AIチャットサービスのChatGPTを上手く活用することができれば、文章作成の業務負担をかなり減らせる可能性があります。しかしあくまでAIですから、適切な誘導がなければこちらの希望をくみ取ることはできません。
そこで本記事では、ChatGPTに意図した通りの回答を生成させるためのプロンプトについて、テンプレートも含めて紹介します。
目次
プロンプトとは、ユーザーが生成内容の指示をAIに与える命令文のこと
プロンプトとは、ユーザーが生成内容の指示をAIに与える命令文や質問文のことを指し、ChatGPTのような対話形式AIに使用します。
ChatGPTに意図通りの回答を生成させるには、プロンプトを工夫する必要があります。例えば、以下のように「ビジネスを成功させるコツを教えてください」というプロンプトを入力しても、具体的な問題解決には使えないような回答しか返ってきません。このプロンプトには入力者の職業や抱えている問題が含まれていないため、誰にでも当てはまる回答が返ってきてしまいます。
意図した通りの回答を得るためのプロンプトの要件
意図した通りの回答を生成させるためには、プロンプトが「コンテキスト（文脈）」「データ」「形式や制約」を含んでいる必要があります。
- コンテキスト
AIに出力してもらいたい回答の背景となる情報や条件付けを指します。例えば広告のキャッチコピーを考えてもらいたい場合、「あなたは化粧品を扱う会社の広報担当です」というように、ChatGPTに何らかの立場を与えると文脈を理解してもらいやすくなります。 - データ
出力に必要なデータです。商品のデータやターゲットの詳細など、出力に必要なデータを過不足なく教えておきましょう。 - 形式や制約
出力の仕方を指定します。具体的な文章を生成するときには、箇条書きなどの形式や〇〇文字以内という制約を課すことで意図した形に近い文章を生成しやすくなります。
ChatGPTでプロンプトを使う際の注意点
ChatGPTはあくまで文章生成AIであり、知識を得ることが目的のAIではないという点に注意が必要です
ネット上のデータを学習してはいますが、最新の情報ではない上に情報の精査をしているわけではないので、誤った情報をもっともらしく回答すること（ハルシネーション）もあります。
ChatGPTから意図した回答を得るためのフレームワーク「深津式プロンプト」
深津式プロンプトとはnoteのCXOである深津貴之氏によって考案されたフレームワークで、プロンプトを明確化しChatGPTから意図した解答を得ることを目的としたものです。
深津式プロンプトは文脈やタスクを指定する「命令書」、文字数や形式を指定する「制約条件」、データを提供する「入力文」の三層構造で作られています。この3つの内容を細かく指定することで、意図した回答が得やすくなります。
深津式汎用プロンプト
深津式汎用プロンプトは深津式プロンプトをテンプレート化したものです。以下の{text}と書かれた部分に出力したい回答に合わせた情報を入れれば、深津式プロンプトを用いることができます。
#命令書:
あなたは、{text}です。
以下の制約条件と入力文をもとに、 最高の結果を出力してください。
#制約条件:
・文字数は{text}
・{text}
#入力文:
{text}
#出力文:
深津式プロンプト2
深津式プロンプト2はChatGPTに逆質問をすることで、適切な回答のために足りない情報を聞き出すやり方です。意図した出力を得るには必要な情報を与えなければなりませんが、そもそも何が必要か分からないときには以下のような質問文で聞き出すことができます。
ライティングで役立つChatGPTのプロンプトテンプレート
文章作成
メールやブログの本文、アンケートの質問といった文章を作成することは、ChatGPTの本分と言えます。意図した通りの文章を出力させるためには、その文章で何が伝えたいのか、何を目的としているかを伝えておくことが重要です。
出力される文章のほとんどはそのまま使えるクオリティではないため、あくまで発想の参考にする程度が適切でしょう。
以下は文章作成に役立つプロンプトテンプレート例です。
【メール作成】
#命令書:
あなたは、BtoB向けの会計ソフトの営業社員です。
以下の制約条件と入力文をもとに、 最高のお礼メールを考えてください。
#制約条件:
・文字数は〇字以内。
#入力文:
本日の訪問に対応してくれたことへのお礼。相手は検討はしているようだったが、購入はしなかった。購入をそれとなく、わざとらしくなくおすすめしたい。
【アンケート作成】
#命令書:
あなたは、プロのマーケターです。
以下の制約条件と入力文をもとに、 顧客の購買意欲を掴むためのアンケートの質問を考えてください。
#制約条件:
・質問数は5つ。
・化粧品販売店舗でスマートフォンを使って回答してもらうことを想定。
#入力文:
化粧品についての興味、普段の化粧品使用、他社の化粧品との比較、品質へのこだわりなどを聞きたい。
文章の校正や推敲
ChatGPTは文章の校正や推敲にも役立ちます。文法間違いや誤字、読みにくい部分などを簡単に発見してもらうことができるほか、文章の方向性を伝えればふさわしい表現に推敲してもらうこともできます。
以下は文章の校正や推敲に役立つプロンプトテンプレート例です。
【文章校正】
#命令書:
以下の入力文の文法的な間違いや読みにくい部分を校正してください。
#入力文
{text}
【文章推敲】
#命令書:
以下の入力文を、商品の利点が顧客に伝わるように推敲してください。
#入力文:
{text}
アウトライン作成
ChatGPTに文章の構成を考えてもらえば、具体的な文章のヒントが得られます。ChatGPTに伝えるべきことには、文章の内容や読者に伝えたい要点、章立ての数などがあります。
以下はアウトライン作成に役立つプロンプトテンプレート例です。
【アウトライン作成】
#命令書:
あなたは、広報担当の社員です。
以下の制約条件と入力文をもとに、 自社サービスへの誘導をするブログ記事の構成を考えてください。
#制約条件:
・タイトルを付ける。
・章立ては3つ。
・各章にさらに3つの小見出しを付ける。
#入力文:
リモート営業についての記事。相手とのコミュニケ―ションがとりづらいことを悩んでいるビジネスパーソン向けに書く。最終章に、リモート営業を円滑にするためのテレビ会議サービスの宣伝を入れる。
キャッチコピー作成
ChatGPTの特性を活かせば、キャッチコピーのアイディアの叩き台として役立ちます。キャッチコピーの雰囲気や掲載する媒体、出力するアイディアの個数を制約条件に書き、入力文に商品の情報を加えることで、意図した文章に近いものが出力されやすくなります。
以下はキャッチコピー作成に役立つプロンプトテンプレート例です。
【キャッチコピー作成】
#命令書:
あなたは、プロのマーケターです。
以下の制約条件と入力文をもとに、 最高のキャッチコピーを出力してください。
#制約条件:
・文字数は13～25文字程度。
・好奇心を誘うような雰囲気で。
・10個ほど案を出す。
・ポスターのメインビジュアルの脇に載せる文。
#入力文:
新作ゲームソフト。プレイヤーの思った通りに自由にモノを改造できるのがウリ。ストーリーは、魔王軍によってモノが壊されていく世界の危機を主人公の力で救っていく冒険物語。
マーケティングで役立つChatGPTのプロンプトテンプレート
アイディア出し
アイディア出しに詰まったときは、ChatGPTを使用すると今までにない視点が得られるかもしれません。次々に言葉を生成してくれるため、アイディアの叩き台として有用でしょう。
【アイディア出し】
#命令書
あなたは菓子を中心に扱う会社のマーケターです。
以下の制約条件と入力文をもとに、問題を解決するためのアイディアを考えてください。
#制約条件
問題解決に使える予算は{text}円。
問題解決に動ける人員は{text}人。
#入力文
販売経路を効率化するため、運送業者や卸売業者との人脈をより広げたい。
ビジネス戦略の提案
具体的なビジネスプランがある場合、そのための戦略を聞くこともできます。何についての戦略を聞きたいのか、予算はどのくらいあるか、媒体は何を使うかなど、詳しい情報を指示した方が意図した結果が出やすくなります。戦略を考えるためにはどのような情報が必要かを聞くのも効果的です。
【ビジネス戦略の提案】
#命令書
あなたはプロのマーケターです。
以下の制約条件と入力文をもとに、最高のビジネス戦略を考えてください。
#制約条件
主にSNSを使用する。
予算は{text}円。
#入力文
当社が扱う生活雑貨について、現状購買層として少ない若年層を取り込むためのビジネス戦略を考えてほしい。
要約作成
会議の議事録や顧客からのレビューを要約する作業も、ChatGPTに文章を提示することで素早く終わらせられます。ただしChatGPTはこちらと同じ知識を持たず、文脈も理解していないため、重要な議題や残すべきポイントなどは実際の文章を指定して教えておく必要があります。
【要約作成】
#命令文
制約条件をもとに、入力文を要約してください。
#制約条件
「{text}」という部分を強調したい。
議事録の要約としてまとめる。
#入力文
{text}
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