【初心者必見】資本準備金・資本剰余金とは｜それぞれの違いを解説

貸借対照表を見ていると、「資本準備金」と「資本剰余金」という言葉を目にします。この2つは意味が混同されやすいため、違いを明確に説明できる方は少ないのではないでしょうか。

今回は、資本準備金と資本剰余金について貸借対照表における位置関係や、概要などを解説します。

貸借対照表における「資本準備金」と「資本剰余金」の位置関係

資本準備金と資本剰余金は貸借対照表における「純資産の部」に分類されます。貸借対照表を図に示すと、以下のようになります。

【資産の部】 （流動資産・固定資産）	【負債の部】 （流動負債・固定負債）
	【純資産の部】 1.資本金 2.資本剰余金 （1）資本準備金 （2）その他資本剰余金 3.利益剰余金

資本準備金とは、資本金に計上しない自己資本

資本準備金とは、資本金に計上しない自己資本を指します。資本金とは別に積み立てておくと、将来の多額な支出・損失に備えておくことが可能です。

会社法では、資本準備金について以下のように記載されています。

会社法第445条第2項に記載されているように、資本準備金は資金の2分の1を超えない額まで積み立てられます。例えば、資金が200万円集まった場合は、最大で100万円を資本準備金として計上することができ、仕訳にすると以下のようになります。

借方		貸方
現金	2,000,000	資本金	1,000,000
		資本準備金	1,000,000

資本準備金を計上するメリット

経営上、資金に困った際に活用できる

資本準備金は自己資本で、業務に困った際に活用するため積み立てておく資金です。赤字を補填する際や、資本金を増額する際に活用することができます。
加えて、活用する際には株主総会の議決権が過半数の賛成が必要である「普通決議」を行うだけで可能です。一方で資本金を減資して活用する場合は、議決権の3分の2の賛成が必要である「特別決議」を行う必要があります。このことから、資本準備金の方が資本金より活用しやすいと言えるでしょう。

節税効果が期待できる

資本準備金を活用し、資本金の額を抑えることで節税効果を得られることがあります。例えば消費税であれば、企業設立時に資本金額が1,000万円未満の場合、会社設立2年間は消費税の納税が免除されます。

他にも、資本金額が1億円以下の場合は中小企業とみなされ、資本金を基準に算出される法人税率が15％に軽減されたり、外形標準課税が対象外になったりするなどの効果を得られます。

資本剰余金とは、「資本準備金」と「その他資本剰余金」を合わせたもの

資本剰余金とは、企業の設立時や増資の際に集めた資金の中で、資本金にあたらない資金を指します。「資本準備金」と「その他資本剰余金」から構成され、記事の前半で解説した資本準備金は、資本剰余金の一部と言えます。資本準備金は資本金額の2分の1までしか計上できないため、その額以外の資本剰余金が「その他資本剰余金」にあたります。

その他資本剰余金は、株主への配当の原資として活用できる点が特徴です。純資産の中で、資本金や資本準備金は株主への配当に使うことが認められていないため、資本剰余金を積み立てておく必要があります。

資本剰余金と利益剰余金の違い

資本剰余金と混同されやすいものに「利益剰余金」があります。資本剰余金は増資などから発生した資本金にあたらない自己資本を指す一方で、利益剰余金は業務で得た利益から積み立てられた自己資本を指します。

増資や株式などで増やした資本剰余金と、業務の利益で増やした利益剰余金とを分けることで、自己資本の中身を明確にすることができます。