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PPM分析とは?事業の将来性から経営資源の最適な分配を考えよう

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多くの企業は事業を多角化することによってリスクを分散させたり、あるいは事業と事業の相乗効果で大きな利益を上げたりしています。一方で、多くの事業を抱えることはどれかの事業が会社の重荷になってしまうというリスクにも繋がります。

とりわけこれから市場の不確実性が増してくる中で、事業の今後の立ち回りを考えていくことはすべての企業にとって急務です。

今回は、そんな多角化企業の事業を分析し、将来を描くための分析手法である「PPM分析」の基本と、注意すべきポイントについて解説していきます。

PPM分析とは、「市場の成長性」「相対的な市場シェア」の2軸で事業を分類する経営分析手法

PPM分析とは、ある企業の複数の事業を、「市場の成長性」「相対的な市場シェア」の2つの軸で分析・分類する経営分析の手法です。

市場の成長性は以下の式で求めることができます。

市場の成長性の定式化

市場の成長性=今年の市場規模÷去年の市場規模

もしくは、市場の成長性=自社の売上高÷自社の相対的市場シェア(%)

市場規模は公的な統計などで調べることが可能です。

また、相対的な市場シェアは以下のようにして求める事が可能です。

相対的市場シェアの定式化

相対的市場シェア(%)=(自社の売上÷市場規模)×100

この2つの軸の工程で事業を分類して、それぞれの資源配分を考えていきます。

PPM分析での4つの分類と、それぞれの戦略の描き方

PPM分析では、2軸の高低に応じて事業を以下のように4つに分類をしていきます。PPM

それでは、具体的に各分類とその戦略について見ていきましょう。

金のなる木(Cash Cow)

PPM分析において、相対的な市場シェアが大きく、かつ市場の成長性の低い事業は「金のなる木(Cash Cow)」と呼ばれます。

ここに分類される事業は、市場において大きなプレゼンスを誇っているため、企業にとっては稼ぎ頭ともいえるものです。一方で、市場の成長性が低いため追加での投資はそれほど必要になりません。

ここでの戦略としては、事業を維持しながらも稼いだ利益をさらに成長性の高い事業に投資していくのが良いでしょう。また、いくら稼ぎ頭といえ市場は成熟状態で、放っておけば衰退が免れない領域なので、市場動向には注意すべきです。

スター(Star)

PPM分析において、市場シェアが大きく、また成長性も高い事業は「スター(Star)」と呼ばれます。

スター事業は上のような特徴から、企業としては5年10年先を担っていくホープとなる事業です。一方で、市場事態が成長していくため現在のプレゼンスを維持していくためには多くの追加投資が必要となります。

この事業での戦略としては、金のなる木が稼ぎ出した利益を優先的に投資することで、将来的には新たな金のなる木へと育てていくことが考えられます。ただし、後発企業による市場地位の逆転には十分注意しましょう。

問題児(Problem Child)

PPM分析の中で、市場自体が急成長しているもののシェアが取れていない事業は「問題児(Problem Child)」と呼ばれています。

この事業は将来的に大きなキャッシュを稼ぎ出す可能性を秘めていますが、現状では十分にその恩恵を受けられていません。一方で、追加の投資によって将来的にはスター事業や金のなる木になるポテンシャルを大きく秘めています。

戦略としてはスター事業と同等、あるいはそれ以上の投資を金のなる木から行うことによって市場での地位を高めていくことが重要です。

負け犬(Dog)

PPM分析において市場としても成熟状態で、シェアも取れていない事業は「負け犬(Dog)」と呼ばれています。

この事業は市場ボリュームはあるかもしれませんが将来性がなく、多数の競合企業が存在するためにそこで稼ぎを出すこともままならない事業です。

ここに分類される事業は可能な限り早く撤退・縮小し、設備などの売却によって得られたキャッシュや余った人員などの資源を他の成長事業に投資していくことが必要になってきます。

PPM分析の限界は、売上規模でしか判断できないこと

ここまで紹介してきたように、PPM分析は事業の戦略の大きな方向性を考えるために非常に有用なフレームワークです。一方で、PPM分析には「個々の事業の売上規模」の情報にのみ依存しているという大きな弱点があります

多角化企業の事業は、個々で稼げるか稼げないかということはもちろん、事業間シナジー(相乗効果)などを加味して行っています。

例えばIoT機器などの先進的な製品の製造と、物流事業の2事業を行っている会社があるとします。PPM分析に基づくと、過当競争に陥っている物流事業は「負け犬」に近いと考えられるため撤退を検討すべきです。

しかしながら、この企業では製造から物流の流れを外部委託せず自社内で行う事によってコスト面でのシナジーが発生しています。物流事業から撤退すると、コストが高騰し利益構造を脅かす可能性があります。

このような可能性はPPM分析のみでは評価できません。PPM分析の考え方にとらわれず、様々な視点で事業のあり方を考えていきましょう。

まとめ

いかがでしたか?

PPM分析は企業の多角化した事業をマッピングして、将来性を簡単に評価することができます。一方でそれだけでは計れない価値のある事業も存在するため、PPM分析を活用しながら、多角的な視点で経営を考えていきましょう!

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