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「拝見させていただく」は間違い?正しい使い方・例文も紹介
普段から何気なく使っている敬語表現でも、注意が必要なものがあります。
この記事では、「拝見させていただく」はビジネスシーンにおいて適切かどうかや、「拝見」を用いた他の敬語表現や類語などを紹介します。
目次
「拝見させていただく」ではなく、「拝見する」とするのが無難
「拝見させていただく」が敬語表現として正しいかどうかについては諸説あり、二重敬語であるという見方から誤用とされることもあるので注意が必要です。
二重敬語とは、一つの言葉の中で同じ種類の敬語を重ねて使ったものをいいます。例えば「ご覧になられる」は、尊敬語の「ご覧になる」と「~られる」を重ねて用いているので、二重敬語になっています。二重敬語は「丁寧すぎてかえって馬鹿にされている」と感じる人もいるため、避けた方がよいとされています。
- 「拝見させていただく」は二重敬語であるとする説
「拝見する」(「見る」の謙譲語)+「させていただく」(「させてもらう」)の謙譲語)で二重敬語である。
- 「拝見させていただく」は二重敬語ではないとする説
二つの語をそれぞれ別々に敬語にしてつなげたもので、二重敬語ではなく敬語連結である。
このように、「拝見させていただく」という敬語表現に関しては諸説あり、必ずしも正しい敬語であるとは言えません。「拝見させていただく」ではなく、「拝見する」を使うのがおすすめです。
「拝見」を使う際の注意点
「拝見いたします」は許容されている
よく耳にする「拝見いたします」という敬語表現は、「拝見」(謙譲語)+「いたす」(謙譲語)になるため、文法的には間違いです。
しかしながら、「拝見いたします」は慣習的に多くの人に使われており、一般に浸透しているため、許容の範囲であるといえます。使用しても問題はありません。
ただし、「拝見します」が正しい敬語表現であることは覚えておきましょう。
「拝見申し上げます」は間違い
「拝見申し上げます」という敬語表現は、「拝見」(謙譲語)+「申し上げる」(謙譲語)で、明らかな二重敬語に該当するため誤りです。
文法的に間違いであることに加え、「拝見」(見る)と「申し上げる」(言う)を同時に行えないため、「拝見申し上げます」は誤りであるとわかります。
尊敬語では「ご覧になる」を使う
「ご自由にご拝見なさってください」など、「拝見」を尊敬語として使うのは誤りです。謙譲語と尊敬語の混同に注意しましょう。
謙譲語は自分がへりくだる表現であるのに対して、尊敬語は相手の行動・持ち物を高める表現です。つまり、謙譲語は主語が自分のときに用いる言葉ですが、尊敬語は相手を主語に持ってくるときに用いる言葉だといえます。どちらも相手を立てたいときに使うという点は共通していますが、主語によって使い方が異なることを覚えておきましょう。
「拝見」を使った例文
「拝見」を使った例文を紹介します。例文から、すべて主語が自分側にある際に使うことがわかります。
- メールを拝見しました。
- 内容を拝見いたします。
- 見積書を拝見しました。
- こちらで入場チケットを拝見します。
- 貴社の求人を拝見し、自身のスキルを活かせるのではと考え応募しました。
「拝見」の類語
「拝見する」の類語として、「拝読する」「拝聴する」「拝受する」などがあります。これらの言葉は拝見と同じく、自分がへりくだる表現であるため、相手の動作には使えません。
「拝読する」
「はいどくする」と読みます。「拝読」は「読むこと」の謙譲語で、書籍・書類・手紙・メールなどを読むことを指して使います。
【例文】
- 先生の書籍を拝読しました。
- 先ほど頂いた企画書を拝読したところ、間違いがあったのでご報告させていただきます。
「拝聴する」
「はいちょうする」と読みます。「拝聴」は「聴くこと」の謙譲語で、講演・セミナー・演奏・意見などを聴くことを指して使われます。
【例文】
- 部長からのご意見を拝聴しております。
- プロピアニストの演奏を拝聴し、感動しました。
「拝受する」
「はいじゅする」と読みます。「拝受」は「受け取ること」の謙譲語で、書類・資料・メールなどを受け取った際の返信時に使います。
【例文】
- 会議に使う資料を拝受しました。
- ご送付いただきました書類を確かに拝受しました。
いかがでしたか?「拝見させていただく」は二重敬語であるという見方から誤用とされることがあるため、「拝見します」とした方が無難です。謙譲語と尊敬語の違いを理解し、適切な表現を使うようにしましょう。
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