「顧客エンゲージメント」をご存じでしょうか?顧客エンゲージメントは企業と顧客の間の信頼関係を表す言葉ですが、具体的な信頼関係とはどのようなものがあるのでしょうか?
今回は顧客エンゲージメントの概要や、向上させる方法および実際の事例を紹介していきます。
目次
顧客エンゲージメントとは、企業と顧客間の信頼関係のこと
顧客エンゲージメントとは「製品やサービスを提供する企業とその顧客の間で築かれた信頼関係・親密度」のことです。一見すると「企業への愛着心」を表すロイヤリティという言葉に似ていますが、その違いはどこにあるのでしょうか。
ロイヤリティはNPS(Net Promoter Score:ネット・プロモーター・スコア)という指標を用いて数値化されます。NPSは「この製品やサービスを家族や友人にどの程度薦めたいと思いますか?0〜10点で点数を付けてください。」のような質問を行い、その結果から求めることができます。
NPSについては下の記事で解説しておりますので、あわせてご覧ください。
一方で顧客エンゲージメントは、実際に顧客が起こした行動から、製品やサービスとの親密度、企業との信頼関係を測ります。行動の例としては以下のものがあります。
- 顧客が特定の企業の商品やサービスを優先的に購入・利用する
- 友人や知人にその企業の商品を薦める
すなわち、NPSなどのアンケート調査を中心にして測られる指標がロイヤリティなのに対し、顧客の行動によって測られる指標が顧客エンゲージメントということになります。
顧客エンゲージメントが高いことによるメリット
顧客エンゲージメントが高いことによる企業へのメリットとしては、以下の4つがあります。
- 顧客がその企業の製品やサービスを優先的・継続的に購入・利用する
- 良い口コミをくれるほか、SNS等で情報を拡散してくれる
- 製品やサービスに対して真摯に向き合い、良質な意見をもたらす
- 顧客の意見を反映させながら、商品やサービスのの品質改善を行える
顧客エンゲージメントを獲得することができれば、企業側に多くのメリットがあります。
なぜ顧客エンゲージメントを高める必要があるのか
では、なぜ顧客エンゲージメントを高める必要があるのでしょうか。顧客エンゲージメントという指標が注目されるようになったのは、以下のような理由があります。
■製品のコモディティ化
かつてのビジネスでは、高品質で低価格な商品を提供すれば、おのずと売上は上がるという考えが主流でした。しかし、多くの市場で価格競争が激化したため高品質で低価格な商品があふれ、商品のコモディティ化が進みました。結果として、高品質で低価格な商品を提供するだけではビジネスが成立しなくなりました。
■インターネットの発達による情報の流通
インターネットが発達し、スマホが普及したことにより消費者は多くの情報を即座に入手可能になりました。ネット上には多くの情報が流通しているため、消費者は製品の情報を得たり他の製品と比較したりするほか、実際の使用者による口コミやレビューを確認できるようになりました。
そのため、消費者は高品質で低価格な商品だけを求めるのではなく、自身のライフスタイルにあった商品を選ぶなど、ニーズが多様化しました。
顧客エンゲージメントを向上させるためのポイント
顧客エンゲージメントとは企業と顧客の信頼関係・親密度のことでした。こうした信頼関係や親密度を築くためには、顧客とのあらゆる接点で最良の体験を提供することが大切です。
企業が提供できる顧客体験には、店頭での接客やオウンドメディアおよび企業公式アプリの活用が挙げられます。
店頭での接客
一般的な接客態度の店よりも、無愛想な接客の店や愛想がよかった店のほうが記憶に残っているという経験が有る方もいらっしゃると思います。人間は良し悪しに関わらず、実際の体験は記憶に残りやすくなっています。そのため、店舗での接客は非常に重要な顧客体験の一つです。
顧客エンゲージメントを向上させるためには愛想がよいことや、丁寧な接客が欠かせません。しかし、よりよい接客を行うためには商品に関する知識を十分に持つことのほかに、顧客の潜在的ニーズに答えるということも大切です。
例として、新しい商品を購入した際にそれに合うアイテムの紹介であったり、初めて使う機器なので基本操作がわからないという顧客のために、操作の説明をあらかじめ行うなどがあります。
オウンドメディアやSNSの活用
オウンドメディアとは企業自身が運営を行うWebサイトやブログ、広報誌などのメディアを総称したものです。オウンドメディアを活用して顧客エンゲージメントを向上させるには、ある特定の分野に内容を絞った記事を書くことが必要です。記事の内容に興味を持つ顧客は何度もサイトを訪れ、次第に運営企業に対し親しみを持つようになります。
また、SNSを活用する手法もあります。今日では多くのユーザーがSNSを使用しており、オウンドメディアよりも顧客との距離が近いことも特徴です。SNSにおいてもオウンドメディアと同様に、顧客が関心を持つ内容を継続的に投稿することが大切です。
顧客エンゲージメントを高めることに成功した企業
ザッポス
ザッポスはアメリカ合衆国に本社を構える、靴を中心にアパレル関連製品の通販小売を行う企業です。ザッポスは手厚い顧客サービスとして名高い企業で、サービスにまつわる逸話があるので紹介していきます。
ラスベガスに旅行してたある顧客が、ザッポスで購入したお気に入りの靴を忘れてしまい同じ靴を探しているという電話をザッポスにしました。しかし探している靴は在庫切れだったため、電話の担当者は最寄りの靴屋に電話をかけ、探している靴を見つけ出しました。そして、その靴を実際に購入し、顧客が宿泊しているというホテルまで届けたという逸話があります。
こうした実体験がネット上の口コミとして広がり、顧客エンゲージメントを高めることに成功しました。
Apple
Apple社は毎年、iPhoneシリーズの新製品をリリースしています。新型iPhoneが発売されると、毎年購入するファンが一定数います。毎年購入するファンはどのような心理で購入しているのでしょうか?
ファン達は購入する際に、「他のスマートフォンを使用するよりもこのようなメリットがある」といった心理はあまり働いておらず、「新型iPhoneにはこのような新機能がある」などのiPhoneに限定した理由で購入しています。
また、使用するメリット等ではなく、ただただiPhoneが好きだから、新型iPhoneを使いたいからという理由で購入しているファンもいます。
このように、顧客エンゲージメントを向上させると、顧客が他の製品よりも優先的かつ継続的に使用してくれます。
いかがでしたか?
顧客エンゲージメントを獲得することは、企業や製品に良い影響をもたらします。顧客エンゲージメントを獲得するために、SNSの活用や、店頭での顧客体験を大事にしましょう。
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