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マーケティングファネルとは?顧客を取り逃がさないための分析方法を紹介

マーケティング活動を通じて集客を行っても、すべての見込み顧客が購買につながるとは限りません。反対に、僅かな購買によって爆発的な影響を市場に与えられるケースがあります。
こうした顧客の動きを予め設計して、戦略的に動かすためのフレームワークに「マーケティングファネル」というものがあります。
今回は、マーケティングファネルの基本や、マーケティングファネルでの顧客行動の作り方をご紹介します。
目次
マーケティングファネルは、顧客の行動を「ファネル(漏斗)」の形で表したモデル
マーケティングファネルとは、数多くの見込み顧客がだんだんと購買に近づいていく様子や、購買を行った顧客がだんだんと市場に影響を及ぼしている様子をファネル(=漏斗)の形で表したモデルです。
図形の面積の大きさが、実際の見込み顧客の数に比例しています。
上の図が典型的なマーケティングファネルのモデルになります。広告代理店などでよく使用されるAISASという購買モデルをベースにしており、2つのファネルで構成されています(各段階については追って説明していきます)。
上にある逆三角形のマーケティングファネルはパーチェスファネルと呼ばれ、見込み顧客が購買に至るまでを表したマーケティングファネルのモデルになっています。
下にある三角形のマーケティングファネルはインフルエンスファネルと呼ばれ、実際に購買に至った顧客が口コミやレビューなどを通じて市場に顧客を増やしていく流れが示されたマーケティングファネルになっています。
2つのマーケティングファネルで構成されることから、これはダブルファネルモデルとも呼ばれます。
マーケティングファネルを考えるメリット
マーケティングファネルは集客→購買→拡散の流れを設計できるモデルですが、これを考えるメリットは大きく2つあります。
顧客行動でのボトルネックを特定しやすい
1つは、あるマーケティングファネルのモデルの中での顧客の動きを観察することで、ファネルのどの段階に問題が発生しているのかを見定めることができます。
例えば典型的な「購買につながっていない」マーケティングファネル(パーチェスファネル)の形は以下のようになっています。
このような、購買段階で極端に見込み顧客が減るマーケティングファネルでは、検索行動から購買への橋渡しの際に多くの見込み顧客を失っています。仮説としては検索結果として自社が登場しない(コンテンツはある?SEOはできてる?)、競合と比較されて選ばれていない(競合に対するポジショニングは上手くできてる?ターゲットは正しい?)などが考えられます。
このように、マーケティングファネルの中のどの段階に問題を抱えているかが数値分析によって一目瞭然になるのが、マーケティングファネルを考える大きなメリットになっています。
ファネルの各段階で施策を切り替えやすい
もう1つのメリットは、購買プロセスをマーケティングファネルで段階ごとに考えることで、各段階での見込み顧客へのアプローチ施策を最適化できることです。
見込み顧客の質としては、例えばパーチェスファネルの中では上ほどコールド(見込みが低い)になっています。マーケティングファネルの上部に位置する顧客ほど、キャンペーンなどを通じて「自社製品の使用のきっかけ」を作る事が重要になります
反対に、マーケティングファネルの下に行くほどホット(見込みが高い)な見込み顧客が多くなります。こうした顧客に対しては、購買以前であれば他社と比較した際のメリットを強く打ち出したり、購買後のインフルエンスファネルであればアップセル(購買単価アップ)やクロスセル(他製品の購買につなげる)などの戦略が必要になります。
このように、マーケティングファネル上での各段階に応じた施策を、ある程度型にしながらも最適化できます。
マーケティングファネルにおける購買の4段階
マーケティングファネルはさまざまな購買行動モデルに応じて作られます。今回は特に有名なAISASモデルに準拠したマーケティングファネルをご紹介します。
AISASモデルは顧客の行動を「認知→興味→検索・検討→購買→拡散」という形で表しています。パーチェスファネルでは購買までの4段階を扱います。
1-1.Attention(認知)
マーケティングファネルの第1段階は「認知」です。この段階では、TVCMや交通広告などのマス媒体を活用したり、検索エンジンのリスティング広告、バナー広告などを活用したりして、多くの潜在顧客を見込み顧客にしていくことが必要になります。
特にリスティング広告やバナー広告を活用すると、最初からある程度ホットな見込み顧客を獲得できるので短期的には効率的です。
1-2.Interest(興味)
マーケティングファネルの次の段階は「興味」になります。自社製品は認知しているが、そんなに興味はないという顧客の購買意欲を上げていきます。
この段階では、よりパーソナライズした広告やメディアを活用して見込み顧客を購買へとつなげていく必要があります。リスティング広告などで、特定の困り事に対する解決策として自社の製品を訴求していくことなどが効果的ではないでしょうか。
1-3.Search(検索・検討)
マーケティングファネルの第3段階が「検索・検討」になります。この段階では、競合との明確な比較の中で自社製品が選ばれるかどうかが決まります。
ここでは、可能な限りパーソナライズされた情報で訴求しましょう。スマートフォンアプリやLINEなどを活用した1to1でのマーケティング施策が効果的です。
1-4.Action(購買)
マーケティングファネルの第4段階が「購買」です。競合との比較の中で自社製品を選んだ顧客のみが購買に繋がります。
ここで止まるのではなく、自社との関係を継続してもらうために様々な施策をインフルエンスファネルで行い、LTV(顧客生涯価値)や単価の向上に努めていきます。
マーケティングファネルにおける拡散の段階
実際に購買につながった顧客は、今後の継続した取引の可能性を持つだけでなく、新たな顧客を連れてくる可能性を秘めています。
マーケティングファネルのインフルエンスファネルの段階では、こうした顧客の動きを設計していきます。
2-1.継続
マーケティングファネルの第5段階では、顧客の継続利用を促していきます。特別な購入機会のオファーや手厚いアフターサービスによって取引期間を長くし、時間の面から顧客のLTVを伸ばしていきます。
2-2.ファンになる
取引期間が長く、LTVの高い顧客の多くは自社製品のファンになっています。多くの顧客にマーケティングファネルのこの段階に進んでもらうには、製品自体の価値はもちろん、ネットワーク外部性(みんな持ってるし欲しい!という状態)やブランド価値を活かすことが必要になっています。
2-3.共有・拡散
ファンになった顧客は口コミやレビュー、SNSなどを通じて周囲に商品の価値を伝える「野生の広告塔」になっていきます。マーケティングファネルのこの段階まで進んだ顧客に対しては、継続して商品の価値を伝えることはもちろん、アフィリエイトプログラムなどを通じて報酬の対価として宣伝を行ってもらうことも有効です。
マーケティングファネルの注意点
顧客行動の設計に非常に便利なマーケティングファネルですが、大きな注意点が1つあります。
顧客行動は特定のモデルで表現できないほど多様化している
元も子もないですが、1種類のマーケティングファネルで表現できるほど、現代の消費者の行動は単純ではありません。
Webの発展に伴い個人のさまざまな選好が顕在化するとともに、社会全体で価値観の多様化が進んできています。
そのような中でも、マーケティングファネルは多くの顧客を扱う企業にとってはまとめて顧客を動かすことができる便利なモデルです。一方、細かくカスタマージャーニーマップ(それぞれの顧客がどのように購買し、継続取引していくか)を設計していくことも非常に重要です。
特定のモデルにこだわらず、マーケティングファネルも1ツールとして活用しながら施策を設計していきましょう。
いかがでしたか?
マーケティングファネルは上手く使えば顧客行動の設計に非常に便利です。マーケティングファネルの限界を考慮した上で、多様な選好にも対応できる顧客行動を設計していきましょう!




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