ToBeモデルとは｜概要や有効な場面、活用プロセスも解説

「ToBeモデル」という言葉についてご存知ですか？これは企業の課題を効率的に解決するために、とても有効な考え方です。

今回は、ToBeモデルの概要や有効な場面、活用プロセスを解説します。

ToBeモデルとは、理想のあるべき姿・状態を指す

ToBeモデルとは、企業が理想とするあるべき姿・状態を指します。また、合わせて使われる言葉に「AsIs」があり、これは現在の姿・状況を意味します。

企業が戦略立案や業務改革などを行う際、課題は認識できていても、どの課題を解決すれば理想の状況に近づけるのかを把握するのは困難です。そういった際、ToBeとAsIsを客観的に比較することで、理想の実現のために取り組むべき課題を明確にできます。このフレームワークを「AsIs/ToBeモデル」と言います。

CanBeモデルとの関係

CanBeモデルとは、現状持っている経営資源（ヒト・モノ・カネ・情報）を活用することにより実現可能な姿・目標を指します。AsIsからToBeに近づける上での現実的な手段であり、CanBeを繰り返し実現することで、最終目標であるToBeの実現につながります。

AsIs/ToBeモデルが有効となる場面

• 業務改善
  AsIs/ToBeモデルを活用すれば、理想とする業務方針を効率的に実現するための優先順位を明確化できます。
• 人材育成・教育
  企業が目指すべき人材像（ToBe）を示し、社員自身の現状スキル（AsIs）を把握することで、社員それぞれの目標が設定できます。特に現在は、リモートワークの増加が原因となりそれぞれの状況がわかりにくくなっています。AsIs/ToBeモデルを利用することで、企業から社員に対する期待が可視化され、認識のズレが防止できるようになります。
• マーケティング
  マーケティングの目的達成には様々な手段があります。その中で売上に大きく貢献できる手段の優先順位をつけるためにAsIs/ToBeモデルが活用できます。
• IR情報開示
  株主・投資家は投資判断を行う際、現状に加え企業の今後の成長も加味します。AsIs/ToBeモデルは現状と理想を整理し可視化できるため、IR情報開示において効果的です。

AsIs/ToBeモデルの活用プロセス

1. テーマの設定

ToBeを設定する前に、まずはテーマを設定します。「働き方」「売り上げ」「組織のあり方」など、大まかなテーマを決めておかないと、議論が飛躍して収拾がつかなくなるおそれがあります。

2. ToBe（理想の姿）の設定

次に、ToBe（理想のあるべき姿）を設定します。AsIsから考え始めると、現状に引っ張られてしまい、達成可能なこと（CanBe）を目標としてしまうおそれがあるためです。またこのとき、数値化できないような抽象的なものが含まれていても構いませんが、定量的な目標にすることで課題抽出がスムーズになります。

3. AsIs（現状）の基準の設定

ToBeに続き、AsIs（現状）の基準を設定します。ToBeに対しての現状を把握するため、関連する項目をAsIsとして設定します。このとき、直接関連する項目以外に、間接的に関わる項目も広く情報収拾するようにしておくと、課題抽出の際に役立ちます。例えば、ToBeを「3ヶ月後に経費を〇〇%カットする」と設定する場合、AsIsは「不要なコピーが多い」「光熱費が高い」などが設定できるでしょう。

4. ToBeとAsIsのギャップから課題を抽出

設定したToBeとAsIsをもとに、それぞれのギャップから課題を抽出します。ただ抽出するだけではなく、「Why」を繰り返してさらに深掘りし、本質的な課題を発見しましょう。先ほどの経費の例でいくと、「光熱費が高い」から「電気の消し忘れが多い」という課題が抽出できます。それをさらに深掘りすると「うっかり消し忘れる」「電気のスイッチがわかりにくい」「ルールとして浸透していない」などの課題を見つけることが可能です。

5. 課題の優先順位の設定

課題が抽出できたら、取り組む優先順位を設定します。重要度や緊急度、コントロールの可・不可をもとに判断します。コントロール可能かつ取り組みやすいものから手をつけるのが効率的ですが、ToBe達成において重要度・緊急度が高いものにも取り組むようにしましょう。

6. 課題解決への道筋を設定

優先順位の高い課題を行動に落とし込みます。できるだけ具体的にスケジュールを立てるためには、「When/いつ」「Where/どこで」「Who/誰が」「Whom/誰に」「What/何を」「Why/なぜ」「How/どのように」「How much/どれだけ」の6W2Hを意識します。