「ライフキャリアレインボー」という言葉をご存知ですか?これは、人生における役割の組み合わせを定義したキャリア理論であり、変化の大きい現代において自身のキャリアを形成する際に重要な考え方です。
今回は、ライフキャリアレインボーの概要や注目されている理由、作成するメリットを紹介します。
目次
ライフキャリアレインボーとは、キャリア≠職業の考えの中で、人生における役割の組み合わせを定義した理論
ライフキャリアレインボーとはキャリア≠職業と考え、人生におけるライフロール(役割)やライフステージ(場面)の組み合わせを定義したキャリア理論のことです。1950年代にアメリカの教育学者であるドナルド・エドウィン・スーパー氏によって提唱され、人間の一生において様々なライフロールを経験することで、自身のキャリアが形成されていくという考えをもとに構築された理論です。
7〜9種類のライフロールを重なりあわせて表示する様が、虹の形に似ていることから「ライフキャリアレインボー」と呼ばれています。
出典:文部科学省「中学校・高等学校進路指導資料第1部冊」平成4年(https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2011/11/04/1312817_05.pdf)
ライフキャリアレインボーの8つのライフロール(役割)
ドナルド・エドウィン・スーパー氏は、ライフキャリアレインボーには8つのライフロールが存在すると提唱しました。年齢を重ねるごとにライフロールの重なり合いは増えていきます。
具体的なライフロールの例には、以下のようなものがあります。
- 子ども
成長が未熟であり、保護者のサポートを受けて過ごす役割です。また、親の介護などを行う時期も子どものライフロールに含まれます。 - 学習者
小学校・中学校・高校・大学・大学院・専門学校などで学ぶ役割です。 - 職業人
働くという役割です。正社員・アルバイト・パートなど雇用形態は問わずに働いている人全てを指します。 - 配偶者
夫や妻の役割です。法律上夫婦でなくても生活を共にしている場合も含みます。 - 家庭人
家事全般を行う役割です。主に主婦の仕事を指しますが、日曜大工など家庭生活に必要な活動も含まれます。 - 親
子どもを養育する役割です。 - 余暇人
スポーツや文化活動などの趣味を楽しむ役割です。 - 市民
社会の一員として無給で社会貢献する役割です。ボランティアや地域活動、PTA活動などが挙げられます。
ライフキャリアレインボーの5つのライフステージ(場面)
ライフキャリアレインボーには、ライフロールの他にライフステージが存在します。ライフステージは、以下の5つに分類されます。
- 成長期(0〜14歳)
家庭や学校生活の中で、自分がどのような人間なのかを考える段階です。働く意味を探し、仕事に対する興味や関心を高める時期でもあります。 - 探索期(15〜25歳)
学校生活や仕事、余暇活動において自分自身の役割や好みを模索・把握していく段階です。 - 確立期(24〜44歳)
自分に合った職業や分野を見つけ、自分自身の立場や役割を確立していく段階です。キャリアビジョンが明確になり人生における安定を築いていく時期です。 - 維持期(45〜64歳)
確立期までに築き上げた立場や役割を守っていく段階です。成長が顕著な若者に比べて、立場や地位を守ることに関心が高くなる時期だと言われています。 - 解放期(65歳〜)
肉体的・精神的に衰えていき職業活動から引退する段階です。定年退職後に新しい役割を得る時期でもあります。
ライフキャリアレインボーが注目されている理由
長寿化に対応する必要があるため
平均寿命が伸び長寿化が進んでいる近年は、人生を長く楽しく過ごすための人生設計が必要です。2018年に厚生労働省が発表した「平成30年簡易生命表」において、男性の平均寿命が81.25歳、女性が87.32歳と過去最高値を記録しています。
参照
「平成30年簡易生命表(男)」:https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life18/dl/life18-06.pdf
「平成30年簡易生命表(女)」:https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life18/dl/life18-07.pdf
このように長寿化が進むことで、要介護者を複数人見なければならない多重介護問題など新たな社会課題が発生します。そのためキャリア形成だけでなく、家庭や職業、趣味、家庭環境など将来の変化に備えたフレキシブルな人生設計が重要です。
将来の予測が困難な時代になったため
働き方の多様化や外国人労働者の増加、SDGsの推進、AIの普及など、生活全体に影響をおよぼす変化が起こり、将来の予測が困難な時代になったため、ライフキャリアレインボーを理解することが重要です。
近年、「プライベートだけでなく仕事も人生の一部であると定義し、両輪を回すことで人生が豊かになるという考え方」であるワークライフインテグレーションという考え方が提唱されました。今後さらに、仕事とプライベートのバランスを取り、多様で柔軟性のある人生設計が求められます。
ライフキャリアレインボーを作成するメリット
自分自身の現在の状況を把握できる
ライフキャリアレインボーを作成し理解することで、自分自身の現在の状況を把握できるというメリットがあります。ライフロールという観点をもとに現状を知ることで、過去・現在・未来を可視化できます。
理想的な未来の道筋を立てられる
ライフキャリアレインボーは、現状を把握し理想的な道筋を立てられるというメリットがあります。今後、理想とする未来の生活を実現するために何が必要なのか把握することができ、理想的な人生設計に役立てられます。
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