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ダイレクトレスポンスマーケティングとは?BtoBビジネスへの活用法も解説
近年、Webマーケティングの普及に伴い、多くの企業がダイレクトレスポンスマーケティングに注目しています。ダイレクトレスポンスマーケティングは、見込み客を効率的に獲得し、育成・販売していくのに非常に有効な手法です。
今回は、ダイレクトレスポンスマーケティングとは何か、具体的な方法やメリットなども交えて紹介していきます。
目次
ダイレクトレスポンスマーケティングとは、反応のあった見込み客にのみマーケティングを行う手法のこと
ダイレクトレスポンスマーケティングとは、広告や宣伝に対して何らかの反応を示してくれた見込み客にターゲットを絞って、集客・販売を行うマーケティング手法のことです。「Direct Response Marketing」の頭文字を取って、DRMとも呼ばれます。
具体的には、Webサイトでの資料請求やセミナー参加の申し込み、展示会での名刺交換などをきっかけに見込み客の連絡先を獲得し、その後の継続的なアプローチによって商談・販売につなげていきます。
現在ではインターネットの急速な普及により、ダイレクトレスポンスマーケティングはWebマーケティングと非常に親和性の高い手法となっています。見込み客の行動履歴やニーズに合わせて最適な情報を提供できるデジタル技術を活用して、効果的にアプローチできることがその理由です。
ダイレクトレスポンスマーケティングに適した商材
ダイレクトレスポンスマーケティングは、どの商材に対しても同じように効果があるというわけではありません。一般的に特に有効とされるのは、以下の特徴を持つ商材です。
- 高単価・高額な商品やサービス
- 認知度が低く、理解を深める必要がある新商品
- 中小企業が持つ独自性の高い商品
このような商材は、短期的な販売促進よりも丁寧な説明と継続的なコミュニケーションによって、顧客に価値を実感してもらう必要があります。ダイレクトレスポンスマーケティングは、まさにそのような丁寧な関係構築に適したマーケティング手法だと言えるでしょう。
ダイレクトレスポンスマーケティングの3ステップ
1. 見込み客の集客
ダイレクトレスポンスマーケティングの第一歩は、見込み客の集客です。自社の商品やサービスに興味を持ってくれそうな潜在客に向けて、Webサイトやランディングページ、広告などを通じて情報を発信します。
その際、資料請求やセミナーへの申し込み、アンケート回答などの「反応」を促す仕組みを用意することが重要です。この反応をきっかけに、見込み客の連絡先を獲得し、アプローチのためのリストを作成します。
2. 見込み客の育成
集客した見込み客すべてが、すぐに購買行動に移るわけではありません。そこで必要になるのが、見込み客の育成です。メールマガジンや商品サンプルの提供、ノウハウ集の送付など、見込み客との継続的なコミュニケーションを通じて、自社への理解と信頼を深めていきます。
この育成プロセスを「リードナーチャリング」と呼びます。見込み客一人ひとりの関心事や課題に寄り添い、適切なタイミングで最適な情報を提供することが、育成の鍵となります。
3. 見込み客への販売
育成した見込み客が自社の商品やサービスに十分な価値を感じ、購入意欲が高まったタイミングで、具体的な販売プロセスに入ります。
Webサイトでの購入ボタン設置、商談の設定、契約書の送付など、販売に向けた一連の行動を促していきます。この際、見込み客のこれまでの反応データを活用し、パーソナライズされたアプローチを行うことが効果的です。
ダイレクトレスポンスマーケティングの主な手法
Webマーケティングの手法
Webマーケティングの領域では、以下のような手法が効果的です。
- SEO
検索エンジン最適化により自社サイトの検索順位を上げ、見込み客の流入を増やす - コンテンツマーケティング
ブログ記事やウェビナー、動画コンテンツなどを通じて見込み客の興味を引き、信頼を築く - Web広告
リスティング広告やディスプレイ広告、SNS広告などを活用し、ターゲットとなる見込み客にアプローチする - メールマーケティング
見込み客リストに対して定期的にメールマガジンを配信し、継続的なコミュニケーションを図る
オフラインマーケティングの手法
オフラインマーケティングでは、以下のような手法が考えられます。
- DM(ダイレクトメール)
見込み客リストに対して、商品カタログやサービス案内、クーポンなどを郵送する - セミナー・イベント
自社の専門性を活かしたセミナーやイベントを開催し、見込み客との直接的な接点を持つ - 展示会
業界の展示会に出展し、商品やサービスをアピールすると同時に、来場者から名刺を集める - 訪問・対面営業
見込み客を直接訪問し、対面でのコミュニケーションを通じて信頼関係を築く
顧客育成・販売促進の手法
集客した見込み客を効果的に育成し、販売につなげるための手法も重要です。
- サンプル提供
商品の試供品やトライアルサービスを提供し、実際の価値を体感してもらう - キャンペーン
期間限定のキャンペーンや特典を用意し、見込み客の購買意欲を高める - セグメンテーション
見込み客の属性や行動履歴に基づいてセグメントを作成し、よりパーソナライズされたアプローチを行う - リードスコアリング
見込み客の行動や属性に応じて点数付けを行い、優先順位を決めて効率的にアプローチする
以上のような多様な手法を、自社の商品やサービスの特性、ターゲット顧客の属性などを考慮しながら選択して組み合わせていくことが、ダイレクトレスポンスマーケティングの成功の鍵となります。
ダイレクトレスポンスマーケティングのメリット
優良な見込み客を効率的に獲得できる
ダイレクトレスポンスマーケティングでは、自社の商品やサービスに興味を示してくれた見込み客だけをターゲットにするため、無駄なくアプローチをすることが可能です。
これは不特定多数に向けた大規模な広告宣伝とは異なり、反応のあった見込み客のみを対象とするダイレクトレスポンスマーケティングならではのメリットと言えるでしょう。結果として、営業リソースを最適に配分し、高い成約率を実現できる可能性が高くなります。
低コストで実施できる
テレビCMや新聞広告などの大規模な広告施策と比べ、ダイレクトレスポンスマーケティングはWebサイトやメール、郵送物などを活用するため、比較的低コストで実施できます。特にデジタルツールを活用することで、初期投資を抑えつつ見込み客との継続的なコミュニケーションが可能となります。
このため、予算規模が限られている中小企業や、マーケティングリソースの少ないスタートアップ企業などでも取り組みやすいのが大きな利点です。少ない投資で最大限の効果を狙える、費用対効果に優れた手法だと言えるでしょう。
効果測定がしやすい
ダイレクトレスポンスマーケティングでは、広告のクリック数や資料請求数、メールの開封率、セミナー参加者数など、各施策の効果を数値で把握しやすいのが特徴です。これにより、どの施策が功を奏し、どの施策に改善の余地があるのかを明確に判断できます。
また、こうした数値データを分析することで、見込み客の属性や行動パターンなども明らかになります。これらの情報を基に、PDCAサイクルを回しながら施策を改善・最適化していくことで、より高い成果につなげることができるでしょう。
ダイレクトレスポンスマーケティングのデメリット
成果が出るまでに時間がかかる
ダイレクトレスポンスマーケティングは、見込み客を集客し、関係性を構築しながら育成して、最終的に販売につなげるまでの一連のプロセスを踏む必要があります。そのため、施策を開始してからすぐに売上や利益として成果が現れるわけではありません。
特に、高額商品や長期的な契約が必要なサービスなどの場合、見込み客の意思決定に時間がかかることも少なくありません。したがって、ダイレクトレスポンスマーケティングは、短期的な販売目標の達成や即効性のある販促施策には向いていないと言えます。
長期的な視点を持ち、一定の時間をかけて見込み客を育成し、信頼関係を築いていく必要があるでしょう。
ブランドの認知向上には向いていない
ダイレクトレスポンスマーケティングは、あくまでも購買意欲の高い見込み客を対象に、個別にアプローチする手法です。そのため、不特定多数の人々に向けてブランドメッセージを広く発信し、認知度を高めることには適していません。
もちろん、見込み客とのコミュニケーションを通じて、結果的にブランドイメージの向上につながることはあるでしょう。しかし、それはあくまでも副次的な効果であり、ダイレクトレスポンスマーケティングの主目的ではありません。
ブランド認知度を高め、企業イメージを向上させたい場合は、テレビCMや雑誌広告、PR施策など、別の手法を併用する必要があります。ダイレクトレスポンスマーケティングだけではブランディング効果は限定的だと理解しておくべきでしょう。
ダイレクトレスポンスマーケティングを成功させるコツ
明確な目的・ターゲットを設定する
ダイレクトレスポンスマーケティングを始める前に、まずはしっかりと目的やターゲットを設定することが重要です。「新規顧客の獲得」「既存顧客のリピート率向上」「特定商品の販売促進」など、具体的な目標を定めましょう。そして、その目標を達成するために、最も適したターゲット層を明確にします。
ターゲットの属性(年齢、性別、職業など)や、課題・ニーズ、購買行動などを詳細に分析し、ペルソナを作成するのも効果的です。明確な目的とターゲットが設定できていれば、その後の施策立案やメッセージ設計もスムーズに進むでしょう。
フェーズに合わせた施策選択と見込み客の育成を行う
見込み客とのコミュニケーションにおいては、フェーズに合わせた施策の選択と丁寧な育成プロセスが欠かせません。最初は見込み客の興味を引くためのコンテンツ提供や、簡単なアクションを促す働きかけから始めましょう。そして、徐々に関係性を深めながら、商品やサービスの理解を促進していきます。
この際、見込み客の反応や行動を分析しながら、適切なタイミングで適切なメッセージを届けることが重要です。一方的な販売促進ではなく、見込み客の課題解決や価値提供に焦点を合わせることが、信頼関係の構築につながります。
長期的視点に立った継続的な改善を図る
ダイレクトレスポンスマーケティングは、長期的な視点に立って、継続的に改善していくことが重要です。一度の施策で大きな成果を求めるのではなく、仮説を立てて施策を実行し、結果を検証して改善するというPDCAサイクルを回していきましょう。
見込み客の反応や行動データを分析し、より効果的なアプローチ方法を模索することはもちろん、新たな技術やツールの活用、外部環境の変化に合わせた施策の見直しなど、柔軟に対応していくことが重要です。継続的な改善の積み重ねが、ダイレクトレスポンスマーケティングの成功につながっていくのです。
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監修 | |
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Baseconnect株式会社 マーケティングチーム マネージャー 河村 和紀(かわむら かずき) 大手人材紹介会社に新卒入社。その後、Webメディア「ferret」を運営する株式会社ベーシックに入社。営業、営業企画、イベントマーケを経て、マーケティングマネージャーに就任。 主な寄稿実績『マーケター1年目の教科書』、『MarkeZine(マーケジン) vol.66』 |