セレンディピティとは何かご存知でしょうか。日常的にイノベーションを起こすことが求められる現在、その可能性を高めうるセレンディピティが注目されています。
今回は、セレンディピティの基本から、ビジネスで成功した事例、セレンディピティを起こすための秘訣まで紹介します。
目次
セレンディピティとは、偶然の幸運あるいはそれを掴むための能力のこと
セレンディピティとは、意図せず新たな発見があった、運命を良い方向に変える出会いがあった、というような偶然の幸運、あるいはそれを自ら掴み取るための能力を意味する言葉です。セレンディピティはおとぎ話集にある、偶然の幸運から人生が好転する物語『セレンディップの三人の王子たち』が語源となっています。
セレンディピティの代表例として、アイザック・ニュートンが木から落ちるリンゴを見て発見した万有引力、アレクサンダー・フレミングが誤って青カビを発生させた際に、その周りでは細菌が繁殖しないことから見出したペニシリン抽出法が挙げられます。
セレンディピティが注目される理由
予期せぬ発見からセレンディピティが起これば、新たなアイデアや解決策が生まれたり、組織にイノベーションをもたらされたりします。画期的な商品・サービスを思いつくきっかけや、大きな課題を乗り越えるきっかけになるほか、組織改革が生まれるため、セレンディピティを自発的に起こせることは多くのメリットをもたらします。
現在、技術発展やグローバル化に伴い、幅広い情報源から情報を集めることができると同時に、人との繋がりの幅も広がっています。セレンディピティが求められる上に、社会としてセレンディピティを掴みやすくなった背景から、現在注目を浴びています。
シンクロニシティとの違い
セレンディピティと似た言葉にシンクロニシティがありますが、シンクロニシティは単に偶然生じたことを意味します。セレンディピティには、その偶然生じるような幸運を自身で掴みにいく能力が含まれるため、この点でシンクロニシティと異なります。
ビジネスでセレンディピティにより成功した事例
ポストイット
3M社は強力な接着剤を開発する中で、接着力の乏しい接着剤が出来上がりました。失敗作と思われましたが、偶然生まれた接着しやすくも剥がしやすいものを、落ちないしおりとして活用できないかと考え生まれた製品が現在のポストイットの付箋です。
コカ・コーラ
コカ・コーラ社は19世紀半ばにワインの一種である「フレンチ・ワイン・アンド・コカ」を開発しました。このワインは人気であったものの、禁酒法が施行されたため販売禁止となり、これに代わるノンアルコール商品の開発を進めます。開発中に水を入れるつもりが誤って炭酸水を加えたところ、今までにない飲み物ができ、これが現在の「コカ・コーラ」へとつながりました。
2006年にサービスが開始したTwitterは、もともと社員が遊びで作った社内メッセージツールでした。しかし、これが社内で人気となり中毒性があることが発見されたため、改良を重ね現在のTwitterへと昇華されました。
電子レンジ
軍事製品用のレーダーを研究していた博士が偶然、ポケットに入っていたチョコが溶けているのを見つけ、電波が熱を伝えることを発見しました。それを応用して開発されたのが、現在の電子レンジです。
サランラップ
サランラップはもともと、第二次世界大戦時に兵士の水虫を防止するためのブーツの中敷として使用されていました。戦後その用途は失われましたが、主婦がレタスをサランラップに包んでいるのを見たことで、水分を保ちつつ衛生的に食べ物を保護できる用途としてのサランラップが注目を集めました。
カッターナイフ
紙を切る際にはカミソリが使われていた当時は、刃がすぐに消耗するためその度に買い換える必要がありました。しかし、偶然板チョコを割って食べる人を見た際、刃が消耗したら板チョコのように折れる機能があれば便利だと考え、カッターナイフが発明されました。
セレンディピティを起こすための秘訣
現在、リモートワークで特定の人としかコミュニケーションを取らない、あるいはSNS中心に情報を集めるために偏った考え方になることが起こりやすくなり、意識しなければセレンディピティを掴む機会が減ってしまう現状にあります。そのため、以下のポイントを意識してセレンディピティを自主的に起こしていくことが重要です。
セレンディピティの3要素を知る
セレンディピティの3要素とは、「Action(行動)」「Awareness(気づき)」「Acceptance(受容)」です。何より、まずは行動を起こさなければ、偶然の事象が起こることはありません。また、行動に移して偶然の事象が起こった際、それに気づけなければ新たな発見や大きな利益へとつなげられません。
そのため、行動と気づきはセットで行うことを意識しましょう。同時に、自分の意見や常識とは異なる偶然でも、受け入れてみる姿勢を持つことで、さらにセレンディピティを掴める機会が増えるでしょう。
好奇心を持ちチャレンジ精神を養う
何事にも好奇心を持ち、チャレンジすることでセレンディピティを掴める機会が広がります。何か発見があったときにすぐ調べてみる、上司に尋ねてみるといった知識を吸収する姿勢を持つとともに、新しいものに取り組んでみるチャレンジ精神を養いましょう。
自身のアイデアや意見を積極的に伝えることによっても、その考えに興味を持った人物から新たなビジネスの提案を受けたり、他の人の知識も合わさって解決策につながったりする可能性が高まります。
多様な意見を受け入れる
セレンディピティを起こすためには、自分の意見にこだわりすぎるのではなく、多様な意見を受け入れることも重要です。自分とは異なる視点からの意見が、新たな発見につながることもあります。
自分の持つ前提をなくして考えるゼロベース思考を大切にし、多様な意見を受け入れましょう。
直接のコミュニケーションを大切にする
コミュニケーションを通じて、思わぬところからセレンディピティが起こる可能性があります。オンラインだけでなく、直接のコミュニケーションを積極的に行い、自分の意見を伝えるとともに相手の意見を聞いて多角的な視点を持ちましょう。
また、偶然の人との出会いがセレンディピティを引き寄せることもあります。仕事内で関わる人だけでなく、偶然出会った人との縁を大切にし、人脈を広げる姿勢を心掛けましょう。
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