アテンションエコノミーという言葉を聞いたことはありますか?情報化社会が進む近年で注目されている概念ですが、あまり詳しくないという方もいるのではないでしょうか。
今回は、アテンションエコノミーが注目される背景や社会に与える影響を解説します。
目次
アテンションエコノミーとは人々の注目や関心が経済的価値を持ち、それ自体の重要性が高まるという概念
アテンションエコノミーとは、人々の注目や関心が経済的価値を持ち、それ自体が貨幣的意味や重要性を持つという経済学の概念のことです。アテンションエコノミーは1969年にアメリカの心理学者兼経済学者であるハーバート・サイモン氏によって提唱され、日本語では関心経済や注意経済と呼ばれます。
アテンションエコノミーが注目される背景
インターネットが普及し、情報量が爆発的に増加したことで社会は情報過多になりました。こうした情報過多の社会において、GAFAのような巨大IT企業は人々のアテンション(注目や関心)が限られた資源になると感じ、アテンションの獲得を重要視し始めました。X(旧Twitter)、InstagramといったSNSはまさにアテンションを資源と捉え、ビジネスモデルを最適化させてきた例です。
アテンションエコノミーが社会に与える影響
SNSプラットフォームへの依存
人々のアテンションを獲得するため、ユーザーが使うプラットフォームは魅力的にデザインされます。どれほどスクロールしても終わらないタイムラインや、リアルタイムで届く通知、自動的に再生される動画など、より長くユーザーが留まるように構成されています。
その結果、プラットフォームに依存してしまい、SNSなしでは不安に駆られるようになってしまいます。また、プラットフォームから与えられる情報以外への注意が散漫になってしまうこともあります。
プライバシーの侵害
多くのプラットフォームで、広告収入を得るためにユーザー個人のデータを収集しています。その際、個人のデータを収集している旨や、場合によってはそれを外部の企業に販売する旨を利用規約に記載していますが、ほとんどのユーザーはそれを意識していないそうです。
計算機科学者のクリスチャン・フックス氏など、欧州の科学者が研究プロジェクト「Social Networking Sites in the Surveillance Society」を立ち上げ、SNSにおけるデータの自動収集がどのような影響を及ぼすかの調査を行いました。その結果、多くのユーザーが自動的に収集されたターゲティング広告に不快感を示しました。しかし、広告を受け入れない限りプラットフォームを通した知人との交流はできないため、現代においてターゲティング広告を避けることが非常に困難であるという点も懸念されています。
広告やコンテンツの質の低下
アテンションそのものが大きな経済的価値を持った結果、ユーザーの興味を引くことが重要になりました。そのため、実際の商品やサービスより過激で大げさに宣伝されるおそれがあります。
また、アテンションを獲得するためにコンテンツを量産するメディアもあります。これによって、ファクトチェックが甘く、誤情報が含まれている可能性の高いコンテンツが拡散され、良質なコンテンツが埋もれてしまうおそれもあります。
SNS依存に注意して、アテンションエコノミーと上手に向き合う
アテンションエコノミーは社会に悪影響を及ぼしますが、一方で現代社会の経済活動に大きく貢献していることも事実です。また、上手に向き合うことができれば、利便性の高いサービスや多様なコンテンツを得られ、生活は豊かになります。
アテンションエコノミーと上手に向き合うためには、SNSに依存しないようにルールを決めることやデジタルデトックスが有効です。SNSに熱中していた時間を使って読書やスポーツなどの趣味を始めると、その体験をSNSに発信したくなるかもしれません。その発信によって趣味に関連する広告が表示されるのは、SNSに翻弄されているのではなく、健全なSNSの使い方を実践した結果であり、アテンションエコノミーと上手に向き合ったことで有益な情報を手に入れられたのだと言えます。
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