment, 投資対効果)というものがあります。これは投資の何%の利益が出たかを示しており、施策を行う際には多くの場合、企画段階でROIを試算し、見込める効果の高いものを実施していきます。(ROIに関して、詳しくはこちらをご覧ください:ROIとは?計算方法や考え方を学んで費用対効果を最大化しよう)
また、施策はやりっ放しではノウハウの蓄積ができないため、実際に施策を実施した後は、その施策がどの程度の効果を上げたのかをROIを用いて計測する必要があります。
実測値としてのROIが高いにせよ低いにせよ、その内訳やそうなった要因を分析し、次の一手を見極めることが不可欠です。
今回は、実際のROIをどのように分析し、解釈していくかを解説していきます。
目次
ROIとは、投資と効果のバランスを数値として示したもの
ROIの分析について説明する前に、ROIの概要を簡単におさらいしておきましょう。
ROIとは「一定額の投資を行った際に、その効果としてどの程度の利益が発生するのか」を示した指標です。式は以下のような形で表されます。
ROI(%)=利益÷投資額×100
=(売上-売上原価-投資額)÷投資額×100
この式からも分かるように、利益や投資額の絶対的なスケールは関係なく、いかに効率的な投資が出来ているのかを示した指標です。
ROIを分析する上で知っておくべきこと
計測されたROIに対して分析や解釈を加える前に、ROIについて注意しておくべきポイントが2つあります。
ROIは成果を利益の側面からしか見ていない
定量指標はいかなるものでも、その計算式のうちにあるものの関係しか示していません。ROIも例外ではなく、ROIはただただ、投資の成果を利益の側面から解釈しているに過ぎません。
一方、投資の成果が利益のみに表れるかといえばそうではありません。例えば、広告に対する投資を行った場合、利益以外にも「認知度の改善」「企業イメージの向上」といった部分に効果が出ている可能性もあります。
実際に投資の効果を分析する際には、様々な情報を組み合わせて「いかにして利益が上がり、何が利益につながらなかったのか」を明らかにしていきましょう。
効果の絶対的な大きさは重要ではない
ROIを見る際には、動くお金の大きさに惑わされないようにする必要があります。例えば、2つの異なる施策(AとBとします)を打ち、その結果Aは10億円、Bは3億円の利益を上げたとします。
一見するとAのほうが良い投資に見えます。しかし、Aでは5億円の投資を、Bには1億円の投資を行ったとすると、AのROIは200%、BのROIは300%となり、Bのほうが効率の良い投資であると言えます。
金額の大小に惑わされずに分析を進めるようにしましょう。
ROIの有効な分析手法
それでは実際に、ROIをいかにして分析していくかを解説します。
利益以外の指標を見て、利益につながらなかった成果を見つける
上でも述べましたが、ROIは投資と利益の関係性を示したに過ぎず、利益につながらなかった成果を見つける事はできません。
例えば、広告に対する投資の結果、ROIが120%程度と振るわなかったとします。この際にはどのような可能性が考えられるでしょうか?おそらく以下のようなものが代表的ではないかと考えられます。
- そもそも見当違いの広告チャネルを使ってしまい、認知につながらなかった。
- 認知度は上げられたが、市場にニーズがなく、関心や需要を喚起できなかった。
- 他社製品との比較の中で、他社のほうがいい製品だと顧客に思われた。
- 購買チャネルが少なく不便だったため、購買につながらなかった。
では実際のところどれが正解なのでしょうか?それを知るためには、以下のような情報が必要になってきます。
- 企業や製品の認知度の推移
- 市場の情報
- 競合の中での客観的なポジショニング
- 顧客満足度調査
- etc.
このような情報を複合して、ROIが低迷した要因を探っていきます。つまり、ROIは結果のみを示しており、プロセスを探るには他の情報が必要なのです。
投資のスケールを変えたときのROIを試算する
投資の規模が変わると、ROIが変化する可能性があります。これには「規模の経済」という理論が関連しています。
規模の経済とは、ミクロ経済学において、生産の量が増えれば増えるほど一定量あたりのコストが減るという考え方です。直観的に、「まとめて作れば安く済む」というのは理解しやすいかと思います。
生産量を増やすにあたっては変動費が増加します。例えば固定費100円、製品1個を生産するための変動費が10円だとすると、10個生産すれば1個あたりの総費用は(100+10×10)÷10=20円となります。ここで、生産量を100個に増やせば(100+10×100)÷100=11円と安価になります。
すべての投資に規模の経済性が働くとは限りませんが、変動費の大きいタイプの投資は効果と投資規模のバランスを見ながら、規模の経済を活用してROIを改善する余地があるかもしれません。
変動費の多い投資でROIがうまく出ない場合は、最適な規模で投資ができているかをよくよく見直すようにしましょう。
いかがでしたか? 繰り返しになりますが、ROIは売上と費用、投資のバランスだけが全てではありません。裏に隠れているROIの決定要素をよくよく精査して、次の施策につなげていきましょう!




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