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ペルソナマーケティングとは?「仮想の顧客」を考えて成功する方法

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従来のマーケティングでは、広大な市場をさまざまな条件で区切り、ターゲットとなる顧客を洗い出すセグメントマーケティングが主流でした。

しかし近年、特定の顧客像を設定し、その仮想顧客に対して徹底的に刺さる製品開発やマーケティング活動を行うという「ペルソナマーケティング」が注目されています。

この記事では、ペルソナマーケティングとは一体何で、何がいいのか?セグメントマーケティングとペルソナマーケティングは何が違うのか?どうやって施策を作ればいいのか?といった点を徹底解説していきます。

ペルソナマーケティングとは、「仮想の顧客」の人格をベースにマーケティングを行うこと

ペルソナマーケティングとは先にも述べたとおり、仮想の顧客像を作り、そこに最も刺さるような製品開発、および販売・マーケティング活動を行うというマーケティングの考え方です

一例として、化粧品のマーケティングを考えるにあたっては以下のようなペルソナが考えられます。

名前:ムス山ベス子
性別:女
年齢:22歳
職業:京都府京都市内の私立大学(共学)で大学生(経済学部)。事務のアルバイト。
出身:愛知県
在住:京都府で一人暮らし
家族構成:実家に両親と祖父母、高校生の弟。大阪に社会人の兄。
趣味:カフェ巡り、カメラ、読書
収入:家賃抜きで仕送り5万、バイト代4万
サークル:ボランティアサークル
日常的な行動:インスタグラムのアカウント運営に力を入れている。自分で撮った写真やお気に入りのカフェの様子、自撮りなどをアップしていてフォロワーが1000人ぐらいいる。

なんとなくふわっとした女子大生が思い浮かぶのではないでしょうか。このように事細かに仮想の人格を形成し、そこに向かって製品や広告、価格設定、販売チャネルなどを設計していくのがペルソナマーケティングの大きな特徴です。

セグメントマーケティングとの違い

従来型の「市場を属性で分けてターゲティングし、戦略を設計する」マーケティングは「セグメントマーケティング」と呼ばれています。こうしたマーケティング手法では、顧客を集合、あるいは層として捉える事がほとんどです(ex. 主婦層、若年層etc…)。

一方、ペルソナマーケティングでは「点」で顧客を捉えます。「こういう属性の顧客が何人かいて…」ではなく、徹底して「1人の個人」を想定したマーケティング活動を行うのが大きな特徴です。

ペルソナマーケティングを行うメリット

ペルソナマーケティングだと、対象となる顧客が圧倒的に少なくなりそう…と思われるかも知れません。しかし、ペルソナマーケティングにはそれをカバーする大きなメリットがあります。

全社的な施策の判断基準ができる

ペルソナマーケティングの大きなメリットの1つ目は、マーケティング活動に関わる全ての人の間で、統一的な判断の基準ができるということです

セグメントマーケティングでは、ターゲットになる顧客は比較的抽象的です。そのため、施策の良し悪しの判断に主観的な要素が入ってしまい、統一的な判断が難しくなってしまいます。

一方、ペルソナマーケティングであれば顧客像が限りなく具体的です。そのため、各部署、各個人間での認識のブレを可能な限り排除することができます。したがって、ペルソナマーケティングを行うことで全社的な施策の統一性を格段にアップさせることができます。

狙った顧客に確実に刺さるマーケティングができる

ペルソナマーケティングのもう1つの大きなメリットは、ターゲットへの刺さりやすさを担保できることです

従来のセグメントマーケティングは漠然とした概念に向かって刺さる(かも知れない)マーケティング施策を打つ必要がありました。結果「誰にも刺さらない」というリスクを抱えてしまいます。

しかし、ペルソナマーケティングを行うことで、確実に設定したペルソナには刺さるようになります。また、よほど極端なキメラのようなペルソナでない限り、7~8割の要素がペルソナと共通している顧客は多く存在しているので、それらの顧客にもある程度訴求できます。

ペルソナマーケティングのプロセス

では、具体的なペルソナマーケティングのやり方を見ていきましょう。

1. データ収集

まず、ペルソナを設定するために、自社製品の典型的な顧客像に関するデータを集める必要があります。

既存のセグメントに準拠しながら、「こんなペルソナがあるのではないか?」という仮説を立て、アンケートやインタビューを活用して実際のペルソナを分析していきます

こうしたリサーチには、マーケティングリサーチの手法を用いることが有効です。詳しくはこちらをご覧ください→マーケティングリサーチとは?顧客に寄り添う施策を考える手法を紹介

また、政府やシンクタンクなどの既存の調査結果を活用するのも有効です。

2. ペルソナの設定

ペルソナに関する仮説を調査によって実証しながら、実際のペルソナを組み立てていきます。

ここで重要なのは、その人の人生(1日の過ごし方、ライフスタイル、今後のキャリアなど)をある程度イメージできるようなペルソナを組み立てていくことです

その人が人生のどんな局面で、どのように自社製品を認知し、そしてお客様になっていくのかを描けるかどうかが、ペルソナマーケティングの成否を決める鍵になります。

3. 施策の作成

ペルソナを作成したら、実際にその人が自社の顧客になるストーリーを描き、そこにペルソナを誘導していけるような施策を考えていきます。

セグメントマーケティングと大きく違い、マーケティングの各要素(4P : 価格設定、製品設計、販売方法、プロモーション手法)に関する施策がすべて特定のペルソナという一点を向いて設計されます。

そのため、強力な統一性を持ったマーケティング施策が自然に設定されます

4. 実行・アップデート

施策を構築した後、実際に運用していきます。前述の通り、セグメントマーケティングは強力な統一性を持った施策の実行をサポートしてくれるため、「各施策がばらばらに動いている」という事態は避けやすくなっています。

一方で、ペルソナの設定が本質的でない、ずれていたなどの要因により、思ったように施策が効果を発揮しないというケースも考えられます。常に改善のサイクルを回して、最適なペルソナ設定を行いましょう。

ペルソナマーケティングの事例:雪国観光圏

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(出典:雪国観光圏|真白き世界に隠された知恵と出会う

ペルソナマーケティングの一事例として日本の観光地経営組織である「雪国観光圏」が実行しているマーケティング施策が挙げられます。

雪国観光圏は群馬県・新潟県・長野県にまたがる広域の観光圏で、以前はスキー場や史跡などの各観光地が独立して行っていた観光地経営を、「真白き世界に隠された知恵に出会う」という独自性の高いコンセプトのもとに統一して行っています。

こうしたコンセプトに基づき、雪国観光圏では「今井 薫(43歳、女性)、都内のIT企業に勤務していて、年収は900万、独身」というペルソナを導き出し、ここに向かったブランディングなどを行うことで、一地方の観光地を世界基準へと高めています。

まとめ

いかがでしたか?

ペルソナマーケティングはBtoCを中心にマーケティングのスタンダードへと変わりつつあります。施策の高い効果を実現するために導入してみてはいかがでしょうか?

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