インサイド・アウトで事態を好転させる｜実践する際のポイントも解説

インサイド・アウトという言葉をご存知ですか。これは、自分と外部の物事に関する考え方の1つです。

この記事では、インサイド・アウトの概要や、実践して事態を好転させるためのポイントを解説します。

インサイド・アウトとは、自分の内面を変えることで外部にあるものを良くしていこうとする考え方

インサイド・アウトとは、自分の内面を変えることで外部にあるものを良くしていこうとする考え方で、スティーブン・R・コヴィー氏の著書『7つの習慣』で提唱されました。インサイド・アウトでは、他人や周囲の環境といった外部に原因や責任を求めるのではなく、まず自分の内面にあるものを変えることで外部を良くしていこうと考えます。

コヴィー氏は『7つの習慣』の中で、誠実さや謙虚さ、忍耐といった優れた人格を養成することを重視しており、そのための基本的な原則を「7つの習慣」として紹介しています。この7つの習慣を実践する上で、インサイド・アウトの考え方を身につけることが重要です。

インサイド・アウトを活用して事態を好転させる具体例

インサイド・アウトの考え方は、様々な状況で事態を好転させるのに役立ちます。例えば、不平不満を言い合い喧嘩ばかりしている夫婦がいるとします。問題を相手のせいにし、不満をぶつけているままでは良好な関係を築くことは難しくなります。もし夫婦の一方が不満を言うのをやめて態度を改めると、もう一方は初めは裏があるのかと疑うかもしれません。しかし、態度を改めたことを示し続けると、相手も「自分も変わらなければならない」と考えるようになります。

ビジネスにおいても、資料に不備があったり度重なる指示の変更があったりすると、相手に不満を感じるでしょう。しかし、その問題の原因は自分の中にあるのではないかと考え、捉え方や行動を変えることで物事を好転させられます。

アウトサイド・インとは、問題の原因は自分の外部にあり、相手が変化する必要があるという考え方

アウトサイド・インとは、インサイド・アウトとは逆に、問題の原因は自分の外にあるとし、相手が変化することを期待する考え方です。例えば、社長が「業績悪化の原因は従業員の怠慢のせいだ」と考えることはアウトサイド・インに当たります。

アウトサイド・インで考え、原因を他人や環境といった外部のせいにしている限りは問題は解決しません。人は「自分は間違っていない」「問題の原因は相手にある」と考える方が楽であるため、アウトサイド・インの思考に陥ってしまいがちです。しかし、状況を改善するためには、自分の内面を変えようとするインサイド・アウトの考え方を持つ必要があります。

インサイド・アウトを実践するためのポイント

まずは自分自身のことを変えようと考える

インサイド・アウトを実践するにあたっては、まずは自分自身のことを変えようと考えるようにします。問題が起こっても他人や環境のせいにせず、コントロールできる自分自身に働きかけることで状況を好転させられます。このように、自分自身が変わろうと考える習慣を付けることでインサイド・アウトを実践できます。

「トリムタブ」になろうとする

「トリムタブ」とは、船の舵に付いているさらに小さな舵のことです。トリムタブは水流をコントロールして大きな舵を動かし、さらには船全体の進路を変えることができます。このトリムタブのように、個人が起こした小さな行動であっても組織全体を動かし、大きな影響を与えて問題解決に近づくことができるのです。問題が大きいと自分の力では対処できないのではないかと不安になってしまいがちですが、トリムタブになろうと意識して行動を起こしていくことが有効です。

インサイド・アウトは組織づくりにおいても活用できる

インサイド・アウトの考え方は、個人のみならず組織づくりにおいても活用することができます。『7つの習慣』では、社内の禁煙に関する逸話が具体例として示されています。著者のコヴィー氏がある企業に招かれた際、建物の外で喫煙している従業員たちを目にします。この企業は、健康促進のため社内禁煙を推進していました。しかし、CEOの部屋からは煙草の匂いが漏れ出しており、禁煙施策はCEOだけ対象外となっていることを知らされる、という話です。リーダーがこうした姿勢を取っていると、他のメンバーの共感を得られず組織づくりを円滑に進めることは困難になってしまいます。

インサイド・アウトの考え方をもって企業・組織の文化を変えるには、リーダーが自ら率先して発信したり行動を起こしたりする必要があります。これにより、他のメンバーは感化されて主体的に行動するようになります。