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独立採算制とは|カンパニー制との関係や特徴的な事例を解説します
「独立採算制」という制度をご存知ですか?大企業でカンパニー制として導入されていることの多い制度ですが、様々なメリットやデメリットが存在します。
今回は、独立採算制の概要やメリット・デメリット、導入事例などを解説します。
目次
独立採算制とは、企業内の部門が独立して収支の採算を取ることを目指す経営方式
独立採算制とは、企業内の各事業部や店舗、工場など、それぞれが独立して収支の採算を取ることを目指す経営方式を指します。各部門は商品の存続・廃止の決定など、経営に関する権限も有しており、独立した経営組織とみなされます。
独立採算制という用語は、ソ連の「ホズラスチョット」に由来しています。これは国有企業にある程度の自主性を持たせたうえで、赤字にならないよう、また能率が向上するような経営を行わせる手法です。これは日本でも導入されており、国や地方自治体が所有する公企業がそれぞれの経費を事業による収入で賄うことも、独立採算制と呼ばれています。
独立採算制のメリット・デメリット
独立採算制は、大規模もしくは事業が多角化した企業で広く採用されています。それぞれが独立して経営権限を持つため、意思決定が迅速に行える、収支責任が明らかになる、経営者の育成が行えるなどのメリットがあります。
一方で部門が独立することから、部門間のシナジーが起こりにくくなる、まとめて処理していた業務をそれぞれで行わなくてはならなくなるなどのデメリットが存在します。また、結果を重視するため組織全体のガバナンスが低下し、情報の隠蔽や不正会計などの重大な問題が発生するおそれもあります。
独立採算制を事業部ごとに取り入れる「カンパニー制」
独立採算制を事業部ごとに取り入れている組織形態を「カンパニー制」と言います。日本では、1994年にSONYが導入したことを皮切りに、楽天やトヨタ、みずほ銀行など大手企業で導入が進みました。
カンパニー制のメリット
- 責任が明確になる
事業部制を採用している場合は、問題の責任が現場や本部など、どこにあるのか特定しづらくなります。しかし、カンパニー制では事業ごとに独立した状態になるため、責任の範囲などが分かりやすくなります。例えば、A商品の売れ行きが落ち込んだ場合、責任はA商品の事業部のみにあります。 - 資産運用の効率化が可能になる
カンパニー制では事業部ごとに、会社から独立した貸借対照表や損益計算書を作成します。自己資本利益率がはっきりとわかるため、より効率的な資産運用を意識できるようになります。
カンパニー制のデメリット
- 全社での連携が取りにくくなる
カンパニー制では事業部同士で競争意識を持つため、連携して何かを行うことが難しくなります。例えば、他事業部への勝利にこだわった結果、ノウハウの共有や意見交換がスムーズに行われなくなるなどのおそれがあります。
独立採算制の導入事例
トヨタ自動車株式会社:現場重視の風土作り
トヨタ自動車では、2016年から製品を軸にしたカンパニー制を導入しています。
2011年から「もっといいクルマづくり」と「人材開発」に取り組んでいましたが、従来通りの業務方法では効率面などでの問題がありました。そこで、意思決定の迅速化や中長期ビジョン・経営戦略の策定の強化を目的に、統合されていた7事業を分割、カンパニー制に移行させたのです。
また、各カンパニーのプレジデントの元、生産まで一貫したオペレーションを実施することで、現場重視の風土を作り上げました。
株式会社MOLTS:特徴的な「個人」独立採算制
デジタルマーケティングや事業開発を請け負う「株式会社MOLTS」では、事業部ではなくメンバー単位での独立採算制を導入しています。「売上高」「売上原価」「売上総利益」などの会計の管理や、案件の受注額決定などを個人で行います。
また、株式会社MOLTSでは「社内売買」というメンバー間で行う外注のような仕組みを持っています。この仕組みで、独立採算性で起こる仕事の奪い合いなどの問題を解決しています。給与はそれぞれの売上総利益の40%が基準となっており、それ以上の売り上げがあった場合はインセンティブが支払われます。
株式会社MOLTSは、既に何らかのスキルを持った人が集まる会社、という方針があり、この制度はある程度の生産性が見込める上で成り立っています。そのため、生産性の向上が見込める制度である一方、新卒や完全な管理職が存在する会社で取り入れることは難しいでしょう。
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