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総資本回転率とは?業種ごとの適正値や回転率を上げる方法も紹介
総資本回転率という言葉をご存知ですか?総資本回転率は企業の経営状態を確認するための指標の一つです。
今回は総資本回転率の計算方法や貸借対照表から求める方法、業界ごとの適正値などについて解説します。
目次
総資本回転率とは、企業が保有する総資本が効率的に活用されているかを判断する指標
総資本回転率とは、企業が保有する総資本がどれくらいの売上を生み出しているかを表す指標です。総資本回転率の計算式は以下の通りです。
総資本回転率(回)= 売上高 ÷ 総資本
例:総資産が10億円、売上高が20億円の会社の総資産回転率は
20億 ÷ 10億 = 2回
総資本回転率は売上高を総資本で割っているので、売上が総資本の何倍であるかを求めていることになります。言い換えれば、総資本を何回回収できたかを表します。そのため、総資本回転率が高いほど、総資本が効率的に利用されているといえます。
類似指標:総資本回転期間
総資本回転率と似た指標として、総資本回転期間があります。総資本回転期間の求め方は以下の通りです。
総資本回転期間(日)= 総資本 ÷(売上高 ÷ 365)
例:総資産が10億円、年間売上高が20億円の会社の総資産回転期間は
10億 ÷ (20億 ÷ 365) = 182 日
総資本回転期間は、総資本を1日あたりの売上高で割っているので、総資本を回収するために何日分の売上が必要かを表しています。したがって、総資本回転期間が短いほど、効率よく売上を上げていることになります。
総資本回転率は業種によって適正値が異なる
総資本回転率の数値の目安の1つは1.0といわれていますが、適正値は業種によって異なります。中央企業庁が示した平成30年の産業大分類別の総資本回転率は以下の通りです。
業種 | 建設 | 製造 | 情報通信 | 運輸、 郵便 |
卸売 | 小売 |
総資本回転率 | 1.25 | 1.02 | 1.06 | 1.17 | 1.70 | 1.78 |
業種 | 不動産、 物品賃貸 |
学術研究、 専門・技術 サービス |
宿泊、 飲食 |
生活関連 サービス、 娯楽 |
その他 サービス |
合計 |
総資本回転率 | 0.35 | 0.66 | 1.03 | 1.05 | 1.22 | 1.12 |
参照:中小企業庁「中小企業実態基本調査 」https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00553010&tstat=000001019842&cycle=7&tclass1=000001142846&tclass2=000001142847&stat_infid=000031967248
卸売業と小売業は総資本回転率が高く、短期間で効率よく高い売上を出す必要があることを示しています。また、不動産業の総資本回転率が低いのは、得られる売上に対し保有する資産の規模が大きいという業界の特徴を表しています。
このように業種によって、総資本回転率の値は様々なので、該当する企業の業種の平均を調べるようにしましょう。また、総資本回転率は複数の年度にわたって比較調査し、回転率が極端に減少していたりしないかを確認しましょう。
総資本回転率を上げる方法
売上を増やす
総資本回転率は売上高を総資本で割って求めるので、売上を増やせば、総資本の値は同じでも総資本回転率は上昇します。売上を上げる方法としては、業務効率を上げて単位時間あたりの売上を増加させることが挙げられます。
また、業種ごとに売上を増やす方法は違います。例えば、小売業や卸売業では世の中のトレンドに合わせた商品を入荷する、在庫管理方法を改善して余剰在庫を減らすなどがあります。また、製造業では適宜機械を導入し、人材を効率的に投入するなどがあります。業種に合わせた改善方法を考えましょう。
売上に貢献していない資産を売却する
総資本回転率は売上高を総資本で割って求めるので、総資本を減らせば、売上高は同じでも総資本回転率は上昇します。また、資産を売却する場合は売上に貢献していない項目に限定しましょう。具体的には、稼働率の低い機械を売却する、使用しなくなった保養所を見直すなどがあります。
いかがでしたか?
総資本回転率は、企業の効率性を確認するための指標の1つで、適正値は業界によって異なります。
この記事を参考に総資本回転率に関する知識を深めましょう。
まずはこれだけ。新規開拓営業を始める時の心得
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