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自己資本比率とは?潰れる会社・潰れない会社を見分ける指標を解説
自己資本比率という財務指標をご存知でしょうか?財務の安全性を測る重要な指標ですが、具体的な計算方法や読み取り方はご存じない方もいらっしゃるかと思います。
この記事では、自己資本比率の基本と読み取り方に加えて、あわせて知っておきたい財務指標についても解説しています。
目次
自己資本比率とは、総資産に占める返済不要な資本の割合のこと
自己資本比率とは、企業の総資産に占める自己資本の割合のことをいいます。
自己資本比率(%) = (自己資本 ÷ 総資産)× 100
総資産は大きく「自己資本」と「他人資本(外部資本)」に分かれます。他人資本には銀行融資や社債などが該当し、返済する必要があります。一方、自己資本には株主からの出資金や利益剰余金などが該当し、返済の必要はありません。
このような特徴から、自己資本比率が高い企業は、借入金の返済や社債の償還に伴って現金が尽きる可能性が低く、財務上の安全性が高いと言えます。
自己資本比率は20%以上が目標、50%以上が理想
一般的に、自己資本比率は20%以上をキープするべきであるとされています。また、50%を超えると、支払い能力の不足によって倒産する可能性が低いと言われています。
ただし、業界によって目安となる自己資本比率は異なってきます。中小企業庁の「平成30年度中小企業実態基本調査」を元に計算すると、自己資本比率の高い業界には「化学工業(52%)」「業務用機械器具製造業(58%)」などがあります。
一方、「飲食業(12%)」や「技術サービス業(他に分類されないもの)(8%)」などでは、業界全体として自己資本比率が低くなるようです。
自己資本比率の基準値は、企業の業種・業態に応じて判断するようにしましょう。
(参考:https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00553010)
(自己資本比率は便宜上、純資産額を自己資本額として扱って算出しています。)
自己資本比率を改善する方法
自己資本比率を改善する方法は、大きく「他人資本を減らす」「自己資本を増やす」の2つに分かれます。
さらにそれぞれを細かく分解すると、以下のような方法があります。
- 他人資本を減らす
- 社債を早期に償還する
- 銀行等からの借入れを早期に返済する など
- 自己資本を増やす
- 利益構造を改善する
- 営業コストを削減する
- 売上を向上させる
- 借り換え等によって利払い負担を軽減する など
- 株式の新規発行などによって増資を行なう
- 株主配当を減らし、内部留保を増やす など
- 利益構造を改善する
さまざまな方法がありますが、いずれの方法も万能ではありません。例えば、売上を上げたところで、営業コストの削減ができなければ、利益構造が悪化することもあります。
また、株式の新規発行や株主配当の減額は発行株式の価値を目減りさせ、株主の離反を招く可能性があります。それぞれの手法を吟味し、必要に応じて改善策を練りましょう。
「自己資本比率が高い=いい会社」とは限らない
自己資本比率が高い企業ほど、財務の安全性が高い会社であることは事実です。しかし、それが「いい会社」であるかは全くの別問題です。
企業の経営を評価するためには「財務の安全性」の他にも「収益性」や「成長性」といった側面も分析する必要があります。
事業の拡大には、他人資本の活用も重要
一般的に「無借金経営」というと、ニトリや任天堂といった、いわゆる「優良企業」が想起されます。しかしながら、こういった企業は無借金(自己資本比率が高い)だから良い企業だ、というわけではないのです。
例えばニトリは創業時、店舗を丸々借金で設立するなど、他人資本を大きく活用した経営を行なっていました。同様に、設立間もないベンチャー企業が大きく事業を拡大する際にも、銀行融資を活用した資金調達を行なうことが一般的です。
つまり、大きく事業を成長させるためには、時に自己資本比率をあえて悪化させて、他人資本もフル活用した成長戦略を実行する事が必要なのです。
自己資本比率とあわせて見るべき4つの指標
自己資本比率だけでは、企業の成長性や収益性を判断することはできません。そこで、合わせて吟味するべき指標を4つ紹介します。
■投資キャッシュフロー
投資キャッシュフローは企業の投資活動にともなう現金の収支を示しています。一般的に投資キャッシュフローがマイナスの企業は成長への意欲が高いとされており、企業の経営スタンスを評価する指標として活用できます。また、細かく分析して「何に投資しているのか」を分析すると経営スタンスが明確に判別できます。
■営業利益成長率
営業利益成長率は、企業が本業で稼いだ利益(営業利益)が前年比でどの程度成長しているかを示しています。長期にわたり営業利益成長率が高い企業は、成長性の高い企業であることが一般的です。
■ROA/ROE
ROA(Return on Assets)とは、その企業が総資産の何%の当期純利益を生み出しているかを示した指標です。また、ROE(Return on Equity)とは、その企業の当期純利益が自己資本の何%であるかを示しています。
これらの数値が高い企業は、資本を有効活用して利益を上げている、収益性の高い企業だと考えることができます。一方、ROAの値とROEの値に大きな乖離がある場合、財務の安全性に懸念が生じます。
■固定長期適合率
固定長期適合率とは、固定資産を自己資本と固定負債(支払期限が1年以上先の負債)の合計で割った数値です。この数値が100%を切っていれば、支払い能力に大きな問題は生じないとされています。
反対に、100%を超えていると、固定資産への投資を流動負債(1年以内に支払期限の来る負債)で賄っていることになり、倒産リスクが高いと判断されます。
自己資本比率は自己資本のみで安全性を評価する一方、固定長期適合率は固定負債を含めた安全性を評価している点が特徴です。
いかがでしたか?
自己資本比率は企業財務の安全性を評価するのに役立ちます。一方、企業の「良し悪し」を判断するにはさらに多くの視点が必要になります。
この記事を参考に、財務分析を行なってみてください。
まずはこれだけ。新規開拓営業を始める時の心得
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