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後知恵バイアスとは?陥る原因や対策方法について解説します
後知恵バイアスをご存知ですか。聞いたことはあっても、意味については詳しく知らないという方も多いかと思います。後知恵バイアスは日常の様々な場面で生じ、ビジネスの場面においても影響を及ぼす心理傾向の1つです。
この記事では、後知恵バイアスに陥る原因や対策方法について紹介します。
目次
後知恵バイアスとは、物事が起きた後に、あらかじめ予測できていたかのように考える心理のこと
後知恵バイアスとは、物事が起きた後に「そうなると思っていた」というように、予測できていなかったことを予測していたかのように考える心理傾向のことです。実際に出来事が起きるまでは結果が分からなかったにもかかわらず、終わってみれば想像通りだったと思うのです。
後知恵バイアスが結果重視の風潮を生み出してしまうおそれがある
企業で後知恵バイアスが起こると、結果がうまくいかなかったことを責める風潮が生まれてしまうおそれがあります。この風潮が広まると、従業員は「悪い結果を生み出さないことが自身の評価にとって重要だ」のように考え、失敗するリスクのある挑戦をしにくくなります。挑戦しなければ新規事業を興すことなどができず、企業の成長は見込めなくなるでしょう。
また、結果重視の風潮により「できるだけ自分の責任を軽くしたい」と考え、従業員が言い訳をしたり、社内関係者に交渉したりするようになり、企業の生産性を下げてしまう場合もあります。
後知恵バイアスを証明した実験:ニクソン大統領のモスクワ・北京訪問
アメリカの心理学者であるフィッシュホフ氏とベイス氏は、後知恵バイアスの存在を示す実験を行いました。具体的には、1972年にアメリカのリチャード・ニクソン大統領がモスクワと北京を訪問する際にどのような行動を取るのかを、いくつかの選択肢を用意して事前に被験者に予想してもらいました。そして、ニクソン大統領の帰国後に再び被験者を集めて、ニクソン大統領のモスクワ・北京訪問前に自分がどのような予想をしていたかを思い出してもらい、当初の予想と実際の結果を比較しました。
その結果、最初に「ニクソン大統領が毛沢東に会うだろう」と予想したのは被験者の4割でしたが、帰国後に質問した際に自分がそのように予想していただろうと答えたのは被験者の6割となりました。この結果から、被験者のおよそ2割がニクソン大統領の行動を予測できていなかったにもかかわらず、予測できていたかのように考えており、物事の前後で自身の認識が変化するという後知恵バイアスの存在が証明されました。
後知恵バイアスに陥る原因
自分の考えは正しいと捉える傾向があるため
人は自分の考えは正しいと思い込む傾向があります。自分の考えていたことが間違いだったという苦痛を避けるために、自身の予測を正しいと考える結果、後知恵バイアスに陥るのです。
物事が起きる以前の記憶が曖昧になるため
人は一度結果を知ってしまうと物事が起こる以前の記憶が曖昧になる傾向があり、後知恵バイアスに陥る原因になります。どのように考えていたのかの記憶が曖昧になると、自分の考えは間違っていなかったはずだと思い込もうとするため、後知恵バイアスが生じます。
後知恵バイアスの対策方法
後知恵バイアスについて知る
後知恵バイアスに陥らないためには、まず後知恵バイアスについて知ることが大切です。後知恵バイアスについて理解すると、自分の思考や判断が、物事の結果から影響を受けていないかを振り返ることができ、後知恵バイアスの対策になります。
結果ばかりを重視しないようにする
後知恵バイアスがかかると結果を重視しがちなので、結果ばかりを見て物事を評価しないようにしましょう。失敗に対して厳しい評価をするだけでは従業員のモチベーションが下がってしまい、企業の生産性が低下するおそれがあります。結果だけでなく、そこに至るプロセスを重視し評価することが大切です。また、プロセスを評価する方が再現性が高く、次に生かすことができます。
当事者意識を持って結果を捉える
後知恵バイアスに陥ると、誤った人事評価をしてしまうおそれがあります。業務をする前には何も言わなかったにもかかわらず、結果が悪ければ後知恵バイアスの影響によって、そもそも業務を行うこと自体が間違っていたかのように評価してしまうのです。
例えば、「だから良くないと言ったのに」と軽々しく口にしたつもりが、相手のモチベーションを大きく下げることになってしまいます。そのため、評価を行う際は当事者意識を持って結果を捉えるようにすることで、後知恵バイアスを避けられるでしょう。
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