ブーメラン効果とは何かご存知でしょうか。ブーメラン効果は自分の意図とは逆の行動を相手が起こしてしまう状況を引き起こす心理現象で、自社商品を訴求する際に働く可能性もあります。
今回はブーメラン効果の基本や、ビジネスでブーメラン効果の影響を受けないようにするためのポイントを解説します。
目次
ブーメラン効果とは、相手を説得しようとするほど反発を招いてしまう心理現象のこと
ブーメラン効果とは、相手を説得しようとするほど反発を招き、意図したものと逆の効果が生じてしまう心理現象のことです。ブーメラン効果の代表例として、親から「勉強をしなさい」と言われるとやる気がなくなってしまう現象や、イソップ寓話『北風と太陽』で北風が旅人の服を脱がせようと強風を起こすほど旅人は服が脱げないように抵抗したことが挙げられます。
また、説得する際に過去の発言や行動と矛盾していたがために反発を受けることもブーメラン効果に該当します。ブーメラン効果はアメリカの心理学者カール・ホブランド氏、アーヴィング・ジャニス氏、ハロルド・ケリー氏らによって著書『コミュニケーションと説得』で提唱され、基本的に悪い影響を及ぼします。
ブーメラン効果の根底にある心理的リアクタンス
ブーメラン効果が起こる理由に、心理的リアクタンスが働くことが挙げられます。リアクタンスとは「抵抗」のことで、自由を制限されるときに自由を取り戻そうとして心理的リアクタンスが働きます。相手の態度などを変えようと説得すると、それまでの自由な考え方が失われ、それに抵抗しようとしてブーメラン効果が起こります。
ブーメラン効果のほかにも、心理的リアクタンスが働くことで起こる心理効果をいくつか紹介します。
- カリギュラ効果
ある行動を禁止されると、かえってそれをしたくなる衝動に駆られる心理効果です。カリギュラ効果を利用して、会員限定の特典配布により課金会員を増やす施策などが挙げられます。 - デッドライン効果
決定の期日を設けると、期日から解放されるためにその場で決断するようになるという心理効果です。営業で購入を後押しするためなどに用いられます。 - ヴェブレン効果
希少価値のある所有物を見せびらかしたいと思う現象です。ここでしか買えないといった売り文句で消費者の購買意欲を高めるためなどに用いられます。 - スノッブ効果
多くの人が持っているものに対して購買意欲が低下してしまう現象です。スノッブ効果が起こらないように限定商品などと銘打って販売を行うといった施策が行われます。
ビジネスにおけるブーメラン効果の例
経済学
市場を拡大するために企業が発展途上国に進出し、生産技術を提供した結果、発展途上国はその土地の低賃金労働を利用して低価格で商品を販売し、技術を提供した企業を脅かす現象が起こることがあります。経済学ではこの現象をブーメラン効果と呼び、利益を創出しようとした企業が逆に不利益を被ることを指します。発展途上国側では正のブーメランと呼び、先進国側では負のブーメランと呼びます。
マーケティング・営業
マーケティングで商品を知ってもらおう、自社に興味を持ってもらおうとするあまり、広告を頻繁に流したりDMを多過ぎるほど届けたりすると、かえって顧客からのイメージが低下してしまう現象が起こります。また、営業で訪問してすぐセールストークを始めてしまうと、興味をなくして煙たがられる可能性が高まります。
ブーメラン効果を起こさないようにするには、顧客との関係性を見計らって適切なタイミングと頻度でアプローチすることが重要です。
マスメディア
マスメディアで司会者やコメンテーターが意見を述べた際に、過去の発言と矛盾していることを指摘され炎上するといったブーメラン効果も起こります。近年は特にSNSが普及し、過去の履歴が残りやすい上に反響を呼びやすいため、一貫した発言・行動をとることがブーメラン効果を回避するためには重要です。
ブーメラン効果の影響を受けないようにするには信頼関係の構築が重要
ブーメラン効果の影響を受けないようにするためには、相手が説得を素直に受け止められるような信頼関係を構築することが重要です。また、自分の主張が過去の発言や行動と矛盾しないよう、一貫した行動をとることも大切です。
特に、マーケティングや営業で自社商品を選んでもらう際には押し売りするとブーメラン効果によって逆に買いたくないという衝動に駆られてしまうため、顧客との信頼関係を築き、その上で適切なアプローチを試みることを心がけましょう。
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