イノベーションマネジメントシステムとは｜継続的な成功を生むための手法

イノベーションマネジメントシステムとは何かご存知でしょうか。これはイノベーションマネジメントを適切に行うために重要な考え方として、国際標準化機構（ISO）が定義したものです。
今回は、イノベーションマネジメントシステムについて、取り入れるメリットやシステム化された計画の立て方を紹介します。

イノベーションマネジメントとは、組織が継続してイノベーションを創出し成功し続けるためのマネジメント手法

まず、イノベーションマネジメントについて簡潔に説明します。イノベーションマネジメントとは、組織が継続してイノベーションを創出し、成功し続けるために最適な状況を作り出すマネジメント手法です。

労働人口が不足するとともに消費者ニーズが多様に変化する世の中では、属人化せず再現性の高いイノベーションを恒常的に創出し続ける必要があります。イノベーションマネジメントでは、イノベーションを起こすためのプロセス管理といった仕組みを整備することや、イノベーションを起こそうとするチームを支援することで、イノベーションを容易に起こせる状況を作ります。

イノベーションマネジメントシステムとは、国際標準化機構（ISO）が在るべきイノベーションマネジメントの形を体系化したもの

イノベーションマネジメントシステムとは、組織がイノベーションを起こすために必要なイノベーションマネジメントを体系的に整理した国際規格（ISO56002）です。組織が持続的に成長し、社会が発展することを目指して国際標準化機構（ISO）が2019年7月に発行しました。

イノベーションマネジメントシステムには、イノベーションを実施する組織の在るべき形、イノベーションマネジメントを行う際の計画の立て方やチームの支援活動、パフォーマンスの評価方法および改善方法などについて記載されています。

また、イノベーションマネジメントシステムによると、イノベーションマネジメントは「機会の特定→コンセプトの創造・検証→ソリューションの開発・導入」のプロセスに分かれます。

イノベーションマネジメントシステムの背景

既存の組織形態からイノベーションを起こすことは難しく、ましてや継続的に成功することは非常に困難な課題として世界で重要視されています。企業が生き残るには再現性の高いイノベーションを起こし続ける必要があり、そのためには適切にイノベーションマネジメントを実施せねばなりません。

そこで、フランスがイノベーションマネジメントの在り方に関する議論を始め、さらに日本を含む世界58カ国が加わりイノベーションマネジメントシステムを体系化しました。

イノベーションマネジメントシステムを取り入れるメリット

再現性高くイノベーションを創出できる

イノベーションマネジメントシステムにはイノベーションマネジメントの適切な手法がまとめられているため、導入することで再現性の高いイノベーションを創出できます。

少子高齢化に伴う労働人口不足が問題化している現在では特に、属人化しやすい新規アイデアの創出といったイノベーションを、属人化せず組織として遂行できるようになることが非常に重要です。

社内外からの評価につながる

イノベーションを起こすための仕組みを整備したり、イノベーションを起こしているチームを支援したりすることで、社内の人間から信頼を獲得しモチベーションを高められます。

また、イノベーションに対して積極的な企業であると社外からも認められ、投資家などから資金を集めやすくなることにもつながるでしょう。

イノベーションマネジメントシステムにある計画の立て方

イノベーションを創出する目的を設定する

イノベーションマネジメントシステムによると、イノベーションを起こす際は何を目的に遂行するのかを検討し設定する必要があります。目的や方向性といった全体像を掴むことで、チームの意識が分散したり無駄なプロセスを踏んだりするリスクを削減できます。

イノベーションマネジメントシステムでは、目的を設定する際に以下の要素に気をつけることが望ましいと記載されています。

• イノベーションを行う目的が企業のビジョンや経営方針と一致している。
• 企業内でイノベーションに関わるチーム全てで目的の方向性が揃っている。
• 進捗を管理して、目的を測定・検証することが可能である。
• 企業の経営計画やKPIなどの要求事項を満たせている。
• チーム内で理解されやすいものである。
• 必要に応じて更新できる。

具体的な計画を策定する

目的を設定した後は、計画を具体的に策定します。行動に移せるレベルまで具体的な計画を立てましょう。イノベーションマネジメントシステムでは、計画を立てる際に以下の要素も決定することが望ましいと記載されています。

• 実施事項と達成時期
• 情報の伝達手段（経路）
• 組織構造と支援体制
• 組織のリーダーや責任者
• イノベーションの評価方法
• 結果の活用方法と検証方法
• 情報の保護および維持