プロセスインフォマティクス(PI)とは何かご存知でしょうか。製造工程のコストやエネルギーの削減が急務とされる今、プロセスインフォマティクスを活用した製造プロセスの最適化が注目されています。
今回はプロセスインフォマティクスについて、重要視される背景や導入するメリット、マテリアルズインフォマティクス(MI)との関係性を紹介します。
目次
プロセスインフォマティクス(PI)とは、蓄積データを活用して製造プロセスの最適化や改善を行うこと
プロセスインフォマティクス(Process Informatics/PI)とは、蓄積された製造データや実験データ、シミュレーションデータを活用して、製造設備や制御条件などの製造プロセスの最適化・改善を行うことです。新規材料を大量生産するためのスケールアップや、ランニングコストを削減するための設備投資を行う際に、理論計算に加え統計学やデータサイエンスの観点から最適点を導きます。
また、製造工程で不良品が生じた際にどのプロセスに問題があるかという原因を、正常なプロセスと異常なプロセスのデータの差から探索するといった方法としてプロセスインフォマティクスが使われています。
プロセスインフォマティクスが重要視される背景
製造プロセスでは大規模になるほど最適化のための変数が増え、より複雑になっていきます。また、競合との競争激化によるコスト削減や、消費者の環境に対する関心の高まりによるエネルギー削減が重要な課題となっています。それにより、様々な観点での最適化が必要とされ、技術者の知恵だけで対処することがさらに困難になりました。同時に、商品の入れ替わりも激しく、新商品の製造が急がれており、そのための製造プロセスを一刻も早く開発しなければなりません。
そこで、蓄積されたデータをもとにAIによって最適点を予測することで、これまでよりも短期間かつ低コストで製造プロセスを最適化するというプロセスインフォマティクスが注目されています。
マテリアルズインフォマティクス(MI)とは、蓄積データを活用して最適な材料の予測や試作を行うこと
マテリアルズインフォマティクス(Materials Informatics/MI)とは、新規材料開発において蓄積された実験データやシミュレーションデータをもとに、AIを用いて有効な材料やその構成要素を予測することです。これまでは試行錯誤によって高機能を備える材料が開発されてきましたが、新規材料を発見するまでには多くの労力や時間を要し、既に確立された理論での材料機能の向上は非常に困難です。
そのため、マテリアルズインフォマティクスによって有効な材料を予測したり、その材料がどのような構造をしているか、どのような分子から構成されているかを探求したりすることで、短期間低コストでの材料開発の実現が期待されています。
MIで発見した新材料を、PIで最速で大量生産につなげる
現在の製造業では、マテリアルズインフォマティクス(MI)とプロセスインフォマティクス(PI)を有効に活用することが重要になっています。MIによって新規材料を予測し、PIによって製造するためのプロセスを見つけます。また、実際にその材料が有効であった場合には、大量生産できる製造プロセスを最速で開発することができます。
プロセスインフォマティクスを導入するメリット
製造設備や制御条件の最適化につながる
プロセスインフォマティクスを導入すれば、新規材料のための製造プロセスを開発する際や効率性を高める際に、製造設備や制御条件の最適化につながります。プロセスインフォマティクスによって最適点の近傍を予測し、そこから人の知恵を使ってブラッシュアップすることで、これまでよりも効率良くより高度な最適化を実現できます。
根本的で素早い設備改善につながる
コスト削減のための設備改善を行う際に、データを活用して最適点を予測することで、これまで問題ないと見逃していた部分に改善案を打ち出せる可能性が高まります。また、不良品抑制のための原因探索においては、プロセスを網羅的に挙げて原因を検討するよりも素早く原因を特定できる可能性があるという点で、迅速な設備改善につながります。
属人的な技術開発を回避できる
プロセス開発や設備投資を行う際、これまでは経験則や暗黙知によってある程度の最適点を予測し、検討してきました。しかし、このような属人化した技術開発では、長期に渡って安定したパフォーマンスを発揮し続けることは困難です。プロセスインフォマティクスによってデータを活用する機会が増えることで、客観的な視点で最適点を探求できるため、再現性のある技術開発を促進できます。
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